言葉がイェイ!!
目が覚めて、朝起きて今何時と家族に聞こうとしたら「イェイ」
「イェイ?」
「イェイ………」
「イェイ!?」
「イェイェイェイー!!!」
大変だ。「イェイ」以外の言語をしゃべれなくなてしまったみたいだ。
「ちょっとぉ、朝からなにイェイ イェイやってんのよ」
姉からそんなことを言われたが、普段から奇声を発していたことが幸いし頭の心配はされなかった。
「いぇい」
俺はダブルピースで姉に言った。
姉はあきれ顔でため息をついた、それも二回。
二回ため息は地味に傷つくのでやめて欲しい。
それにしてもこれはなにが原因なんだろう?
感染症、脳の障害、呪い的なアレ、それとも昨日神様にイェイェイっていいよねお祈りしていないことかな?
こう言うときはググろう。
スマホを起動してSNS確認してソシャゲのデイリー回収してスタミナも消費してマンガアプリを梯子してまとめサイトを確認して………えー、このソシャゲあの作品とコラボするの!!?
驚きが収まったらなろうのユーザーページからお気に入りユーザーの新着小説と面白そうな活動報告を読んできがついたら一時間経過。
えっと、この後動画サイトでいろいろ見ようと思ってたんだけどどうしようかな。
「イェイ」
これは俺の声じゃない。
母の声だ。
母が見ているテレビのニュースのテロップによると全世界の人間が突如としてイェイしかしゃべれなくなったらしい。
多少の時間差はあるものの約一時間前からイェイしかしゃべれない人が出てきて少しずつ勢力を拡大し今では全世界に至るらしい。
これ、もしかして夢オチじゃないよな………
だったらこの作品の作者は、創作者として酷いぞ。(キャラ自ら展開を狭めていくスタイル)
次に前作『言葉が消えた!!!』みたいに謎の怪しい専門家が出てきたりしないよな。
あれは、それまで非現実的描写が迷いなく早退する主人公ぐらいしかないから許されたんだぞ。
今回でそのオチは微妙だろ。
テレビのニュースは文字で強引に情報を伝達して各地のパニックの報道を続けていた。
そこに背中に日本刀のようなものを付けた制服を着た女の子が現れた。
「みなさん聞いてください。今この世界は四大究極エネルギー体の一つ『伝え曲げ』が目覚めました。
四大究極エネルギー体は基本的に目覚めただけで世界を滅ぼします。その滅び方は圧迫、吸収、変化、停止です。
今『伝え曲げ』は全てを変質させ世界の秩序を壊そううとしています。
対策は一つしかありません。
私たちが黙ることです」
俺は黙った。
半信半疑だったが、それで世界が救われるなら面白いとも思った。
次第に俺が歪んでいった。
俺の手と手が変な感じに絡まりだした。
怖くなって沈黙が思わず解けた。「イェイ」
首と両方の手が妙な具合に絡まりどこがどれなのかもはや分からず動くと痛みを感じた。
たまらず「イェイ」と口走る俺。
今度は足が際限なく伸び始めた。
俺の足は壁にぶつがっても伸び続け尻を滑らせて体を押した。
未知なる恐怖に縛られ呼吸を忘れてしまった俺。
そうしている間にも俺の体はさらに原型を忘れていく。
次第に正しい自分の姿を忘れてしまう俺。
「イェイ」
たぶん口の中だったところが甘くなった。
酸っぱい臭いが世界中から漂い出す。
俺はなにかと混じり合い溶け始めた。
これは誰の声だろう?
「イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ」