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閑話――王国からの依頼

本作の書籍版『俺はダンジョンマスター』の発売日まであと1日ッ!(4/7発売)

とはいえ、7日が日曜日の為、すでに並んでる場所も多いようですッ!

お見かけの際には、是非ともよろしくお願いしますッッ!!


そして、閑話の第三弾。

これも特典用にいくつか書いたもののうち、採用されなかったものになります。


※普段と違って三人称となっております


 ペルエール王国の王都サンクトガーレンにある探索者(シーカー)ギルドの入り口が開く。


 入ってきたのは、童顔の整った顔たちの剣士だ。

 ギルド内にいる者の多くは彼が見た目通りの探索者(シーカー)でないことは知っている。それなりに実績をあげているというのも事実だ。


 だが、彼に対する感情は決して良いものではなかった。


 好奇――よりも蔑みに近い眼差しを受けながらも、さして気にした様子もなく剣士はカウンターまで歩いていく。


「相変わらず、平気で歩いてくるな。サリトス」

「貴族の社交界と比べれば温いものだからな」

「やはり出席したコトがあるのか」

「何度かな」


 サリトスは首肯し、受付の神経質そうな男に尋ねる。


「俺が受けられそうな依頼はあるか? サウザントタワーにアタックして来ようと思っているので、そのついでに出来る仕事があると助かるが」


 ギルドに登録している探索者(シーカー)は、どこかしらのダンジョンに挑む時に事前に申請する努力義務がある。

 強制ではないのだが、事前にギルドに知らせておくことで、未帰還の探索者(シーカー)に気づきやすくなるし、ギルドが救助の派遣もしやすくなる。自分の生存率が高まる可能性がある以上、申請しない理由はなかった。


「そのアタック申請。少し待って貰えるか? 頼みたいコトがあるので先にそちらの話をさせてくれ」

「それは構わないが――その為に、受付に待ちかまえていたのか、ヴァルト?

 こう言ってはなんだが、サブマスターがする仕事ではないだろう?」

「単にこの時間の受付担当が欠席で、手が足りなかっただけだ。風邪だそうでな」

「そうか。大事にするように伝えておいてくれ」


 サリトスからの言葉にヴァルトはうなずいてから、眼鏡のブリッジを人差し指で押し上げる。


「実は誰も受けてくれない依頼があってな」

「珍しいコトではないだろう?」

「全くもって。それを問題だと思う者が少ないのも問題だ」


 嘆息混じりに、ヴァルトは依頼の書かれたダンジョン紙をサリトスに差し出した。


「依頼人がペルエール王国になっているのは気のせいか?」

「気のせいだったらどんなに良いか」


 依頼内容は、マナルタ丘陵に現れた新しいダンジョンへの先行挑戦。鑑定のルーマで結果が分からないダンジョンであり、中がどうなっているかは不明。報告書は必須であるが、よほど問題のある内容でなければどんなものでも提出されれば報酬の支払いはあるようだ。また報告書の内容次第では支払いに上乗せもありえるという。


「報酬は少ないが、報告に必要なもの以外は報酬として持っていっても良いというのも悪くないな」


 依頼書に目を通してそう口にすると、ヴァルトがわざとらしく目を眇めた。


「ドロップ品が悪ければ、少ない報酬だけになるぞ?」

「金銭的に見ればな。だが、王国依頼をこなせば貴族から受けが良くなるコトもあるだろう。元より俺は貴族に多少のツテがある。今回の件は後ろ盾の補強にもなってくれそうだ。ドロップ品がなくても報酬とあわせれば充分なメリットだと思う」


 ヴァルトが分かって訊いてきているのを理解した上で、サリトスはあえて事細かに答える。

 聞き耳を立てている者たちにわざと聞かせる為だ。

 そうして彼らに目に見えないメリットというものを多少理解してもらいたいという思惑があった。もっとも二人ともそれが上手く行くとは思っていないが。


「では?」

「引き受けよう。ディアリナと詳細を詰めてから、後日にアタック申請をしに来る」

「助かる」


 サリトスは依頼書の受領欄にサインをし、ヴァルトに返す。


「依頼書にも書いてあったが――王国のダンジョン調査室の部隊が調べても何も見つからなかったダンジョンでな。目に見えるメリットが乏しすぎる上に、国からの報酬も渋い部類なものだから、本当に引き受けてくれる探索者(シーカー)がいなくて困っていたんだ。助かった」

「礼を言う必要はないぞヴァルト」

「どういうコトだ?」

「この依頼は、陛下から俺宛ての直接依頼のようなものだ」

「では事前にお前のところへ何か情報が?」

「いや。依頼そのものは今知った」


 サリトスの言葉に、ヴァルトは思わず頭を抱えた。サリトスに悪い癖がでている。


「すまんが、お前どうしてそう考えたのかが分からない。説明を頼んでいいか?」

「む? 説明は出来ていたつもりだったが……まぁいい。

 この条件で依頼を出しておけば、サンクトガーレンの探索者(シーカー)で引き受ける者はまずいないだろう? そうなれば必然、俺たち『はぐれモノ』にお鉢が回ってくる。その中でも、目に見えないメリットまで正しく理解した上で、素直に引き受けるような探索者(シーカー)は俺くらいしかいない。陛下はそこまで読んで依頼を出したのだろう」


 報酬をケチりたかったところもあるだろう――とサリトスは推察するが、そこは敢えて口にしなかった。


「そこまで国の上層から信頼を得ているサリトスが怖いよ、私は」

「そうか?」

「まぁいい。先行挑戦、よろしく頼む」

「ああ。頼まれた」


 数日後……サリトスは、探索のパートナーであるディアリナとともに、新しいダンジョンが生まれたというマナルタ丘陵へと向かうことになるのだった。

そんなワケでサリトスの前日譚でございました。

何気に影で色々と走り回ってるヴァルトさん。本編でももうちょっと活躍させてあげ(スポットあて)たいところ。


また、4/1~4/7の間

秋葉原スープカレーカムイさんとのコラボもやっておりますッ!

ご好評を頂いているようで、ありがたいことです。

なお、カムイさんは土曜日は定休日となっております。


コラボカレーの名前は「とんこつモンスター謹製 ダンジョン豚カレー」

https://ameblo.jp/soupcurry-kamui/entry-12450577987.html

まだの方は是非ご賞味くださいませ。


どんなカレーか……動画もあるよッ!

https://twitter.com/YU_Hi_K_novel/status/1113576218282971136

肉汁たっぷりだぜッ!

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『俺はダンジョンマスター、真の迷宮探索というものを教えてやろう』
俺ダン

(講談社レジェンドノベルス)


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