地味陰キャの僕ですが個性的なメンバーたちを率いて大人気高校生バンドのリーダーやってます。
初の学園ものです
ある晴れた日。
見渡せるほどに広がる草原に子供たちの楽し気な声が響く。
「ははは!また俺が一番だ!」
水色の髪のたくましい男の子、健勇が自慢げに言う。
「くそう二番だ、やっぱり健勇は足が速いなあ」
黄色の髪の顔立ちの言い男の子、啓示が悔しそうにしながら言う。
「健勇は体力だけはあるもの。そこだけは私も尊敬するわ」
「そこ“だけ”は余計だろ!」
赤黒い髪のすらっとした女の子、菜月はいじるように言い、健勇はそこにツッコむように言う。
「僕たちからすれば三人とも変わらないように思えるけどね…はあ疲れた」
「はあ、はあ。そうだよお。私たちの立場がないじゃーん」
そこに、緑色の髪の眼鏡をかけた男の子、永助が少し呆れるように言い、橙色の髪の小柄な女の子、瑞葉がそれに続けて不満を言う。
「お前らはいつも家にこもってるから体力がないんだろ」
「「人を引きこもりみたいに言うな(言わないで)!」」
「いやそうだろ。ずっと勉強したり本読んだりしてるじゃねーか!」
このように健勇が歯に衣着せずに言い、永助・瑞葉の運動苦手コンビを怒らせて小さなケンカになるのはもはやあるあるとなっている。
そしていつも通りの流れになったのを見て菜月・啓示の常識人コンビがやれやれと首を振る。
すると、そこにあとからやってきた一つの声が掛けられる。
「まあまあ。そのあたりでそのあたりで」
両者をなだめるように言うのは、青色の髪の心優しそうな男の子、孝一。
「もう。健勇はその思ったように言っちゃうのは駄目だって言っただろ?そして二人もあまりむきになっちゃだめだよ」
孝一は諭すように三人に言う。
「…そうだな。永助、瑞葉。すまん」
「大丈夫だよ。むしろ僕たちもついカッとなっちゃったからね」
「私もごめんね。でもこんなこと何回も起こってたような気がする」
どうやら円満に解決できたようだ。
「今までのケンカも全部孝一が収めてるからね」
「孝一のその技すごいわよね。誰が相手でも落ち着いて話せるのはもう天性のものよね」
仲間内の小さな諍いやちょっとしたトラブルを解決するのはいつも彼である。
孝一以外のこのグループのメンバーにグループで一番頼りになる人を聞いたら満場一致で孝一だ、と答えるだろう。
もはや孝一はこのグループのリーダー、というような考えがグループ内にはあった。
「あ、もうすぐ門限の五時だよ」
永助が自分の腕時計を見て言う。誕生日に他の五人から共同でもらったものだ。
「まじか!じゃあ急いで帰らなきゃまずいぞ」
「あぁ、その点は大丈夫。まだ三十分はあるから」
「そうか。ならあの駄菓子屋寄って帰ろうぜ」
「ああ、いいね」
「駄菓子屋もいいけど、健勇あんたちゃんと宿題しなさいよ」
「しょっちゅう先生に怒られてる」
「わかってるよ。俺も怒られるのは好きじゃねえし」
五人は楽しく話しながら家に向かって歩き、一人孝一はそのさまを見てあとを歩く。
(ああ楽しいな。こんな日々がこれからも続けばいいな)
「おーい孝一ー!早くしないと門限過ぎちまうぞー!」
孝一は自分が呼ばれる声を聞いて小さく笑い、答えて向かう。
「うん、今行くよ!」
しかし、そんな幸せな日々も、グループにとって最も大切な日を境に、一度終わることとなる。
そして、数年後…。
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