外科の新人の歩み21 正式配属
2人で仲良く病院に出勤すると、朝礼での紹介の後、業務が始まった。
外科婦長「あなた。今日から鍛えるからね!」
外科の新人「よろしくお願いします。」
外科部長「お互いに大変だな。ああ。新人さん。午前の診療が終わったら、私のところに来なさい。」
外科の新人「分かりました。」
外科婦長「受付に行って。ああ、先生に挨拶してからね!」
外科の新人「はい。分かりました。」
受付に行くと先輩看護師に挨拶する。
外科の新人「先輩。よろしくお願いします。」
看護師「ああ。よろしくね。噂は聞いてるわよ。とにかく酷いってね。けど婦長だけは、あなたはすごいって。婦長の目は確かだから、私は婦長の言葉を信じるわ。」
外科の新人「酷いなりに頑張ります。ちょっと先生に挨拶してきます。」
外科の新人「今日から正式配属されました。先生よろしくお願いします。」
先生「ああ。こちらこそ、よろしくお願いします。」
新人「ねえ、先生。彼女いるんですか?」
先生「えっ?。。いや〜、医師として頑張ることしか考えてなかったからなー。。」
新人「それはダメですね〜。先生の幸せはどこにいっちゃったんですか?」
先生「今でも幸せなんだけど。。ただ、いろいろ見つめ直す時期なのかも知れないな。」
看護師「先生。診察を開始してもよろしいですか?」
先生「えっ?ああ、お願いします。」
診察が始まった。
看護師「ちょっと新人さん。仕事中に誘惑したらダメだよ?でも若いっていいわね〜。あなた先生狙っているの?なかなかいいセンスだわね!」
新人「いえ。彼がいますから。」
看護師「なによ。。乗り換えるの?まあ先生はいい男だからね。」
新人「ちょっと訳ありでしてね。。彼女がいるのか知りたかっただけなんです。私は彼とラブラブですから。あの〜先輩。なんか思っていたほど忙しくないですね。」
看護師「ああ、最近は紹介状がないと高いお金取られるようになったし、その値段も上がったからね。昔みたいに混まないよ。前はこんな話をする余裕はなかった。ねえ、先生にいい人いないかな?私が独身だったら絶対に狙うんだけどな。
新人「先生って。。患者さんを助けることしか考えてないですよね。。あれで先生の彼女は幸せになれるのかな?」
看護師「裏の顔が無ければ。。最高に幸せになれると思う。」
新人「えっ!どんな裏の顔があるんですか!ねえ、教えて下さいよ!」
看護師「いや、知らないわよ。人間って何があるか分からないでしょう?まあ、先生に裏の顔があると思えないけどね。」
新人「なんだ〜。もー。びっくりするじゃないですか。。あっ!こんにちは!診察ですね。。」
あっという間に診察時間は終わった。
看護師「あなた。まあまあよ。やっぱり、婦長の目が正しいわね。」
外科の新人「私は出来ないことはいっぱいありますから。そう言えば、私の勤務表はないのでしょうか?」
看護師「ああ。6ヶ月は試用期間だから、通常勤務よ。土日休み。最初だけだから。満喫しなさい。」
外科の新人「そうなんだ。。研修生より楽だな。いいのかな?」
看護師「いや、研修生も同じでしょう。」
外科の新人「私、見舞いの時間終わるまで帰らなかったから。」
看護師「なんで?」
外科の新人「だって。患者さんが家族に大切にされてるのかチェックしたかったから。。あっ!外科部長に呼ばれてた!」
看護師「早く行きなさいよ。」
外科の新人は部長室に急いだ。
外科の新人「部長。ご要件は?」
外科部長「私は、君は素質があると思っている。君が希望するなら、明日から毎日特訓するが。毎日7時までだ。どうする?」
外科の新人「いいのですか?私、元々、面会時間終了まで帰らないつもりだったから時間は大丈夫です。」
外科部長「あのな。問題になるから試用期間は帰ってくれ。特訓は申し訳ないけどタイムカード押してからだけど、それでいいのならだがな。」
外科の新人「是非お願いします。あっ!タイムカード押してからなら面会時間まで。」
外科部長「婦長の顔を潰すな!」
外科の新人「はい。分かりました。明日からよろしくお願いします。」
遅めの昼休みに急いで内科の新人のところに行く。
外科の新人「忙しそうね。」
内科の新人「ああ。これくらい平気。そちらは、どう?」
外科の新人「普通かな?ねえ、面会終了までいたいって行ったら怒られちゃった。9月まで通常勤務らしいね。」
内科の新人「えっ。そうなの!」
外科の新人「そんなことより、先生に聞いたよ。今日、食事どう?」
内科の新人「い、行く!」
外科の新人「終わったら来るわ。ルームメイトには、彼と相談と伝えておくわ。ちょっと昼食食べてくる。」
外科の新人は自分で作ったおにぎりを中庭のベンチで食べる。
