外科の新人の歩み17 研修の打ち上げ
研修終了の打ち上げをするため、3人は歩いて定食屋さんに向かう。
内科の新人「へー。ここがあなた達の学校なの。ずいぶん古い建物ね。私、本当はこちらが良かったの。寮に入らないといけないからお父さんの許可が出なかった。」
同僚「まあ、中学生なら。。仕方ないかもね。あれは寮なのよ。あっちの新しい建物が校舎。」
先生「あら。。あなた達。仕事どう?」
同僚「先生!私は来週から血液内科に配属。」
外科の新人「私は外科よ。」
先生「血液内科か。。あなたにはぴったりね。えーっ。あなたが外科!私、骨折したら。。あなたにはケアされたくないなー。入院生活を楽しむ話し相手なら大歓迎だけどね。」
内科の新人「あの、お言葉ですが。彼女ならあっという間にナンバーワンの看護師になります!」
外科の新人「いいのよ!」
先生「こちらは?」
同僚「期待の超大物新人。国立大学付属の看護学校出身よ。研修生の時代に先生と2人だけで脳内出血の緊急手術をやり切ったらしいわ。」
先生「えーっ!それは規格外ね。」
外科の新人「えっ!そうなの?すごーい!」
内科の新人「あれは。。誰もいなくて他に手段がなかったからです。もー。。誰に聞いたのよ!」
同僚「外科の婦長。」
外科の新人「あなた意外と短気ね。話したら伝わると思いなさい。まあ、私達は大丈夫だとは思うけどね。」
先生「まあ、頑張りなさいよ。応援してるからね。」
3人は頭を下げて、定食屋さんに向かった。
内科の新人「あーっ。入ったことはないけど、有名なお店じゃない。名前知ってるよ!へー、ここにあったんだ。。毎日昼は行列出来るって聞いたよ?」
予め外科の新人は両親には関係を口止めしていた。
外科の新人「お久しぶり〜。前にアルバイトしてたんだ。美味しいよ。」
同僚は察し「働いている時に、彼女に呼ばれて食べたのよ。そしたら、すごい美味しかったのよ!久しぶりだな〜。楽しみだわ〜。」
外科の新人「こんばんは〜。」
母「来たか!頑張って研修終えたらしいから、今日はサービスだよ。好きな物を頼みなさい。さあこちらの座敷にどうぞ。」
父「研修どうだったんだ?」
外科の新人「実践の研修になると。。やっぱり、さっぱりね。他は無難だったかな。」
父「最後ずいぶん勉強したもんな。実践は経験さ。」
内科の新人「ねえ。オススメは?」
父「なんか。。ものすごーい美人じゃないか?こんな綺麗な人は見たことない。すごいな〜。なあ母さん。」
母「本当よね〜。すごいわね〜。間違っても私らからは生まれないわね!」
外科の新人「今日知ったんだけど。身体もすごいのよ!」
外科の新人は胸を触る。
内科の新人「いやっ。は、恥ずかしいよ〜。」
父「うわっ!これはすごいな。」
母「もはや嫉妬すら出来ないくらい見事だね〜。」
外科の新人「さあ。何を頼む?私達は初めての時に、店主自慢の逸品を引き当てたのよ。」
同僚「さあ。どうする!あなた優秀なんだから大丈夫よね!」
内科の新人「えっ。えっ。えっ。えーと。。か、カルビ焼き定食!」
外科の新人「あら〜。残念。」
内科の新人「えっ。。せ、正解は?」
父「でもいいセンスだよ。それ、私の2番目の推しメニューさ。」
同僚「正解は味噌カツ定食よ。」
内科の新人「じ、じゃあ味噌カツ定食3つ!」
母「分かったよ。いい仲間が出来たみたいだね。」
楽しそうに料理を待つ3人。
内科の新人「味噌カツか〜。さすがに考えつかないわ。あなた達、やっぱりすごいわね!」
外科の新人「私は入社試験みたいなものだったから、ものすごいプレッシャーだったわ。」
注文した料理が届いた。
内科の新人「うわっ!美味しい。。えっ。何。。このごはん。すごい!」
父「ああ。ごはんは彼女が働いて教わったから彼女の味だ。」
内科の新人「すごい!やっぱりあなた天才よ。私、外食が美味しいって初めてよ!」
父「おーい。接客頼む。」
