1話
「はぁー・・・運転めんどい・・・」
暗い山道には自分の車しか走っていない。
というのも自分以外こんな山には用はないだろう。
家は山の中腹辺りにある。いわゆる秘境というやつだ。
かなり不便だが人がいないというのは落ち着く。
両親が亡くなって早3年。以前は会社から車で5分程度のとこに一人暮らしをしていたが、両親が亡くなったと同時に実家に帰ってきた。
通勤時間は10倍以上になったが、人がいない環境というのは居心地がいい。
一人っ子で親戚付き合いもなく、今の自分に残されたのはこの家と両親の遺産と貯金ぐらいだ。
彼女なんて10年以上いない。28歳になって結婚願望が出てくるかと思ったが皆無だ。ただ子供が欲しい。
奥さんはともかく子供は欲しい。何回も言うが子供が欲しい。ここ最近はそれしか考えない。
「子供どっかにおちてないかぁー、犯罪だなこれ・・ハハッ」
そんなことを考えている内に我が家に勝ってきた。
家の前に車をつけて車の中から買ってきた食料やお菓子、生活用品などを降ろし、いつものように一人でご飯を食べて一人でお風呂に入り、一人でベッドに入る。
寝る前に一人ささやかな楽しみがある。
それは、妄想だ。
(んー、やっぱり沢山の子供に囲まれて過ごすのはいいかもなー。宝くじ当選してそのお金で孤児院を作って子供を保護したり、保育士さんになってみるのもいいかもね。
広い草原で走り回るのをのんびり眺めて一緒に弁当食べて、探検したりするのもいい。
はぁー子供が欲しい。ロリではない、それは断定できる)
「・・・無い物ねだりだなこれ。はぁー寝るか」
あと明日仕事を頑張れば休みにはいる。
ゆっくり寝てドライブしようと考えてら内に眠りにつく。
家の周りの世界が変わっていってることはまだ気づいていない。