外科の新人の歩み30 判明
9月も後半になり、店長は店を臨時休業して外科の新人とともに国立大学病院を再び訪れた。
医師「一通りの確認が出来ました。結論を申し上げますと。男性側に問題があります。精子がいません。女性側に問題無いかを1ヶ月に渡り調べました。卵巣も子宮も問題はありませんでした。ちょうど排卵した卵子も採取出来ましたので調べましたが、問題はありませんでした。従いまして、女性側は妊娠可能な状態。男性側は問題があります。妊娠は難しい。。いや、あいまいな言い方はいけませんね。妊娠は出来ないです。」
外科の新人「いや、待って下さい。全く精子がいないのですか?」
医師「全くではありません。わずかにいますが、正常な方の1万分の1です。各個体も健康な精子とは言えないです。体外受精でも正常妊娠は困難でしょう。私が頼まれたとしてもお受けしません。もし、正常に妊娠したとしても。。健康な赤ちゃんかは。。私には責任を負えません。」
外科の新人「そんな。。何か方法はないでしょうか?」
医師「残念ながら。ですがですよ。このようなケースはそれなりにあります。2人の愛で乗り越えた方々は見てきました。例えば、婿養子を取られたかた。子供はあきらめて愛し合うかた。お二人のように結婚前に発覚するのは珍しいですが、愛することは何か2人でよーく話合うべきです。えー。あなたの友人の紹介で、あなた方の人となりは。。何度も聞いて大変感銘を受けています。もちろん、この結果は彼女には一切伝えていません。ですが、あなた達をあんなにも一生懸命。。あの子はどこか冷めた面があった。あの子があんなにも変わる素敵な2人なのです。ケーキ屋さんの凄さを2時間も熱く語ってました。私からしたら、あの子のあんな姿は信じられない。素晴らしいお二人が解決策を見出し、幸せになることを彼女の友人として強く願っています。」
店長「大変一生懸命に調べ、心を込めた対応感謝致します。2人で話し合います。ありがとうございました。」
医師「店長だけ。少しお時間いいですか?」
外科の新人「外で待ちます。」
医師「私。。あなたは素晴らしい方だと思います。彼女の孤独を救った唯一の人。かけがえのない人。紹介した彼女から聞いています。彼女を幸せに出来るのはあなたしかいないのです。受け入れ難い結果なのは分かります。彼女の気持ちを考えて結論を出して下さい。彼女を幸せに出来る唯一の男だという事実。男として女を1人だけ幸せにすること。良く考えて最良の道を選んでください。」
店長「あのー。毎回そんな感情を入れていたら身が持たないのではありませんか?」
医師「当たり前です。あなたがただけです。2人はどうしても幸せになってほしい。あなた達なら出来ると信じています。」
店長「ありがとうございました。」
2人は無言でケーキ屋さんに戻る。
店長「ごめんな。」
外科の新人「謝ることじゃない。私が愛した唯一の人。個性が一つ分かっただけよ。私はあなたと結婚して幸せにする気持ちに変化はないわ。決してあなたを失うことは出来ない。」
店長「しかし。。君が一番望むものは家族だ。それが果たせないなら。。僕は。」
外科の新人「言わないで!。。2人で考えて。いっぱい話し合って。。2人とも幸せになる道が見つけられなかった時にして。私達が築き上げた愛は簡単に壊せない。それがお互いへの責任よ。」
店長「分かった。」
外科の新人「愛してるわ。結果を聞く前より愛情は強くなったわ。」
店長「愛してる。」
外科の新人「子供なくても幸せになれる。あなたがいたらいいわ。私もあなたが負い目を感じるのなら。。別れを選ぶ。2人でそうならないようにもっともっと愛し合いましょう。」
店長「分かった。」
外科の新人「あのね。私は、今すぐ結婚してもいい。あなたがスッキリしていない。これを2人でスッキリさせたいの。あなたもご両親も。。私の唯一の家族なの。だから。。」
店長「もう言うな。僕も簡単には結論を出したりしない。こんな僕をこんなにも愛してくれた人はいなかった。ただ、あなたを幸せに出来るのか。。考えたい。」
外科の新人「毎日来るからね!私。あなたの唯一の彼女だから。来れない日は電話する。来月から夜勤も始まるから無理な日もある。」
店長「分かったよ。君がいない世界は想像出来ない。」
外科の新人「たまには、私が作るわ。あなたにしてみたら不味いだろうけど。。愛情なら負けない。」
外科の新人は夕食を一生懸命作った。
店長「いや。美味しいよ。」
外科の新人「でしょう?愛情がいっぱい入ってるからだよ。」
外科の新人は毎日通い、行けない日は電話で話した。子供のいる家庭を作らないといけないという気持ちが強いようで、なかなかスッキリとはならない日々が続いた。