入院患者さんと楽しそうに話をしている。
婦長「部長。見てよ。」
部長「なんだ。」
婦長「あの子はすごいなー。患者さん楽しそう。」
部長「忙しくないと死ぬタイプなのか?なんで土曜日にケーキ屋さんで全力で働いているんだ。」
婦長「あの子が手伝った日からケーキ屋さんの行列減ったの。やっぱり化けると思う。」
部長「明日から私が教えるよ。合格まで毎日2時間。」
婦長「あら。。ふーん。」
部長「なんだ?ああ、気をつけろよ。面会終了まで毎日いる気だったぞ。」
婦長「研修生の時もなのよね〜。今日付いた看護師が言ってた。患者さんの家族の気持ちが理解したいって。あの子、研修生の時は役に立ってないから、見舞いの対応なら皆さんの負担が減らせるって。。本当の目的はそれだったのか〜。しかし、要らないって。。本当にバカだと思う。」
部長「節穴にも程がある。まあ、おかげで私達がもらったからな。」
婦長「仲のいい同期の子が言ってたけど、あのスーパー新人の内科の新人さんが、あの子はあっという間に私なんか追い抜くって言ってたそうよ。」
部長「さすがにそこまでではないんじゃないかな。」
婦長「今日内科を見てきたの。教えることは仲間の紹介と、この病院の特徴だけだって。既に他の看護師より仕事してた。それなのに、あの子が自信もって追い抜くって。。」
部長「しかし婦長。内科より楽しそうだな。」
婦長「そうね。あの子いるからかもね。あと、外科はチームワークがいい。ただ、手術は補佐でしか関わらなかったから。。苦労してます。」
部長「内科の婦長は変えないとダメさ。内科の部長も認識してたよ。手術は無難にやってるぞ?ああ、そろそろ会議に行くよ。」
婦長はお辞儀して職場に戻った。
婦長「新人さん。一緒に病室回るよ。」
回った病室が次々と明るい雰囲気に変わっていった。定時になると申し訳なさそうに帰宅する外科の新人だった。
仕事を終えると新人看護師は同期の内科に配属された看護師と定食屋さんに食事に出かけた。
外科の新人「こんばんは。ちょっと座敷を使いたいんですけど。」
母「配属初日はどうだったの?」
外科の新人「なんか。。楽だった。」
内科の新人「私も。」
外科の新人「あなた、夕方すっごい忙しそうだったよ?」
内科の新人「そうかな?内科は手術が基本ないから物足りないな。」
外科の新人「手術がしたいの!」
内科の新人「したくはないけど。。」
外科の新人「良く分からないな。」
内科の新人「もともと外科に行くために手術はかなり勉強したから。」
外科の新人「そう。。いつか役に立つ日は来るわよ。ねえ、何を食べる?」
内科の新人「カルビ焼き定食!」
外科の新人「じゃあ。同じでお願いします。」
外科の新人「ねえ。先生に聞いてみたけど。。彼女がいるとは思えなかったわ。全く頭に無さそうだった。でも、本当にいい人よね。」
内科の新人は「そ、そう!」と微笑む。
外科の新人「ねえ。。そんなに好きなの?」
内科の新人「えっ。。う、うん。」
外科の新人「関わりがないのになんで?どう考えても一目惚れよね。まあ、確かに格好いいとは思うけど。あっ、運命の人ってやつか!」
内科の新人「。。。」
外科の新人「まあいいわ。食べましょう。」
内科の新人「そ、そうね!うわーっ。すごいすごい!」
外科の新人「タレがいいわね〜。これはおかわり確定だわ〜。」
内科の新人「あのね。朝食でお父さんとお母さんがごはんに感動してた。あなた本当にすごいわ。ねえねいえ、今週泊まりに行ってダメかな。」
外科の新人「土曜日の朝から2人ともデートだからな。彼女たぶん土曜日泊まりだし。金曜日の夜から朝までなら。。ただ、私用事あるから帰宅8時くらいになるけど。」
内科の新人「それなら、買い出しに行って夕食準備しておくわ。ねえ、布団を明日くらいに運んでいいかな?」
外科の新人「8時以降なら大丈夫よ。」
内科の新人「じゃあ、お父さんに頼んでみる!」
外科の新人「じゃあ帰ろうか!お母さん。勘定お願い。」
母「はいはい。1890円ね。」
外科の新人「私が払うわよ。いいから!今日は私。」
父「気をつけてな。また顔見せてくれな。」
外科の新人「もちろんですよ〜。おやすみなさい。」
内科の新人「も〜。子供扱いして!私が払いたかったのに!」
外科の新人「あのね。また一緒に行きたい人には先に払うと、次の可能性が出るでしょう?」
内科の新人「えっ!う、嬉しい。すごく嬉しい。ありがとう!」
外科の新人「帰りは。。大丈夫よね。」
内科の新人「近いし。大丈夫よ。あなたも気をつけてね。」
外科の新人「私?気をつける必要がないわね。」
帰宅して、次の可能性という外科の新人の言葉を思い出すと嬉しくなってしまう内科の新人だった。




