二
今日はこれでおしまいデス。
冒険者ギルドに着き、受付の綺麗なお姉さんに声を掛けましょう。
「すいません冒険者登録をお願いしたいんですが」
「かしこまりました。それではこちらの紙に必要事項の記載をお願いします」
お姉さんから渡された紙には名前と年齢、職業と登録したいランクの記載欄だけの簡単なものだった。
職業は剣士とか魔法使い、僧侶とかだね。
俺はどっちかと言うと剣の方が得意なので剣士と記載し、特記事項に魔法も使える旨を記載した。
んで登録できるランクなんだけど、なんとある程度までは自己申告制なんだよね。
と言うのも高ランクの依頼となるとやっぱり討伐系クエストだったり、重要なものもあったりするのだけど、正直猫の手も借りたいのが現状で、やる気と自信のある者大歓迎なんだそうだ。
ただ上限もあって自己申告で即なれるのはBランクまで。
それ以上は試験を突破するか、上級ランクの依頼達成等の功績を認められなければならない。
また、最初に申請した一個下のランクの依頼を複数か、申請したランクの依頼を1つこなさないと降格させられた上に違約金を払うことになるのである。
これは身の丈にあったランクを申請してほしいって配慮だね。
そして即戦力が出てくるならこれをうまく使いましょうってことだ。
まあいきなりBランク申請なんてアホなことはしないでとりあえずC辺りからー
「ふーん...、あんた、Cランクから始めるんだ?」
すぐ後ろから可愛らしい女性の声がした。
しかし振り向くとそこには、誰もいなかった。
「気のせいか?」
誰もいなかったので記載を続けようとしたところ
「どこ見てんのよ、下よ、下」
下?
振り返り、再度下を見る。
するとそこには、俺の頭一つ分以上低いところに見える金髪ツインテール、そして更に下には若干つり目の見た目13、4くらいの少女がいた。
服は黒を基調とした、所謂ゴスロリファッション、という奴だろう。
何よりも目を引くのは背丈よりも長いであろう、白銀の槍だろうか。
だがまあ取り敢えず
「お嬢ちゃん、こーゆーところに一定数いる少女性愛主義者を刺激するだけだからその服装で冒険者ギルドに来ない方がいいぞ」
「わかったわ、取り敢えず死になさい」
ノータイムで突き出される白銀の槍。
俺はそれを体を捻って回避した。
「なんで避けるのよ!」
「いや避けなきゃ間違いなく死んでたよな!!?」
いや鋭い突きだな!?
契約前の俺だったら反応しきれずに死んでたわ!
「はっ、いけないいけない落ち着きなさいミュリア。素数を数えるのよ1、2、3、5、7、11...」
なんなんだコイツ。
というか...
「何で俺のことを...?」
そう、コイツは俺に声を掛けてきた。
以前から知っていた者なら忘れ、俺がこの王都に来てから会った者なら認知しないはずのこの俺を、である。
契約の代償には副次的な効果として『そもそも影が薄くなる』というものがある。
これはスムーズに人々が俺のことを忘れるよう、そこにいなくても違和感のないような存在となることなのだが。
まあ、こちらから話しかければ返事はするし、例えばトラブって相手に俺をハッキリと認識されても、一定の期間空けば忘れてしまうようにできているのである。
ぶっちゃけこれを悪用すればスリとかやっても捕まらない自信があるが、それはそれ。
そんな悪事は働くつもりございませんよ?
悪党以外にはね?
それはともかく。
「ふん、アイツが面白いオモチャを見つけたって聞いたからどんな奴かと思えば...」
「アイツって?」
「アンタが契約した悪魔よ」
「アイツの知り合いか?」
「ええ、ま、同僚ってとこね」
つまりコイツも
「そ、悪魔ってわけ、宜しくね?愚かな人間さん?」
評価してくれると嬉しいなぁ(チラッ)