呪われたゲームクリアRTA
六月と言えば梅雨。梅雨と言えば雨。雨と言えばお家でゴロゴロ日和。
そんな風にわたしは思っている。そして仕事が無い日はそういう風に過ごしている。
今日は仕事が無いからではなく、気分的にお家でまったりゴロゴロゲームでもしたい気分だったから家の外には出ない。
冷蔵庫にはネットスーパーで買ったジュースとアイスに冷凍食品がぎっちり。戸棚にもお菓子とカップ麺がぎっちり。
準備は万端。故に、テレビにゲーム機を繋いでカセットをセットして、スマホのストップウォッチのスイッチを押した。
それなりに古いゲーム機は正常に起動し、画面のど真ん中に赤い字でデカデカと表示されたタイトルは『赤いお家』。ジャンルは知らない。どういう内容かもよく分からない。
だってこのゲームは十数年前に潰れたはずのゲーム店で購入した、所謂呪われたゲームの類だからだ。呪われてるっていうか、このゲーム自体が怪奇現象そのものなんだけど。
面白半分で掘り当てたものだけれど、ただの人間がやったら普通に死ぬ。そういう感じのやつだ。
ゲーム機の方は知り合いの伝手を頼って入手した。
買い漁った呪いのゲーム全てをクリアしたら、ゲーム機はもう使う予定がないのでネットか店で売る予定だ。
「これどこの町背景に選んだんだろ」
なんとなく見覚えがあるような無いような背景の街並みに暫し首を捻ったが思い浮かばなかったので、コントローラーを操作しタイトルの下にはじめるの文字を選べば画面が切り替わった。
それはどこかの家の玄関だった。
画面下にセリフとか説明文とかが現れて、ボタンを押さなくても勝手に話が進んで行く。
どうやらセリフの主はこの家の主で一人暮らし。口調から察するに女性。夜勤の仕事を終えて帰ってきたばかりらしい。
………たぶんこれ操作する人間の性別によって女性か男性か変わるやつだな。あと一人暮らしとかどうとかも実際の状態によって変わるっぽい。
玄関で靴を脱いで、家の主は階段を登って二階にある書斎に向かう。
部屋の扉を開けると、何故か勝手にパソコンの電源が点く。不思議に思った女性がパソコンに近づくと、パソコンの画面に『赤いお家が大好きです』という文字が唐突に現れる。
変なウイルスにでもやられたのかと女性が溜息を吐くと、パソコンの電源を落とした。
そして場面が変わり、女性は夕飯を食べていた。食べ終わった食器を片付けて、お風呂に入って、それから明日の仕事の準備のために書斎に入ると、また勝手にパソコンの電源が点いていた。
今度は『赤いお家にしたいです』という文字がデカデカと書かれている。……のを認識した途端、わたしの部屋の空気が変わった。
「そこかー」
後ろを振り返って、そこにいたモノを思いっきりぶん殴った。
ぐちゅりと肉が潰れる音の後に、中々の大音量で絶叫が響く。煩かったので、ゴロゴロ床を転がるモノを何度も何度も叩き潰した。
数分すると部屋は静かになった。それと同時にテレビの電源もゲーム機の電源も切れた。普通のカセットをセットして再び起動すると問題無く動く。よし!
確認用のカセットを抜き、次のブツをセットする。
最初のやつは八分かかった。次は八分切るのを目指そう。
意気込みつつゲームを起動したら、古井戸の横に死装束を着た長い髪の女が立っている画面が映し出された。
なんか色々とダメな気がしたので女を引き摺り出してボコった。記録は二分だった。
我ながら中々に素晴らしい記録ではなかろうか。
これ以上いいタイム出せる気がしなかったのと、なんかもうこれでいいやという気持ちになったので、用意していた呪われたゲームは全部潰して丸めて、いい感じの血塗れ肉団子にしてからゴミ箱に捨てた。
よし、散歩に行こう! 一人だけ濡れるの嫌だから栗原も誘おっと。




