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たいせつな ぬいぐるみ - 外科の新人の歩み -  作者: ぴい


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外科の新人の歩み27 スーパー看護師

 盆休み明けの業務が始まった。朝の申し送りで婦長が発言する。


婦長「一つだけいいかしら。。新人さんのことなんですが。。ご承知の通り、成績が悪く評価が低い噂を聞いていた。いや、研修生時代に外科研修でも良くなかった。」


先輩看護師「私は、他人の噂なんて鵜呑みにはしないよ。婦長がいいと言った。実際受付しかやってないけど、受付の仕事の素早さと的確さは誰よりも優れていた。婦長の目ほど信用出来るものはない。外科のチームワークは婦長のおかげで働いてきて最高の状態です。歳下ながら尊敬してますよ。」


 まわりも同意している。


別の看護師「彼女が足りない部分は私達が補うから大丈夫です。」


外科の新人「あの。。ありがとうございます。」


婦長「話がそれちゃった。違うのよ。わざと今まで受付しかやらせなかったの。もちろん本人了承のうえで。でも、彼女は約3ヶ月間毎日特訓を受けて、盆休み前に一人前のお墨付きをいただいたの。私が見る限り、今やここの誰よりも上になっているの。」


先輩看護師「婦長より上はないでしょう。」


婦長「私より全然上。今日から彼女には全業務を担当してもらいます。とはいえ、実践経験が少ないから、悩むことはあると思いますので、先程言われたように、周りがフォローしてあげて下さい。新人。今日から暴れろよ〜。受付は1人でお願い。まあ、あなたなら大丈夫と思いますが、ピンチになったら呼んで下さい。」


先輩看護師「任せて下さいな。定年も近いけど、やれることは精一杯やります。新人さん。一言。」


外科の新人「はい!皆様に支えられているのは理解しておりますし、こんなに温かい目で見ていただいた経験はありませんでした。患者さんを。患者さんのご家族を幸せに出来るように精一杯頑張りますのでよろしくお願いします。」


 全員が拍手をし、業務を開始する。


婦長「新人さん。まず診察開始前に入院患者さんの確認に行きましょう。同行しなさい。」


 外科の新人は婦長について行き、病室に入る。


患者「おーっ!新人さん。ついにデビューか?」

外科の新人「ちゃんと食べてる?骨繋がったらリハビリだから、しっかりね。」


 部屋の雰囲気が一気に明るくなり、外科の新人は全員の確認を的確に行いながら、体温などの基礎データを確実に行う。診察前に全ての部屋を回った。



婦長「あなた。なんで全員の病状正確に知ってるの。」


外科の新人「カルテ全て見てますから。」


婦長「カルテだけでは分からない情報を持ってた。」


外科の新人「受付が空いたら病室回ってました。混んだら連絡もらって。勝手なことをしてすみません。ただ、医療行為はしていません。ねえ婦長。」


婦長「どうした?」


外科の新人「302号の奥の患者さん。賑やかなの好きじゃなくて。ストレスみたいで。重症患者さんの部屋に空きがあるから、そちらのほうがいいと思うの。もちろん重症患者が増えたら移すのですが。本人にはどっちがいいか聞いたの。移してくれたら重症患者さんの様子見て、おかしい時は呼んでくれるって。」


婦長「すぐに対応するわ。」


外科の新人「えっ?」


婦長「あなたの言うことは従うのが一番。ただ、私もあの病室の雰囲気は気になっていたの。そのアイデア納得よ。患者さんも味方につけるか。。そういう配置したら、危険な患者さんを見守る目にもなる。重症病室にって発想なかった。。勉強になったわ。受付始まるわ。先生について。誰がいい?ああ、部長よね〜。」


外科の新人「あーっ!そう言えば、定食屋さんでほのめかした。やめて下さいよ。ドキドキしたんですから。実家なんですよ?」


婦長「悪かったわよ。ドキドキする関係だから燃え上がるのよ。あなた1回くっついたら離れられないよ。」


外科の新人「もー。内科の新人より、あなたのほうが怖いわ〜。」


婦長「内科の新人さんは穏やかで怖くないじゃないの。」


外科の新人「昨日。家族で食べに来て。。ヤクザがたかって、お母さんが困ってたら、いきなり首掴んで外に出して。何回も投げ飛ばして、ボコボコ。親分呼び出して説教して。。親分平謝りよ?」


婦長「何それ〜。ちょっと!なんで私のほうが怖いのよ。」


外科の新人「私を禁断の果実に誘惑するからよ!彼女は家族を助けたの!」


婦長「でも。私は部長と上手くやればいいと思うの。自分で彼を部長が超えることはないの分かっているんでしょう?今のままのほうが、振り切れたらヤバいと思う。実際、手術シュミレーションの後は、後先考えないで行動してしまった。私が気づいていないと思っていたのに、我慢出来なかった。。あなたは頭がいいから。。咄嗟に上手く誤魔化したけどね。」


外科の新人「ずいぶん考えました。そういうのもアリと思った。だから、抑えない日は来ると思います。ただ、彼と結婚するまでは彼に全力じゃないと後悔するから。。全員幸せがね〜。」


婦長「あのね。2人だけの秘密ならば、全員幸せなのよ。正しいかは別として。」


外科の新人「あのー。婦長はどんなけ外に男いるんですか?」


婦長「2人だけの秘密じゃないとダメでしょう?あっ。診察始まる。あなたは部長を担当しなさい。」



 診察に付き添う看護担当になる。部長が診察すると、欲しいものを伝える前にほとんど用意する。外科の新人は、あらかじめ外来患者の訴える症状を把握するために診察がはかどること。


