第三話 結局素材の味で一番美味しいのは塩
日夏「…で?なんで先生と飯食うことになってんのよ?」
シェリー「その…お詫びをな…」
日夏「気にしてないですって…」
あかり「そ、そうですよ…!沢山食べましょう!」
まこ「めしー」
シェリー「なんで…なんでお前らついてきとんのじゃ!
」
日夏「知らん…私達二人で飯って話だったのに…」
まこ「ぬすみぎきした」
あかり「盗み聞きを盗み聞きしました!」
よくわからん!
私なんか呼んでシェリー先生…他になんか理由あるだろ?
日夏「んで?どこに食べに行くんですか?」
あかり「あー!まこちゃんと考えてね!ビュッフェ行くことにしたの!」
日夏「私モデルですよ!食べ放題なんか行けるわけ無いでしょうが!てかなんで関係ない二人が決めてんだよ!」
シェリー「あかりのおすすめの店らしい。なんか美味しい野菜スムージーが出るんだってさ。」
日夏「もうそれ私に野菜スムージーしか飲むなって言ってるもんなんだけどね。」
店員「時間は無制限になっております。それではお楽しみくだ…」
まこ「いも!いも!いも!」
!?
まこが暴走してポテトを山盛りに持ってくる。
店員「…出禁で…」
あかり「ちょ!ちょ!ちょ!勘弁してください!わ、私いつもの天使のステーキで!」
店員「チッ!かしこまりました。」
あかり「へえ…用意できるんですね!」
店員「うるさい。黙れ。」
シェリー「あ、あの…」
日夏「すみませんでした…」
店員「あ!いえいえ!私ったら!それではお楽しみください!」
店員がスタスタと戻っていった。
日夏「先生。あの人は…」
あかり「あー!あの人は私の友達です!気にしないで!ああいう性格だから!」
まこ「てんしのすてーきなに?たべたい!」
まこが戻ってきてしばらく沈黙になる。
いや、まさかあかり先生が天使の肉をそのまま食うわけない。
聞いたことがない。
食べたらどうなるか…
シェリー「…。ま、まあ話を戻すか!」
まこ「てんしのすてーき?」
あかり「高級和牛ステーキです!」
日夏「ビビった…マジで天使の肉喰うのかと思った…」
シェリー「日夏。野菜スムージー持ってこい。その後…二人の話を聞かせてくれよ…なんか日夏の日常的な。」
日夏「私の話ですか?そんな…聞いて何になるんですか…」
あかり「えぇ!いいじゃないですか!聞きたいです!」
日夏「そんなに聞きたいなら…」
日夏の日常
朝5時。
日夏の朝は家族の仏壇の掃除から始まる。
仏壇クリームでピカピカにする。
勿論、母と父を喜ばせる為でもあるが、仏壇のピカピカさに惹かれているのだ。
以前まこ達にも話したが、私は空腹感と満腹感が嫌いだ。
何でもかんでも、丁度というものは気持ちがいいものだ。
時間通りに物事が進む。
それだけでいい。
まこ達に出会ってからイレギュラーな事が起こりまくって正直最初はイラツイてたけど…。
それもコイツらがいるから楽しいんだなって思った。
私はまこと違って勉強は得意じゃない。
でも奇跡的に顔やスタイルはよかった。
みんな私の事を嫉妬した。
顔に何かかけられたり、時にはカッターナイフが飛んできたり、散々なイジメにあってきた。
でも何故か自身があった。
中学に入ったらまこや花が守ってくれた。
それに…あの人も…。
日夏「…。」
シェリー「どうした?」
日夏「…いや…。なんでも…。」
兄さん…。
どこに行ったんだよ…。
余計な話をするのはやめておこう。
勉強が得意じゃない私がする事、スタイル維持だ。
強くなるための筋肉ではない。
見せるための筋肉というものはつけるのが意外と大変。
ガチでやるとムッキムキになっちゃうからね。
だから正直筋トレよりも食事制限の勉強の方が時間を多く取る。
脂肪を落とすためには朝の20分間のウォーキング。
これは登校時できる。
そして空腹時のウォーキングだ。
これが私にはキツイのだ。
そして私はメイクは特にしない。
まこ「なっちゃんはいつもはだきれい」
あかり「ノーメイクでお肌キレイに維持できるなんてねぇ」
日夏「ノーメイクの方が肌にダメージが残りません。まあ化粧水、乳液、日焼け止めは欠かせないですけどね」
寝るときも、顔や身体が摩擦を起こさないような素材を使う。
普段着もそうだ。
学校で座る時もクッションを使う。
まこ「…。」
日夏「…。」
時々まこに取られて枕代わりにされることがあるが、まこの顔面に座ったりする。
脱毛やホクロの除去も欠かせない。
毛一本も、ホクロ一個も許されてたまるか。
学校に登校し、勉強をしたあとの下校。
帰りにすることは家族のお墓に行くこと。
お墓をピカピカに洗うのだ。
家族のルールとして、まあ気持ち悪い話ではあるが、どんだけ遅くても家族と風呂に入るのが日課。
5月、6月はゆずの花。
その他はゆずの葉を添える。
そして。
日夏「ふぃ〜。」
毎日ゆず風呂に浸かる。
何が何でもゆずを一年中手に入れて浸かる。
そして食べながら、風呂に浸かる。
まこ「きたね。」
日夏「うるせぇ!…と、これが私の一日です。」
シェリー「モデルの仕事はいつやるんだ?」
日夏「主に金曜日の学校終わりから、土曜日のまる一日ですね。」
あかり「ドラマ出るんでしょ?凄いね!」
日夏「まぁ長期のサスペンスホラーの脇役で出てるんだけですけどね。」
まこ「うわさをもってくるがくせいやく。」
日夏「そうそう。てか申し訳ないよ。私に合わせてドラマ撮ってくれるんだから。まあネットドラマだし、監督も私含めてそんな有名じゃない俳優だからできることかな。」
シェリー「でも毎話では300万再生はいってるな。」
日夏「ストーリー原案の人が凄い人なんですよ。ま、私の話はおいといて。まこ。お前は毎日寝不足だろ。」
まこは下校したあと、塾に通いギリギリまで勉強。
なのに朝早く一番に登校するのだ。
まこ「…なっちゃん。私はね。お父さん、お母さんになりたくないんだよ。」
日夏「まだ…恨んでるのか?」
まこ「恨んでるのはなっちゃんでしょ?」
日夏「…。まこ。ごめん。この話はもうやめよう。飯が不味くなる」
シェリー「ふ、普通に喋ってる…」
まこ「あ。べんきょうとねむるのすきいえーい」
ドォォォン!と急に揺れた。
あかり「…あ?食事中ですよ?」
シェリー「外から悲鳴が…!」
緊急のサイレンがなる。
「天使が、現れました。至急。避難してください。」
シェリー「クソッ!」
シェリー先生は何かを取り出す。
シェリー「マスクだ!つけてろ!」
まこ「なぜに?」
シェリー「言えない!お前らにはまだ早い!」
日夏「?」
あかり「まあまあ。私に任せてくださいよ。」
あかり先生がニヤリと笑う。
あかり「クソが。腕がなるぜ…!」