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4章21『〈山〉との再戦』

絶望していた真っ只中、祈は眩い光を発し【転生】をするいわば準備フェイズに入った。

その一瞬のすきを逃さずに、カマエルは何かを飛ばした。

そして、祈が消えるとエレインが消えた。


「先に行っていてください。当機たちは大丈夫ですので」


そうカマエルは言い残して消えた。




□□□



「ここは……地球か……。」


祈が目を覚ますと、一番最初に見た光景は、戦争そのものだった。

今この世界、我らが地球ではアメリカ大統領タユハテの暗殺、そしてその暗殺者モリアティにより、【異能】の軍を作り手始めにユーラシア大陸最大の国ロシアを一日にして鎮圧、そして今は南に降り日本を攻めている。

アメリカ軍はまず数が多い、日本軍3000に対しアメリカ軍5000完全に部が悪い。

だが、その5000人全てが異能者ではない。5000人の中に6人の異能者しかいない。その異能者にはそれぞれ〈風林火山陰雷〉の名を与えられている。

その中で【陰翳】の〈陰〉、【爆撃】の〈火〉、【隠密】の〈林〉の六人いるうちの半分が日本の異能者――警視庁異能課によって殲滅されていた。

そして今は開始は5000対3000だった戦が三日ほどが経ち2500対2000という追い詰めた状態にまで戦は進んでいた。

だが、アメリカ軍の異能者と交戦した日本兵は一人が重傷、一人が視覚が消え、一人は精神的に『死』の恐怖を与えられ日本も危機に陥っている状況だった。


そんな戦の中日本軍の異能者、【防護】という先頭には一見向かなさそうな少女が一人数々の戦艦が行き交っている中一人走っていた。

彼女の名を巡谷願、そう苗字が同じなように祈の義理の妹である。

祈が戦場から消えて約1日逃げろと言われながらも必死で戦い続け今やぼろぼろな状態で立っているのがやっとだと言うくらいだった。


「もう……ダメ……? 死ぬの……?」


願はそう言葉を漏らす。死にたくないという願いを込めて――愛する兄が来て欲しいという祈りを込めて。

願が相手になっているアメリカ軍のあの無数の艦隊、それは【艦隊】という異能を持った〈山〉の少女の物だ。名をホート・アーマードという。少女の【艦隊】の力は死者と自分を兵器化するものだ。名前の通り『艦隊』を作り上げることだ。

少女の称号に〈山〉がある通り、少女の姿は今、固定砲台になっておりに言葉通り〝不動〟そのものだった。


――もうダメだ。

願がそう諦め、固定砲台の45口径46センチ砲の砲弾や、死者の艦隊の機関銃のような乱射された小さい弾が一斉に願いを襲ったその瞬間だ。

異能をもうまともに発動できなくなり完全に願が死を受け入れたその瞬間……。



45口径46センチ砲――直径46センチの砲弾がど真ん中で真っ二つに切れた。それは疲れてもう何も視認できない程の体力が無い願ですら驚きを隠せなかった。

その無数の弾丸の雨の中を横切り、的確にたまをどう切ればどう減速するかを判断しその46センチの砲弾ですら切ってしまう人。そんな人は願の中で一人しかいない。

日本内で切り裂き咲を唯一一度殺し、世界主渡ってしまう人……それは彼しかいない。

――そう、祈だった。


「待たせたな、願」


そう祈は言い、そのままその両手に掲げた2振りの剣、紅く燃えるクラウ・ソラス。紅く輝くカリバーン。その一対の祈愛用の姿も形も異なる双剣それを軽く振り下ろして最後の1弾を切って見せる。


「日はまだ高いな。さあ、再戦と行こうかホート・アーマード!」


そうカリバーンをその方向に指し誇り高くそう叫んだ。

その2振りの剣は今にも彼女を突き刺しそうな勢いで、意思があるように猛り空気を凪いだ。


「マスター。あちらが的、いえ敵でございましょうか? マスターに刃を向けた以上はそれ相応の無残な鉄くずになって貰いましょう。マスターあ奴めの惨殺当機に任せてもらえませんか?」


「ああ、別にいいけど無理すんなよ?」


「はい、マスター。あ奴を当機一人で粉々にしても構いませんか?」


「一応言っておくとそれ死亡フラグだからな」


「では、鉄くずにするくらいまで抑えておきます。」


そう言ってカマエルは〈エロヒム・ギボール〉を展開、そして底上げされた跳躍力と走力でその場から去った。


「じゃあ、あっちはカマエルに任せるとして願は一度診て貰わないとな。」


「おかえり……なさい……お兄ちゃん……。」


そう涙を流して、残りに残った体力でそう言うと力尽きて気を失ってしまった。

さて、仕方ない抱えて帰るとしますか。


「エレイン。応急処置頼めるか?」


「はい、もちろんです。」


『こちら、祈。願が倒れた。至急応援頼む』


そう課内の【念話】の異能を使って応援要請をする。

この異能誰でも使えるからものすごく役に立つ。ただし、異能者がホストなのでどんな会話も【念話】の主には聞こえてしまうのが難点。


『分かった。そちらに今渡君が来ただろう。渡君に一度こちらに連れてきてもう。君ごとだ』


『はい。分かりました。』


そう前を向くとそこには空間の歪みから渡が出てきた。

渡が使う異能は【転移】特定の箇所に転移する力を持っている。それはもう範囲指定さえ出来て生物無生物を問わない最高の移動手段だ。


「さて、行くぜ」


そう渡少年は言うと空間の歪みが生まれそれに吸い込まれるように祈、願、渡の体が飲み込まれその場から消えると空間の歪みは無くなった。

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