エリケンタス魔法学校の研究室へご招待『選択篇』
そういえば、この魔法学校ってなんていうんだっけ?
「エリケンタスでいいんじゃない」
脳内の妖精さんが語りかけてきた気がした、
しかしその言った名前が正解だとは限らない、
通り名だけで無限にある妖精の言う事だ、
とはいえとりあえず今はエリケンタスでいいか、
今はとりあえず、目の前の学校の生徒たちだからね。
僕、ヒュートはフテンレスから逃げるように、
学校の寮の自室から転移して自室前にワープしたのだけど、
ワープしたところが悪かったのか、それとも運が悪かったのか、
「ねえ、自己紹介まだだったわね、
わたしアトーナーっていうのよろしくね」
「・・・・・・」
「あ、おれも自己紹介したいっす」
僕は、
沢山の生徒たち、僕の同級生?先輩となるであろう人々に、
囲まれて、窮地に立っていた。
「というよりわたし、アトーナーは、
これからヒュート君をわたし達の、
炎研究室に招待したいのよね、
他の子たちの紹介は後でいいんじゃないかしら?」
これは助け舟と考えていいのか?
いやそんなことは無いと言っていい、
仮に彼女の炎研究室とやらに行ったとしても、
この先、沢山ある選択肢から逃れられた訳じゃない、
それに、今日は時間が限られてるとはいえ、
結局、生徒たち全員と会うことで、
僕が生徒たち全員分の選択肢を得るという事になる。
それは断るごとによぎる不安に近くて、
僕が選択肢の全部を周ることになる羽目にあるのは、
見た夢では確かだったか、あの夢の空間が、
現実のものと考えるにはまだそこまで、
納得は行ってない、けれどこの転移能力で、
ワープする度に募る不安に関しては拭えきれていない、
僕はかなりのエネルギーを負荷を世界に与えているのか?
「こら、アトーナー!
ヒュート君困らせちゃいけないわよ!
といってもとりあえず、
このあと皆研究室にいく予定あるし、
ヒュート君に皆、自己紹介したいわよね?
各研究室を代表してさ!」
うなずく生徒たちを見ると、
僕は既に10を越える研究室に回るということになっていて、
それは御免なのだが明らかに10の選択肢全てを、
回らなければ転移能力自体の補給が出来ないのではないかという、
不安はぬぐえない、僕には過ぎた能力だと思うのだが、
と、扉が?
「ヒュート、私を出しぬいたつもり?
というよりこのフテンレス様相手に、
かくれんぼしたいみたいだけど、
アンタこれから毎日、皆の研究室めぐりが、
待ってるんだから、気合入れなさいよね」
「ふ、フテンレス、じゃいいんだね!
このヒュート君、といっても君の能力を知らないけど、
君も召喚人なら自己紹介と一緒に能力を話したらいいんじゃないかな」
誰だろう? 話しかけてきたそれぞれの、
ことがまだ何もわからない、
どこか知りたくもある、
僕は全ての選択肢を選ぶ事になっている、
そう感じている、だったらとにかく彼ら全員と話すしかないじゃないか、
そんなことできるんだろうか? そんな大それたことが僕に?
「僕はヒュート、転移能力者だって、
フテンレスの水晶玉に触って分かったんだ、
まだ僕のワープに関しては未知数な事が多いから、
あんまり期待はしないでね」
「ワープだって!
僕は冷気研究室のフルッター、
冷気を操る能力者さ、
よろしくだよ!」
みんな学校の指定の長い丈の上着をしているから、
ぱっと見て見分けがつかない、
数だけ揃っているという印象に近い、
けど全員と話さないと僕の魔力が補給できないような気がする。
既に転移能力を使った反動からか、
何故かワープ出来ないような気持ちになっている、
選択をして、沢山の選択肢があるところで分岐している未来を、
想像して、それを何度も選択肢前に戻ってきて、
繰り返す、それが出来るってそんな想像がよぎる。
妖精の、チカラだろうか?
