01話 誕生! ステータス見て、魔力増やしてみようと思う
「ん、あー」
創造神が魔法を発動した後、少しの間意識を失っていたようだけど、だんだん覚醒してきた。どうやらちゃんと転生できたようで安心した。回りが少しずつ見えるようになってきたところで、2人の人が俺の顔のぞき込んでいた。
男性の方は、ガタイの良い体格で赤みが強い茶髪が短く切られている。女性の方は、スラっとしていて出るところは出て引っ込むところは引っ込んで、きれいなプラチナブロンド色の髪をしていた。それに、よく見てみたら、耳が少し尖がっていた。おそらく、エルフかハーフエルフといったところだろう、と思っている。
「あなた、この子が目を開けてくれましたよ!!」
「本当だな…」
「この子の名前はどうします?」
「うーむ.....そうだな。.....ハシュリート、なんてどうだ?」
「いい名前ですね。元気に育ってほしいです!」
「お前が張り切るのもよいが、まだ生んでばかりで体力が落ちているのだろう。お前もしっかり休むのだぞ。」
「ええ、ありがとうございます。」
どうやらこの2人は、俺の今世での両親らしい。
「あぅあぅ~。あぅあぅ~(母~。父~。)」
当然だけど、まだ、ちゃんと声を出せないし、手足も思うように動かせないが、両親を呼んで今できる満面の笑みを見せた。それに応えるように、両親は目に涙を浮かべながら笑みを返してくれた。
………
………………
………………………
生まれてから、大体1ヶ月経っただろうか。
この世界では、曜日がなく1週間6日で1ヶ月5週間ある。また、1年は元の世界と同じ12カ月だった。
生まれたばかりで、母乳を定期的に与えられていたが、見た目の年齢に精神が引っ張られていたのか、抵抗感もなく順調に育っていった。そして、母乳を与えるときはいつも両親そろって俺のところに来てくれる。前世では、早くに両親を亡くしていたから、こういうのは素直に嬉しい。
「リートちゃんも生まれてからもう1ヶ月ですかぁ。早いですね~。」
「そうだな~。だが順調に育ってくれて俺は嬉しいよ。」
「本当にそうね。リートちゃんはお乳もちゃんとたくさん飲むし、目もクッキリとしてるから、将来は持てるでしょうね~。」
「俺としては、上の子たちはもっと泣いていたのに、この子があまり泣かないせいで少し心配していたが、それもどうやら杞憂だったらしいしな。」
こんな感じで、両親の話を聞きながらこの世界の言語について少しずつ覚えていっている。
両親の話にも出て来たように、俺には7人の兄弟がいる。この世界では16歳で成人するが、うち2人はもう成人している。我が家の家族構成はこんな感じだ。
父(当主) ガルバード[34]
正妻 エルフィーナ[32]
長男 ギルベルト[16]
長女 ルリアーナ[16]
次男 ハフリッシュ[10]
四男(主人公) ハシュリート[0]
側室 フランシェイス[32]
次女 エメナリア[13]
三男 スローシャル[6]
三女 フリージナ[2]
四女 ラピスフィア[2]
長男と長女、三女と四女はそれぞれ双子だし、家族仲はギスギスした感じは全くなく、むしろ仕事を除けば結構自由だし、貴族社会の中では珍しいほどに平穏だ。それに、俺が末っ子ってだけあって、2つ上の姉と一緒に2人の母から着せ替え人形にされている。母は、両方とも「心はいつまでも少女です」っていうくらいに可愛いものには目がない。
こんなこと考えている間に眠くなって.........
………
………………
………………………
それからさらに1ヶ月くらい経った。
やっと、多少は眠気にも抗えるようになって、起きている時間が延びた。
俺は、転生前に決めたステータスを久々に確認してみた。
(多分、心の中で言っても問題ないよね?よしっ、<ステータス>)
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【名前】 ハシュリート・オーリバル(嘴添柊瑚)
【年齢】 0歳
【種族】 人族
【性別】 男
【身分】 辺境伯四男
【属性】 火,水,土,風,雷,光,闇,時,空間,無
【加護】 創造神の加護
【称号】 転生者
【レベル】 1
【HP】 10
【MP】 10
【攻撃力】 10
【防御力】 10
【俊敏】 10
【器用】 10
【知性】 10
【運】 77
【スキル】 ストレージ 鑑定Lv1 創造魔法Lv1 生活魔法
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(おお!いいね~)
無事自分のステータスを見ることができて満足した。
(ステータスも確認できたし、手足もまだ思うように動かせないから、魔力のトレーニングでもするか...)
俺は、創造神にこの世界で好きなように生きろって言われたけど、この世界は弱肉強食だということを理解していた。だから、まずは誰にも負けない力を付けようと考えていた。
(手も足も動かせないしなあー。やっぱり魔力増やすことくらいしかできないよね.....多分。)
というわけで、まずは魔力を感じてみることにした。目を瞑って空気や自分の血液の流れを感じてみると、心臓の近くがやけにポカポカしている気がした。
(多分これが魔力だよね.....?)
そこからは、簡単.....ともいかず、魔力を操作することができなかった。操作することができないので、当然魔力を使うこともできなかった。体は、まだ0歳だから長時間活動することはできないが、起きている時間帯はできるだけ魔力を感じて動かせるように頑張った。
≫魔力操作Lv1を獲得しました。
その結果、10日ほどかかったが無事動かせるようになった。
また、この時は知る由もなかったが、本来、人族や獣人が魔力を操作するには、魔力操作に長けている人に依頼して、その人の魔力を自分の体内に流してもらうことで、初めて魔力を感じ動かせるようになる。ましてや、他の種族でも0歳でこのことができるはずもない。
(やっと、魔力を操作できるようになったな。う~む、これからは他の人にばれないように、魔法使って魔力増やしていかないと。だとしたら、威力がなくて周りに被害が出ないような魔法があれば.....既存の魔法に何があるかなんてわからないし創ってみるか!)
この世界の魔法なんてこれっぽっちも知識がないので、今作ることができる下級の無害でかつ魔力の燃費が悪い魔法を創り使ってみた。
≫詠唱破棄を獲得しました。
≫無属性魔法Lv1を獲得しました。
≫創造魔法・無〔コスト〕を創りました。
(<コスト>..........何も起きなぃ......)
<コスト>を使ったとたん体中に、ヒドイ倦怠感と眠気が襲ってきた。多分、魔力枯渇を起こしたんだろう。
魔力枯渇を起こして、気を失ってから大体半日経った頃やっと目が覚めてきた。
(ぅーん。よく寝れた.....じゃなくて、後はこれを体が動かせるようになるまで毎日やるとしますかね。)
無事?魔力枯渇を起こして少しずつ魔力を増やす目途がついた。その日以降毎日、起きては<コスト>を気絶するまで使って魔力を増やし続けていた。