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4章26『一分の戦い』

ただそれだけの戦い。

ただ剣と剣を交え飛ばない血しぶきを飛ばすだけの戦い。

それにはいつも終わりが来る。

たとえどんなに短い時間だとしても……


あれから現実時間にして5秒後そう、限界と言われていた231日も経ちそれですら凌駕、57日も経過していた。結果はさしずめ引き分けといったところだろうか?


勝敗が決したのは59.999999……秒ほぼ一分と言っていいほどの時間、だが1分ではない。長い長ーい最短の戦い、語られることのない歴史。ならば敬意とその最速で最長の戦いをしたこの戦いにこう名付けることにしよう


――『一分の戦い』と……



さあ、この『一分の戦い』概要は一応引き分けという名目にはなっているがそれは結果論に過ぎない。

本当に最後、決戦から『一日前』の話だ。


両者いつ倒れてもいいくらいボロボロになり辺りにばらまかれていた血しぶきも閃光も一向に数が変わらなくなり、先にカマエルが〈太刀〉を解除して終わるか、先にヴァンがやられて終わるか。それとも、カマエルがやられて終わるかこの三つどれかの選択を刻一刻と迫られていた頃だ。

カマエルはその限界ギリギリを警告しているオーバーヒートしたレイピアの熱を感じながら――否、あまりにもの熱さに感覚が麻痺し感じることが出来ずそれを深々と握っていた。それも満身創痍でその毒舌な減らず口ですら凍りつくほどだった。

そしてヴァンの方は、飢えた狼か、それとも瀕死の犬かそんな状態のような感じでレイピアの剣先は地面につき、肩には大きな切り傷、こちらも満身創痍でどちらとも倒れてもおかしくない状態にいた。

一日食べなくても寝なくても大丈夫なこの時間ずっと戦っていたのだそれも288日ずっとだ。普通ならば季節が三度変わっているような長い時間ふたりは速度をギリギリまで落とさずずっと、ただひたすらにお互いのレイピアを交えた。


長時間続いた戦の結末は案外あっさり終わる。まるでここまでの経過が要らなかったのでは? と突っ込まれるほどに。

この戦、『一分の戦い』は実質上カマエルの勝ちだ。

カマエルが最後の力を振り絞り、ヴァンに攻撃を、致命傷――いや、即死箇所をつき〈加速〉を解くとカマエルはその場にガックリ魂が抜けたように倒れ込んだ。


勝者らしき勝者がいなかったこの日米異能戦争の一貫『一分の戦い』はこう終わった。


――最後までカマエルはMAXの力は使わずに力尽きた。と最後に一言付け足しておこう

彼女のバケモノさと、それと288日も戦っていたヴァン・ラピッドに敬意を込めて。




□□□



ここ日本本部では何となく異常を察した祈が援護隊引き連れ、渡の【転移】の異能で話した一分あと程に即座に駆けつけた。


「この一分で何があったっていうんだ?」


そう驚くのも無理がない。カマエルが試しに打った爆発が止まったままいてそれが一気に爆発したのだ、それはもう大惨事になる他ない。それに足して288日分のカマエルたちが動き回った狂風それらがこのひょうたんな地形を作っていた。

辺りの中央には大きな窪んだ穴とその中に倒れていた満身創痍で熱を持っているのがすぐにわかるカマエルと、もう1人こちらも満身創痍の少女だった。少女は仰向けに何かに胸元を刺されたような跡がありそこの真下から血が大量に出ていた。


「カマエルがこの1分間に相打ちで倒れただと?」


状況から予測するにその答えしかないだろう。

ただこの跡全くもって一分の間にできるようなものではなくもっと、それは300日以上かけて爆発と風によってやられたような光景に驚くほかなかった。


「あつっ!?」


祈は即座にカマエルの元に駆けつけると、身体は異常なほどの熱がこもっていて物理的に腸が煮えくり返っていてもおかしくない状態だった。

祈は急な冷却は吉田ほうが良いと考え少しずつ少しずつ風魔法や水魔法を使い冷やしていく。冷やした後は、診に見てもらおうと考えながらそれをしていた。

そうしているうちにも祈には沢山することがある。何故かこのあたり1面は吹き飛ばされたように人が全くいなく援護隊の必要がなかったのでほかの隊に回ってもらい、カマエルの脈を取り生存確認をし、頭は熱していなかったので膝枕で頭には冷えたタオルを乗っけてその場にいた。


少し経つとカマエルの熱は消え、カマエルが目を覚ますかと待っていたが寝息も聞こえずただスースーと呼吸している音だけが聞こえる。はっきりいって寝息と倒れている時の呼吸とで違うのかどうかはよくわからないがまあ呼吸の音が聞こえてくる。


「なんだこの違和感。いつも聞いてた音が聞こえない。なんの音だっけか……」


そう祈は呟くとその音が何の音だったか探り当てることにした。


「ジャージャー。違うなもっと清らかな音だった。

カーカー。これも違うもっと短調的な音だった。

コツコツ。少し近ずいて来たけどまだ違う。

カチカチ……ああそうだ歯車の音がない。歯車が回ってない!?」


歯車が回っていないだなんて、カマエルにとって一大事。心臓が止まるのの次に大変なことだ。これでは生命活動の半分が消えてしまっている。それは不味い。断じてまずい



「でも、俺時計なんて直したことないし……って、これ診なら直せるんじゃね?」


そう言って祈はカマエルをお姫様抱っこで抱き抱え渡のもとへ行った。


「転移してくれませんか? 本部まで」


「はい。良いですよ」


そう快く受けてくれた渡に連れられて祈はカマエルを抱え時空の歪みに飲み込まれ日本本部に再び向かった。












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