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0-1.はじまりはじまり

そんなワケで新連載です。よろしくお願いします。

読んで下さる方々に、ひとときでも楽しんで頂けたら幸いです。


最初なので3話同時アップです。1/3


 どうやら寝ていたらしく、朧気だった意識がハッキリしてくる。

 俺が身体を起こすなり、突然ファンファーレが響きわたった。



   ぱんぱかぱーん!



 ――なにごとッ!?



「おめでとうございます」


 そして、いきなり祝福された。



 意味が分からず目を瞬き、周囲を見渡す。

 すると、そこはまるで宇宙を思わせる場所だった。


 一応、目に見えないだけで地面みたいなものはあるらしく、俺の身体が触れてる場所は、水面のように波紋を打つ。

 それより先に、手足が沈まないのだから、地面なんだろう。


 さておき――


「……それで」


 とりあえず、俺の横で、幼児用のおもちゃのラッパみたいなのを吹いて、ファンファーレを演奏している女性に視線を向けた。

 サラサラとした銀髪に、赤い瞳の――少女にも女性にも見える美人は、無表情のまま、ファンファーレを演奏している。


 ……ラッパ以外の音も聞こえてるんだけど、そこは気にしない方が良い気がするのでスルーだ。


「アンタは誰で、ここはどこなんだ?

 あと、何で祝福されたの?」


 問われた彼女は、一瞬キョトンとした顔を見せたあと、改めてファンファーレをかき鳴らした。



 ぱんぱか ぱんぱん ぱーん!



 しかも、さっきよりもハデだ。

 っていうか、あのラッパ……穴やボタンらしきものがついてないんだけど、どうやって複数の音を出してるんだ?


「おめでとうございます」

「それはもういいから。何がめでたいんだ?」

「はい。貴方は地球において人間が死という概念を理解した最初の死から……えーっと、なんかうんにゃらまんにゃら人目の死者となりました」

「人数が雑すぎる」

「いちいちカウントしてるわけないじゃないですか。人類誕生から何人の死者がでてると思ってるんですかッ!?」

「知るかよ、何で若干キレてるんだよ」


 怒ってるカンジではあるんだけど、相変わらず無表情でなんか淡々としてるのが、逆に怖い。


「ともかく、貴方は――なんかとにかく、選ばれました」

「理由すらなくなった」

「仕方ないじゃないですか。私も上司から、なんか目覚めたらそれっぽく祝福してあげて――という指示しかもらってないんですから」

「上司からして雑かッ!」


 そんな指示じゃ、彼女も困るに決まってる。


「俺がなんかよくわからないけど、何かに選ばれたってのは理解した」

「ありがとうございます。寛大な方で助かりました。

 私が貴方の立場であれば、問答無用で私を殴ってます」

「殴ってもいいなら殴るけど」

「痛いのは嫌です」

「OK。なら、話を進めていこう」

「はい」


 そりゃあイラっとしたし、殴って解決すればそれでもいいけど、そうじゃないだろうしね。

 何より、誰が悪いかっていえば、雑な指示を出した彼女の上司に他ならないわけで……。


 とにもかくにも、現状を把握できる範囲で把握しないと。


「とりあえず、さっき――キミが俺に対して、何人目かの死者となったとか言ってたから、俺……死んだってコトだよね?」

「はい。そして、すでにお察しされているかもしれませんが、最近の現世ではよくある物語の序幕のような状況となっております」

「なるほど。異世界転生」

「話が早くて助かります。ちなみに私が異世界からの使者です。

 そんなワケで、ダンジョンマスターとか興味はおありですか?」


 問われて、俺は少し悩む。

 どんな世界のどういうルールのダンマスなのかは分からないけれど、興味の有る無しで問われれば、有る。


 ちなみに余談だけどダンジョンマスターっていうのは、あれだ。

 ダンジョンつまり迷宮とか作る仕事だ。仕事というか種族かもしれない。まぁその辺は結構物語によって違うんだけど、要するに迷宮を作って人間やらそれ以外やらを待ち受けて、トラップにハメて、ハマってもがく侵入者を高笑いあげながら眺めるカンジのやつだ。


 色々偏見が混じってる気がするけど、まぁそんなカンジで。


 元々JRPGとか好きだし、そういうギミックやトラップ満載の仕掛けダンジョンとか好きなので、是非とも自分の趣味全開のダンジョンとかをリアルに作ってみたい――という欲望を思えば、やってみてもいいかもしれない。


 でも、その前に一応確認しておこう。


「それって、NOと言える質問?

 NOって答えると雷が鳴って、聞こえなかった……とかループしない?」

「しません。しませんが……おもしろそうですので次回以降はそういう準備をしておこうかと思います」

「いや面倒だからしなくていいよ。主に答える方が」


 ゲームなら笑い話だけど、リアルであのループされたら絶対殺意湧くぞ。


「それで、実際のところ異世界に興味ありませんと断ったらどうなる?」

「どうにもなりません。

 その場合は、普通に貴方を三途の川へお連れして、以後は通常の死後の裁判を受けて頂くだけです」


 ふむ――と、俺はうなずいて、続けて質問をする。


「引き受けた場合のメリットは?」

「次の人生も人間で生まれるコトが可能となります。

 その際は、誕生地域の指定もできますよ。ご希望でしたら、地球ではなく、ダンマスとして生活された世界も転生先に選べます」

「それってメリットなのかな?」

「どう受け取るかは人それぞれかと思いますが……基本的に、転生先ってランダムなのです。どんな生き物なのか、どの地域なのかも。

 そうは言っても基本的に魂を漂白してからの転生なので、何か覚えてるわけじゃないので、まったく気にならないとは思いますが」


 結局のところ、この場の俺の気分の問題でしかなさそうだ。


「メリットというか報酬というか……ともかく、その転生先の選択って、ダンマスとしての仕事を終えた後で選択してもいいの?」

「はい。そうして頂いて構いません」


 つまるところ、ちょっとした人生の延長戦。あるいはロスタイム。

 ならば、普通にはできないことを楽しんでみるのも悪くないかもね。


「それじゃあ、第二の人生――と言って良いかわかんないけど、ダンジョンマスターとやら、やってみようか」


 現世に心残りはあるけれど、死んでしまったなら仕方ない。

 何はともあれダンジョンマスター生活を始めてみるとしましょうか。

主人公の第二の人生(?)のはじまりです。


主人公の生前の死因とか細かいバックボーンは、物語が進むごとに追々やっていく予定です。

今はそんなコトよりダンジョン作ろうぜって方向でやっていきたいと思います。


今回は三話まで連続でアップします。

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