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猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫

 たまーに思考を汚染してくるタイプの奴に遭遇する。

 ネットとかでふわふわ漂ってたり、その辺ほっつき歩いてたり。まあ色々だ。



 あんまり当たることはないものだけど、当たったら最後思考はナニカによって染められ、塗り替えられ、支配され、そうして終わる。

 当たった人は御愁傷様としか言えない。思考汚染タイプって追い払うのがかなーり面倒だから大体放置一択。



「猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫」



 なので、人気の無い薄暗い路地裏でひっくり返り永遠猫と繰り返している中年のおっさんは見て見ぬ振りを決め込むことにした。

 いやだってもう完全に後は終わるだけーなところまで来てるし、この人猫好きっぽいからまあいいかなあって。

 猫じゃないけどね。猫じゃないけど猫猫猫と呟き涎垂らして幸せそうにしてるからまあいいんじゃないかな。



 っていうか、ちゃんと人様の迷惑にならないようこんな所に来るなんてわりといい奴。

 往来のど真ん中でこんなことになったら邪魔だし、たぶん呼ばれた救急隊の人とか心底怯えるだろうし。

 なにより取り憑いた相手幸せにしてるからねぇ。手段が強引の域を超えてて草生えるけど。



「みゃ〜お」

「違うの来た」



 今度見たら鰹節でもあげるかと、元来た道を戻ろうとしたらなんか来た。

 猫である。ただし声真似してるだけのやつ。気が引きたいらしい。



「みゃ〜お。みゃ〜お。みゃ〜お」

「お母さんじゃないっす」



 赤子の声で、女の子の声で、男の子の声で。

 みゃ〜おみゃ〜おと泣き続ける。否定しても鳴き続ける。認めるまでやる気だコイツ。



 きっも。思わず声に出た。瞬間、声真似してたのが唸り声みたいなのを上げ始めた。

 赤ん坊の声でも女の子声でも男の子の声でもない。男だ。それなりに歳のいった。壮年くらいの男の声。



 きもい。きしょい。そういう言葉しか浮かばない。やってることもマジで本当にきしょい。



 ハゲデブなのはまあ歳とか考えたらしゃーないとしても、その性癖はあかんやろ。

 多少若い姉ちゃんにムラッとするのは本能的なものとしても、年端も行かない子ども相手にそれはナイ。マジで、ナイ。

 何故せめて高校生……いや、大学生の子だけを相手にせんかった。アホなの? クソなの?……どっちもか。



「猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫」

「おーい猫」

「猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫」

「猫じゃない猫いるよ」



 ぴたり。猫が止まった。

 きしょいのはなんかまだ唸ってる。



「猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫」

「怒り大爆発じゃんうける」



 そうして猫は猫じゃないのを猫にした。

 激おこじゃん。あ、きしょいのに捕まってたのも同じように猫にされとる。



 おっとー。ダメダメ。そっちのはまだ綺麗だから。ダイレクトに汚染されたら壊れちゃうし。壊すのはアウト。狩られるぞい。

 というかわたしが狩らないといけなくなるからやめて。無駄に仕事増やそうとしないで。

 そうそう。ぺってしてえらいねー。かしこいねー。あ、きしょいのはそのままでいいよ。



「猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫」

「そっちの方は好きにすればいいんじゃない? 身から出た錆でそうなっちゃってるから助けてやる義理とか無い」



 罰当たりなことして、変なおっさんにお金貰えるからってほいほいついて行ったりするのが悪い。

 お迎えの方も来る気配全然無いし、完全に壊れるまで壊していいんじゃないかな。魂の一つ二つ減った所でなんか影響出るわけじゃないし。

 だから君の好きにしていいと思うよ。そういうの相手にするなら別に何した所でわたしの仕事は増えないし。



「猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫」



 猫、大歓喜。そっか、今までひとりぼっちだったけどそうじゃなくなるんだね。

 それは喜ばしい……喜ばしいか? 被害増えそうだけど……まあいっか。

 当たるのって相当運が悪いか、そういう運命のか、日頃の行いの結果が原因だから。少々増えたとこであんまり変わらない。



 そういうことなので、後は好きに遊べとさっさか路地裏から出た。

 今日も快晴。春うららか。散歩にはめちゃくちゃいい日和である。

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