外科の新人の歩み13 卒業試験結果発表
猛勉強の末に迎えた卒業試験を終えた。あとは卒業を待つばかりになった。
同僚「ねえ、明日の卒業試験の結果。一緒に見に行かない?」
外科の新人「そうね。。はあ〜。」
同僚「どうしたのよ。」
外科の新人「また生理来ちゃった。。ねえ、妊娠する確率ってどれくらいなのかな?」
同僚「そうね。。確か。一番ベストの時で10%くらいらしいとは聞いたけど。。正解かは分からない。私達は若いから、もっと確率高いかも。でもせいぜい15%くらいじゃないかな?」
外科の新人「つまり7〜10回に1回!1年に1回くらいしか可能性無いってこと?何か落ち込むな〜。」
同僚「そうよね。妊娠したら困るって人には恐ろしいくらい高い確率。妊娠したい人には信じられないくらい低い確率だよね。これで終わりじゃないんだから、努力でしょう?あなたらしくない。」
外科の新人「そうね!ねえねえ。お父さん達のお店に行こうか!たまには払わないと。勉強のお礼で私が払うわ。」
同僚「いいわね!行きましょう。」
2人は歩いて定食屋さんを訪ねる。
母「あら、いらっしゃい。」
外科の新人「明日、卒業試験の結果発表だから、勉強のお礼で今日は私が奢るの。ねえ、何にする。」
同僚「1週間振りだから。。味噌カツ定食!」
父「味噌カツ定食2つね。たまにはカウンターに座ってよ。話したいし。」
同僚「ええ。」
母「試験はどうだい?」
同僚「合格しないほうがおかしいとしか思えないですね。ただ、この子は普段の成績悪いから。評価としては悪いのは変わらないでしょうが。実力は評価以上ですね。」
父「あの、時々迎えに来たの彼氏?」
同僚「はい。」
外科の新人「彼、優しいんですよ。不器用だけどね。店長に会わなかったら。。私、惹かれたかも。」
父「明日試験結果出るんでしょう?だったら、彼氏呼んで、息子も呼んでお祝いしようか。費用は要らないよな。母さん。」
母「当たり前じゃないの!あっ。不合格だったら?」
外科の新人「いきなり不合格はないみたいです。再試験があります。」
父「じゃあ、再試験頑張ろう会でもいい。」
同僚「あの。たぶん夜7時なら。。ちょっと確認してきます。」
外科の新人「店長忙しいかな?」
母「十分儲かっているから店を閉めて来るさ。」
同僚「お待たせしました。夜7時大丈夫です!」
外科の新人「ねえ。お父さんが明日卒業試験のお祝いか残念会をやろうって。夜7時に実家だけど。。ええ、分かったわ。」
母「どうだい?」
外科の新人「6時に閉めて来るって。」
父「良し!夜7時から貸し切りだな。」
母「はいはい。張り紙をかきますよ。」
外科の新人「ねえ。主役は彼氏でいいよね?」
父「そうしようか!まあ、みんなお祝いだけど。」
同僚「ん?ねえ、この『マロンケーキ?』って何?」
外科の新人「えっ!あるんですか?」
父「はい。どうぞ。」
同僚「へー。息子さんのマロンケーキを定食屋さんで。斬新ね。頂きま〜す。」
口に入れた同僚にタオルを差し出すと、同僚はびっくりして吐き出した。
同僚「な、なにこれ〜。びっくりした。ヤバいもの食べたと思って焦ったわ。」
父「これはな。彼女の作品でね。息子もびっくりして吐き出した。マロンケーキに見えて、胡麻豆腐にそうめんにしょうが。」
外科の新人「あれ。。さすがお父さんね!更に美味しくなってる!」
母「初めて食べる人は、かなり吐き出すよ。」
同僚「聞いてから食べると美味しい!あなた才能あるわね。」
外科の新人「マロンケーキ作っても絶対勝てない人がいるんだから、これくらいしないとね。」
同僚「へー。見た目で判断するなってことか。。ねえ、マロンケーキ作ってもらって。彼に両方食べさせよう!こちらはあなたが作ったと言いましょう!」
外科の新人「そろそろ門限だわ。戻りましょうか。お母さん3000円。」
母「仕方ない。頂くよ。その代わり明日はタダだからね!」
外科の新人「はーい。おやすみなさい。」
帰宅して寝ると、翌日の昼過ぎに結果が貼り出された。外科の新人が2位。同僚が3位だった。
同僚「やったわね!一番じゃなかったか。。残念。」
外科の新人「ねえ。卒業出来るってこと?」
同僚「当たり前じゃない!」
外科の新人「やったー!ありがとう。」
仲間達はずいぶん心配していたようでみんなが取り囲み泣いたり抱きついたり大騒ぎだった。
1週間後に卒業式を迎えることになった。
寮に戻ると同僚と相談する。
外科の新人「ねえ。悩んでて。」
同僚「どうしたのよ。」
外科の新人「何処に住むか。店長の2階に住むのも考えたけど。。生活が不規則だし。一人暮らしは採算合うのか。」
同僚「実は私もなのよね。病院の寮はあるらしいけど。さすがに寮には入りたくない。彼は自宅に親と住んでいるから。アパート借りて同棲もあるけど。そうなのよ不規則だから、迷惑かける。ねえ、2人でルームシェアは?」