店長とデートして帰宅したある日のこと。
外科の新人「あっ。こんなにしてもらって、私、彼女に何もしてない!」
急いで電話をかけると偶然にも週末に休みが一致したようで内科の新人と一緒に出かける約束をした。
週末に内科の新人と一緒にデパートに行き、買い物を楽しんだ。レストランで食事をする2人。
外科の新人「そういえば。先生とは、その後どう?」
内科の新人「あのね!挨拶は時々出来るようになったよ。」
外科の新人「えっ!挨拶なんて初日から出来るじゃない。もうちょっとで1年だよ?あなた大丈夫?そんなことしてたら親しくなる前に寿命だよ?」
内科の新人「だって。」
外科の新人「いやいや、待ってよ。あなた、病院で一、二を争う美人なのよ?選びたい放題でしょう!いっぱい声かけられない?」
内科の新人「患者さんや先生から週に4人くらい?あと町中でも時々。」
外科の新人「そんなにも!それ実質毎日よね。」
内科の新人「あのね、私ね、見た目で近づく人は苦手で。それにやっぱり、先生が好きだから。」
外科の新人「ねえねえ、待ってよ。他を断るほど好きなのに。あなた、未だに挨拶だけ?」
内科の新人「だって。私、どうしたらいいか分からないから。」
外科の新人「ねえ。何故、そんなに先生が好きなの?」
内科の新人「えっ!それは、今はまだ。」
外科の新人「まあ。。言いたくないならいいわ。んー。私が間に入ることは出来るよ?だけど、自分でいくべきだと思うなー。私が何とか場を作るから自分で何とかしなさいよ。」
内科の新人「えっ!大丈夫かな?私、出来るかな。」
外科の新人「あのねえ!あなた。見てるだけでいいの?他の人と先生が付き合ったらどうするのよ。」
内科の新人「そ、それは絶対にイヤっ!」
外科の新人「だったら自分からいきなさいよ。しっかりやるのよ!」
内科の新人「う、うん。」
外科の新人はそのままケーキ屋さんに向かった。
店長「遅かったね。」
外科の新人「あのね。今日、あの内科の子と買い物に行ったの。」
店長「何を買ったの?」
外科の新人「ああ。一人暮らしではないけど。一人暮らしの生活必需品ね。いや、そうじゃないのよ。彼女ね、入社した時に外科の先生に一目惚れしたらしいの。」
店長「へー。あの美人が一目惚れ。」
外科の新人「あなたは見たことないでしょうけど、かなりイケメンなのよ!私、研修期間にそれは聞いてたの。それで、今日ね。どうなったか聞いたのよ。なんて言ったと思う?」
店長「あの子。動くと一気だからな。。既に付き合ってるとか。。」
外科の新人「あのね。挨拶出来るようになったって。」
店長「えーっ。挨拶?。。それ、誰でも出来るだろう。。」
外科の新人「だよねえー。もー仕方ないからさー。来週。先生が、夜勤なのよ。確かその日彼女は遅番か夜勤だったはず。私は遅番なの。」
店長「むちゃくちゃなことを考えているんだろう。」
外科の新人「仕方ないでしょう?先生に彼女出来たらどうするの?ってきいたら。それは絶対に嫌って。。で、挨拶だけよ?まあ、悩ましい結果だったけど。。彼女があんないい医師を紹介してくれたのよ?」
店長「まあ。確かに。それで?」
外科の新人「先生が仮眠室に入ったら、彼女を押し込んで閉じ込めるの!」
店長「いや〜。挨拶だけでしょう?大丈夫?ストレスで死んじゃうんじゃない?」
外科の新人「コアラじゃないんだから。」
店長「また、結果教えてよ。やっぱり世話になったし。応援したいからさ。」
外科の新人「あなたは。。まだスッキリしない?」
店長「前よりは。。でも、まだかな?でも長くないうちに。。悪い方向にはしないつもりさ。」
外科の新人「お願いだから、1人で変な方向いかないでね。信じてるから。必要なら相談。約束よ。2人で解決するんだからさー。」
店長「分かってる。僕は君を愛してるから。」
外科の新人「私のことを真剣に考えてくれてありがとう。あなたは私に家族の幸せを教えてくれた。あなたの代わりは決して現れない。それは私が一番理解してる。明日早いから帰ろうかな。」
店長「また結果教えてよ。」
外科の新人「来週末。決行よ。あっ。決して誰にも言ったらダメよ。ルームメイトも婦長も。。私以外は誰も知らないから。その前に毎日来るけどね。じゃあ、今日は帰るわ。」
店長「気をつけてな。」
外科の新人はマンションに戻って行った。。私は五分五分よ。あなたがスッキリしないのならば、私では幸せに出来ないということ。。まもなく答えを出さないといけない。
2人が納得する答えは見つかる気がしなかった。半分は諦めはじめた外科の新人だった。




