転生
「お疲れさまでした! 」
僕は、真っ白な何もない場所で目覚めた。
目の前にぼんやりと輝いている女性がいた。
前にも、あったことがある。
「め、女神様」
「無事、世界は救われました。
任務を遂行していただきありがとうございました」
女神様がにこりと笑う。
神様って、もっと神々しいイメージだったけど、この神様は癒し系な感じで話しやすいなあ。見た目も十代ぐらいだし可愛い感じだしな。
ちょっと庶民的な感じか?
「お気に召していただきありがとうございます 」
「えっ、つつぬけ? 」
「はい、つつぬけでございますよ」
「はは」
「ま、そういう場所ですので。あと、これでも神の一画ですから」
「いや~どうもすいません。ところであいつらは? 」
「ああ、前世のお仲間でしたら、もちろん無事ですよ。あのあと世界は再興し、あなた様は、命の勇者と呼ばれておりますよ」
「・・・命の勇者か」
「さてさて、もうお気付きでしょうが、ここは転生の間と呼ばれております。前回、死ぬことが使命であったあなた様には、特別転生の得点がございます。お聞きになりますか? 」
「異世界転生ですか? また、魔王を倒す使命とかなのでしょうか? 」
「いえいえ、今度はただ生きて頂くたけでございます。
使命と言うわけではないですが、生きて、人生を楽しんで頂く事でございます。恋して、子供をなし明るい家庭を築く。そのような幸せを味わっていただきとうございます。キャッチコピーは、生きて! 恋して! 幸せに! って感じですかね」
前の人生ではどっちの世界でも彼女居なかったしなあ。召喚させれる前は、人見知りで家でゲームとか本読んだり、ネット動画みたりするの好きで彼女出来なかったし、召喚後は、生きるので精一杯で彼女つくる余裕もなかったからなあ。
映画みたいな恋をしてみたい!
なんてね。
「新しい人生にわくわくしてきましたね。では、転生しましょうか・・・」
「ま、待って・・・」
「? 」
「せ、世界観とか教えてくれますか。どんな世界かとか、僕の能力とか? チートな能力があるのかとか? 」
「喜んで下さい! あなたの好きな三國志とか日本の戦国時代のような世界観ですよ。生き残る事が出来れば天下人にもなれますよ! 」
「い、生き残るって言いましたか? 」
そっぽを向いて舌打ちしてる。ヤバい世界なのか?
「や、ヤバイ世界ではありませんよ」
なんか、おどおどしてんなあ。
戦国武将には憧れるけど、実際に生きるって事考えると、戦ばかりでひもじい暮らしなイメージなんだよなあ。生き残るの結構大変だよな。
あっ、もしかして、大名とか貴族の裕福な子供に転生とかか?
「・・・小さな田舎の村スタートですかね~ 」
「えええ~! ち、チートな戦闘能力で無双出来るとか? 」
「ございません」
「ま、魔法とかはあるのですか? 大賢者みたいな軍師特化みたいな能力とか? 」
「魔法のようなものはございますが、あなた様には、そのようなチートな能力はございません」
「えっ、じゃあただの一般人? 特典は? 」
「もちろん、特典はごさいますよ~
まず、前世の記憶をもったまま生まれる事が出来ます!
これだけでも転生の理からすれば十分に凄いことだと思いますよ。
そして、そして、今回特別に、『精力絶倫』という能力もつけちゃいます!
生き延びる為に一番大切な生命力を増幅しちゃいます!
疲れ知らすで戦えます!
すごいですねえ。
ちょっと性欲が強くなっちゃいますけど、英雄色を好むって言いますからねえ。
どうでしょう、転生したくなっちゃったでしょ 」
まあ、今回は魔王を倒す的な使命もないし、人生を楽しむってのが目的らしいから大丈夫か・・・
「魔物とかはいないですよね? 」
「魔物ですかあ? もののけとか妖怪とか色々な名前で呼ばれてますが確かに存在してますね。でも、魔物狩りの集団があってやっつけてますからご安心下さいませ!
あなたの好きな戦国武将にも会えますよ~
そうそう、絶世の美女のお市の方と恋人になれるかも~
この色男~
中国文化とか、西洋文化とかいい感じに混ざっていて豪華絢爛って感じですよ。広大な世界を旅する事も出来ます! 凄いですねえ~ 」
(あくまでも、生き残る事が出来ればですけどねえ~ )
や、やっぱ魔物とかいるんじゃん。
「こ、断る事も出来るのでしょうか? 」
「なんの特典もないただの虫として転生します。
今後人間に転生する事は困難になります」
無機質な声で女神が答える。
「・・・マジっすか? 」
「いいですか。底辺スタートですけど、戦国の世界なので、あなたの努力次第ではいくらでも出世することが出来るのですよ。しかも、あなた戦国時代の歴史に詳しいでしょ。それだけでもチートだと思いますよ」
(もちろん、あなたの知ってる歴史とちがいますけどね)
「あと、『精力絶倫』の能力は破格なのですよ。別名英雄のスキルと呼ばれるぐらい凄い能力なのてすよ。立身出世して、何人も素敵な女性を奥さんに出来るのですよ」
(まあ、欲を上手く使いこなせればのはなしですけどね)
「はあ、凄い能力ありがとうございます。
・・・でも、もうひとつ何かお願いできないでしょうか? 」
僕は、女神の両手を握りしめ瞳をみつめ懇願した。
「そ、それじゃ。後付けオプションでお宝一つつけたげるわ」
「あ、ありがとうございます! 」
「じゃ、あと控えてるから転生するよ」
足元に穴が空き、僕はどこまでも落ちていった。
「うわ~ぁ」
☆
「ふう、やっと転生してくれたわ。出てきていいわよ」
巫女の衣装を纏った女性が現れ女神に微笑む。
「彼を見つけていただきありがとうございました。」
「全く、苦労したのよ。あの魂に徳をつませなけりゃあんたと同じ世界に転生出来なかったからね。しかし、あれよね~、あんた神の使徒レベルの能力で転生出来たのに、棒に降っちゃってさあ。あいつの為にあんたの徳使っちまったから、スタートは聖女レベル以下だよ」
「良いのです。私が初めて愛した殿方ですから。
・・・そして、私の犯した罪であの方を失い、世界を滅ぼしてしまったのてすから」
「・・・ただ、愛した男と添い遂げたかったって言う罪だけど・・・
世界を救う聖女としての使命を果たせなかった訳だからねえ~ 」
「また、出会える運命は頂いておりますし」
「あっちは、昔愛し合った中だって覚えてないけどねえ」
「あの方の笑顔をみられるだけでも良いのです。それだけで、世界を守る使命を全うする事に命をかけられますわ」
巫女の女性が微笑む。
「まったく~
一度崩壊した世界をやり直しに行くのに、自分の徳を使ってまで惚れた男と戻るのを条件にするとは・・・ 」
お手上げだと言うように女神が手を振る。
「今度は、世界の崩壊もあの方の命も救ってみせますわ! 」
「はいはい。記憶はこのまま転生したげるわ。世界崩壊を止める使命を自覚してれば、前回と違う結果になるでしょうし。
・・・じゃ、転生するよ~ 」
巫女装束の女性の足下に穴が開き、落ちていった。
「きゃ~ 」
女神イデアは穴が閉じるのを待って呟いた。
「今度は上手くやんなさいよ」