外科の新人「いいかも。やがては結婚するし、いつ結婚するか分からないけど、それでもいいのなら。」
同僚「明日探しに行こうか!」
外科の新人「うん!いよいよか。頑張らないと。」
同僚「あっ!時間だよ。そろそろ行こうか!」
外科の新人「そうね。」
2人が定食屋さんに到着すると、彼が車から降りてきた。
彼「今日はよろしくお願いします。」
外科の新人「今日の主役はあなただから。」
彼「えっ!何で?」
同僚「あなたがメンバーで一番親しくないからよ。行くわよ。」
中に入ると店長が落ち着かない様子で待っている。
外科の新人「こんばんは。」
店長「待ってたよ。」
同僚「みんな心配してますから。先に報告。まず私は卒業試験3位で合格しました。」
父「さすがだなー。おめでとう。」
外科の新人「私?あのー。。2位で合格しました。」
店長「やったー。」
店長は抱きしめキスすると外科の新人は背中に手を回す。
同僚「あらら。熱いわね〜。」
父「おい!君たち。主役を立てなさい!」
外科の新人「そうだった。私の大切な友人の彼です。」
彼「ありがとうございます。なのか、おめでとうございますなのか良く分かりませんが、みんな幸せみたいだから良かったです。」
店長「お仕事は?」
彼「営業です。商品販売です。」
父「へー。お役に立てるなら何か買うけど?」
彼「事務用品で一般販売はしていないので。」
母「なんか、いい男だねー。さあさあ。今日は、定食のおかずをいっぱい並べたから、好きなのを食べて下さい。ごはんのおかわりが必要なら言って下さい。」
父「試験合格おめでとう!彼も幸せになって下さい。じゃあ、食べましょう。」
みんなで楽しい食事会が始まった。
彼「うわっ。むちゃくちゃ贅沢。美味い!ん。。ごはんがすごいですね。」
美味しい食事に卒業決定。とても楽しい食事会になった。お腹が膨れて、各自交流になり会話も弾んだ。
父「明日は何するの。」
同僚「明日は彼は放置して。。2人で新居を探しに行くの。」
母「へー。同棲しないのかい?」
外科の新人「私達は生活が不規則だから、ちょっと同棲は無理という結論になったんです。明日ルームシェア出来る物件を探しに行くんですよ。」
彼「もしもし。親父。大学病院の近くのマンションって。ルームシェア出来る物件あるの?いや。ちょっと結婚を考えている人が就職するから、女同士でルームシェアしたいって。。」
同僚「えっ。ウソ!親に結婚って。。」
嬉しくて泣き始める同僚を嬉しそうに外科の新人は抱きしめる。
父「へー。地主の息子さんか。引き継いだら安泰じゃないか。」
外科の新人「あなた知らなかったの?」
同僚「うん。」
外科の新人「何よ。人に彼の貯金も知らないのに結婚するとか大丈夫?って言うわりに。。私と変わらないじゃない!」
あまりの嬉しさに彼に抱きついて泣きじゃくる同僚。
外科の新人「落ち着いた?」
同僚「力抜けた。。あなたが、まず赤ちゃんって言うの初めて分かった。親が金持ちとかじゃないわよ。彼が結婚したい人って。。赤ちゃん欲しいって。。」
父「刺激が強すぎたみたいだな。」
店長「それで。ルームシェアの部屋はどうでした?」
彼「一つ空いてて、来月もう一つ空くそうです。家賃は2割引きするって言ってたな。。」
同僚「明日見に行かないと!明日中に決めましょう。」
外科の新人「ねえ、あなた。突然戻るわね。」
彼「マンションの地図と親父の連絡先をメールするから。管理会社通さず、身内の特別契約するってさ。朝10時でいいかな?」
外科の新人「大丈夫です。」
彼「上手くいくといいね。気に入らない時は断ればいいから。」
外科の新人が運んでくる。
外科の新人「はーい。最後にスイーツ。」
彼「2個ずつ。食べれるかな?」
皆が注目する中、彼はマロンケーキ?を口にするとびっくりしながらも飲み込んだ。
彼「いや〜。イメージと違ったけど。。飲み込んだら美味いと思った。へー。胡麻豆腐とそうめんか。美味いよ。」
父「これは手ごわいな。みんな吐き出してたが。。」
彼「2個出したからかもね。口に入れて考えているうちに分かったから。これ、さっぱりしていいね。」
同僚「彼女の考案なの。店の商品になっている。」
母「最近頼む人増えてね。毎日いくつ作るか悩ましいのよ。」
店長「へー。どれくらい売れてるの?」
父「昨日は40個完売。」
店長「そんなに!」
彼「ホンモノのマロンケーキはさすがですね。有名なだけはある。」
外科の新人「あなたの彼。大物になりそうね!」
父「間違いないな。」
店長「幸せな1日になったよ。これからもよろしくお願いします。」
彼「定食もケーキもたまに寄らせて頂きます。あなたが友人だから彼女は地元に戻らなかった。あの段階では、まだ勇気がなくて。。僕はとても感謝しています。これからもよろしくお願いします。」
楽しいお祝いは終わり、翌日、好条件の物件を安く契約して、就職に備える2人だった。