部長「レントゲンを見る限り骨折はない。臓器の破損とかがないか調べますので。。念のため、血液検査をしておきましょう。おい。血液検査だ。検査種別はBで検出で。」


外科の新人「では、隣の処置室にどうぞ。」



 周囲の看護師が、本気でやらせるのかと驚いている中、部長が見つめる。

 婦長は2人を見つめる。


 何の問題もなく採血を終え分析装置にかけると、患者さんに結果が出るまで待合室で待機するようにお願いして、診察室に戻る。



看護師「ねえ、婦長。何故教えてないのに装置を正確に扱えるの!絶対に血液採取も私より上手かった。」


婦長「言ったわよね。誰よりも優れている。一人前になったと。」


看護師「あそこまで。。」


婦長「努力して、ついていく。後輩からも学ぶことはあるのよ。」


 婦長は思った。診察が部長の時は彼女をつけるのが、彼女の精神状態に一番いいわね。2人ともプロだから。。仕事で定期的に会うのが一番だわ。



部長「やっぱり合格だな。あれは全く痛くなかったはずだ。しかし、君が仕事進めるから、予約患者さんを前倒ししたから。。診察が無くなったじゃないか。」


外科の新人「そういえば部長。手の平が一部赤かったの。ひょっとして。ここの骨折してないかな?本人に聞いたら、少し痛いって。」


部長「それは。。レントゲンでは見えないぞ。普通は折れない骨だ。。だが折れてたら、くっつかない場合は手術になる。。CT取るか。」


外科の新人「はい。直ちに連絡して、患者さんに伝えます。」


 外科の新人は患者さんに伝え、CT室の地図を説明すると戻ってきた。


外科の新人「部長。データを飛ばしました。印刷です。炎症反応は高いですね。どこか傷んでます。」


部長「君の言う部位が骨折してたら。データとしては合う。」


外科の新人「他にないですかね?無さそうですね。」


部長「手の可動域は正常だった。」



外科の新人「あっ。最後の予約患者さんがみえてました。」


部長「それはありがたいな。呼ぼう。」



 最後の予約患者さんは、経過観察の最終確認で問題ないことを確認出来たため、次回の予約は取らないで完治となった。



 CTの結果が送られてきた。


部長「んー。確かに。骨折してる。これは単独では滅多に折れない。珍しい症例だ。固定の仕方が重要でな。しっかり閉じないとくっつかないんだ。教えるからやってみなさい。」


外科の新人「はい。」


 病室に患者さんを呼ぶ。


部長「結論からいいますが、ここが骨折しています。普通は単独では折れないです。くっつきにくい骨でくっつかない場合は手術が必要になります。これは見逃してもおかしくない症例ですが、看護師が血液採取で手の平が赤いことに気づいて発見出来ました。看護師に感謝してあげて下さい。今から処置しますので1ヶ月後に確認します。くっつくように固定は重要ですので、左手は出来る限り使わないで下さい。処置室に移動しましょう。」


患者「なんか、おかしいとは感じていました。看護師さん。ありがとうございます。」


外科の新人「えっ?いや、まず完治するまではお礼とかいいですよ。処置室へどうぞ。」


部長「まず、2本の指をガーゼで巻いて固定だ。そうだ。いいだろう。」


外科の新人「部長。石こうシートです。」


部長「あのな。。患者さんの前では、せめて先生にしてもらえないかな?」


外科の新人「分かりました〜。部長先生!」


患者「それ斬新ですね~。」


 処置室が笑いに包まれる。


部長が石こうシートを巻き、固まるまでの間、締まりの調整をする。


部長「固まったな。ぼんくら医師が見逃したのに、発見したスーパー看護師さん。全体をガーゼで保護していただけますでしょうか?」


外科の新人「もー。余計なことを言わなければいいじゃないですか!今の私は部長先生あってのことですから。」


部長「おお。いい巻き方だな。」


看護師「本当に上手ね〜。さすがスーパー看護師だわ。」


外科の新人「やめて下さいよ〜。では、終わりです。入浴は大丈夫ですが、左腕はお湯につけないで下さい。もちろん雨も出来るだけ避けて水はとにかく避けるようにして下さい。では、会計窓口にお進み下さい。」



 患者さんは、お礼をしながら会計に向かった。


部長「あれは、気づけない。凄いな。」


婦長「あなた、お昼にしなさい。」


外科の新人「あっ!もうこんな時間なの!大変。理事長が待ってる。」



 外科の新人が走って行った。


看護師「今。理事長って言ったような。。」


婦長「天気いいわね。中庭見て。」


看護師「あら。珍しい。理事長が。。えっ?あの子。」


婦長「毎日。ごちそうしてるのよ。あの子のおにぎりが凄いんだって。まあ、たぶん。。本当に美味しいのでしょうね。」


看護師「えー。あの子やるわね〜。さすがスーパー看護師ね。」


婦長「理事長から声かけたらしいわ。」


 

 全員の医師が診察を終えると、今日の症例の説明会を部長が行った。骨折していると手のひらがわずかに赤くなるケースがあるようで、確認ポイントとなることを伝えた。



 スーパー看護師の片鱗を初日から見せはじめていた。


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