「僕は電気研究室の、
エークだよ、
これから一緒にどうかな?
電気研究室の皆に紹介したいんだ」
「私は水研究室の、
ラーラーナよ、
のどかわいてない?
おいしい水を研究してるから、
よかったら飲んでみてね」
「私は、土研究室の、
ランクタムよ、
土地の研究だから、
農作物とか色々あるの、
来てほしいな」
「ヒュー!オレは風研究室の、
ビュットブーだ!
お前もいい風吹かせれそうだな!
ワープ能力ならぜひきてくれよ!」
「私、闇研究室のジャラバナ、
闇魔法みてみたい?
ドクロマーク溢れてて楽しいよ、
よろしくね」
「おっす! 私は、
爆発研究室のバムっての、
きっと気に入ると思うから、
ヒュートが爆発をかわすところ見てみたいな!」
えっと、
どこも行きたくない、
とりあえず研究室が一杯あることは分かった、
彼らがこっちに向いていることも知った。
それ以上にやらなきゃならないことがあるようで、
それが忙しい気持ちにさせてる。
一度ここで選択したら最後、
この分岐してる9もの世界を全部回って、
必要なエネルギーを並行世界から吸収することになるんだ。
そして、分岐したところから行ったそれぞれの子たちの、
研究室での人間関係とかも分岐に影響していて、
これだけで数十の並行世界を自分の物として認識して、
それを吸収することになりエネルギーを確保しなきゃ、
いけないって思うとものすごく億劫、
どうしよう、行かなきゃいけないような気がするけど。
眼を閉じると朦朧としたのか、一瞬の闇の中から妖精が現れて、
僕は闇の空間の中で、妖精の羽のはばたきを眺めていた。
「ヒュート、なるたけ多くの選択肢の前に、
あなたの時系列転移するための入り口が存在するわ、
そこから何度でもいくつもある選択肢を選んで、
楽しむことが出来るのよ、
楽しめば全ての状況から転移のためのエネルギーを得れて、
並行世界の裏付けがなされて、なんどもワープして遊べるようになる、
きっと魔法の技術も精度も回数も飛躍的に向上してレベルアップ!
そうプラスに考えられない?
同じ時間の中で皆の事を先に知ってしまえる、
一日で全ての部活動を体験できるなんてすごいことだし、
一日で全ての研究室を言ったことになるのだから、
たとえヒュートの記憶に問題が生じたにしても、
あきらかにプラスに働くと思うの、
私の直感だけどね」
めちゃくちゃな事を言う妖精だ。
僕に人権はないのだろうか?
「そんなこと言われても、
この先いくつもある選択肢に、
向かい合うのはキツイよ」
「ねえ、何言ってるの?」
フテンレス?!
しまったあの妖精、話すだけ話して!
「とりあえず、
ヒュート気に入った研究室に、
行って御覧なさい、
そうすればもやもやも晴れるはずよ」
僕の選択は、
アトーナーの炎研究室
フルッターの冷気研究室
エークの電気研究室
ラーラーナの水研究室
ランクタムの土研究室
ビュットブーの風研究室
ジャラバナの闇研究室
バムの爆発研究室
さてどれだろうか?
どれを選んでも、
全部まわることになるのだけどね。
さて厄介な事になった、
授業後の各研究室周りってところだけど、
研究室にどれだけの子たちがいるのか分からないけど、
とにかく、今集まってるだけでも8人の生徒が、
自分たちの研究室に誘ってきているという状況で、
それぞれの研究室にはきっとその研究室ごとの、
生徒たちがいるって想像が出来る、
最終的に僕が全ての選択肢を周る時には、
自然自然とこの学校全ての学生の選択肢がやがて、
出来ているという具合になりそうで、
正直、眼が回る。
ワープ能力ということもあって、
相当、都合よく使われそうでもある、
少なくとも足として使われないように気をつけないと。