母「初めてって。。よっぽどあなたのお母さんは料理が上手いのね〜。まあ、楽しんでね。」
外科の新人「いや〜。やっぱり美味しいわ〜。」
同僚「私。毎回タダでいいのかしら。彼と来る時は払うようにしてるんだけど。。」
内科の新人「あ、あのー。」
外科の新人「ごはん。おかわりでしょう?」
同僚「すみませーん。」
母「ごはん3つね。」
内科の新人「すごーい。超能力あるの?」
同僚「みんなおかわりするからね。」
母「はい。お待たせ。彼女の炊き方に変えたら大人気でね。ごはんだけで儲かるわよ。」
内科の新人「すごーい!ねえねえ。教えてほしいな。」
外科の新人「仕方ないなー。特別だよ?」
内科の新人「う、うん!約束だよ?お願いね!」
同僚「いよいよ正式配属か。。なんか緊張するなー。みんな頑張ろうね。悩んだら相談。約束だからね!」
内科の新人「うん!」
母「あれ、どうする?」
同僚「ああ!いいわね。」
母「お父さん。例の3つ。」
父「分かったー。」
母「はい。お待たせ〜。」
内科の新人「うわ〜。マロンケーキ!美味しそうね。」
みんなで様子を見ると、ためらうことなく内科の新人はほうばる。
すぐさま外科の新人はタオルを差し出す。
頭のイメージと味があまりに違い、怖くなり吐き出す。
母「へー、あなた。見た目と違って。。反応は普通みたいだね。」
内科の新人「びっくりした〜。何これ。。」
同僚「彼女が開発した。マロンケーキ風の胡麻豆腐とそうめん。」
内科の新人「すごい!確かにマロンケーキに見える。ん!美味しい!吐き出しちゃった。もったいない。美味しいわ。えっ。箸で?」
同僚「そうめん食べにくいでしょう?」
外科の新人「あーっ。また進化してる。麺つゆ変えたの!甘めになったな〜。でも悪くないな。あなた見た目で判断したじゃない!」
内科の新人「えっ。。あの。。ごめんなさい。」
同僚「謝ることじゃないわよ。勉強になったな〜。それでいいの!」
父「いまや人気上位だよ。また新しいの考えてくれないかな?」
外科の新人「難しいこと言うなー。考えてみるわ。でも、店で出すレベルは厳しいと思う。そろそろ帰ろうか。」
内科の新人「もう少しいたいな。」
同僚「大丈夫?ご両親厳しそうな印象だけど。」
内科の新人「理由を言えば大丈夫よ。こんなに楽しいのに帰れないわ。」
母「じゃあ。閉店するか。私達も食べましょう。」
父「そうだな。母さん。何がいい?」
内科の新人「あの。ごちそうになったから、私が作りますよ。」
内科の新人が厨房で余り物で料理する。
内科の新人「お待たせしました。」
外科の新人「えーっ!」
同僚「な、なに?」
父「フランス料理?すごいな。あの残りでこれを。。参ったな~。」
母「あら、美味しそうね!」
父「ん!。。これはすごいよ。」
母「うわー。何よこれ!あなた店出せるわよ。定食屋でこんな料理食べる日が来るとは。。そりゃ、こんな物を作る人に外食で初めて美味しいって言われたら光栄だわね!」
外科の新人「そんなになの?いいなー。お腹いっぱいで食べれないよ〜。」
同僚「あなた苦手ってないのかな。参ったな~。」
内科の新人「料理教室通った時期もあるから。」
父が料理の話をすると内科の新人と盛り上がる。メニューの参考に父は熱心に聞いて、すっかり夜遅くなってしまった。
これだけの美人は夜は危ないと思い、父が3人を車で送り届けた。
内科の新人は帰宅すると両親に今日の話をした。両親は、割と当たり障りなく付き合う娘がこんなに深い付き合いをするのは初めてで、いい仲間と巡り合ったことをとても喜んだ。
自分の部屋に入った内科の新人は、自分がこんなにも人を信頼出来るのが嬉しかった。
温泉を断ったのは後悔したが、自分の一番の悩みを分かち合ってくれる相手なのは頭では分かっていたのだが、あと一歩踏み切れなかった自分を情けなく感じた。
自分も変わらないと仲間を大切には出来ない。
大切にしたいからこそ、変わりたいと思う内科の新人だった。




