1章9『娘の脅威』
眩い光に蝕まれ、それが解けたと思うと俺は、裸で手にソーラーチャージャーを握っていた。
目先を前方にやると、そこに居たのは、シクシクとお湯に浸かりながら泣いているアーサの姿があった。
あっ。そうだエレイン、エレイン。
「ちゃんと戻ってこれましたね。」
「ああ、そうだな。」
「その声は、祈君とエレイン?」
アーサは、うつ伏せになって泣いていたので俺らが声を出すまでその存在にきづいていなかった。
俺らの存在に気がついたアーサは、湯船から上がり駆け寄り抱きついてきた 。アーサもちろんのこと服来てないから絵面的には18くらいだよ。やばいよ、色々当たってるよ。
それはさておき、まだその曇った顔は晴れてはいないが、少し笑顔だったと思う。
「どこ……行って……たの……グスン……急にエレイン消えちゃうし……服も残したまま祈君はどこか言っちゃうし……ビェェェェェン……本当に……本島に心配したんだからね……」
「ああ、ごめん。それについて今から話すよ。」
「……ホント?」
「ああ。 まず寒いし、湯船に入ろうか。」
「……うん。」
やばい、なんか成り行きで、遠まわしに一緒にお風呂に入ろうって誘っちゃった。いや遠回しでもないのか?
湯船に入ると、アーサは、胡座状態の俺の足の上にすっぽり収まるように座っている。
エレインは、私もー! と服を脱ぎ捨て湯船にダイブする。
「あーんとね。まず簡単に言うと……元の世界に戻ってた。」
「元の世界……私とじゃやっぱり嫌だった……?」
しゅんとアーサが身をすくめる。
「な訳がないだろ。ええとだな、神様がなんか【転生】ってスキルを俺に与えてその効果が、何時何処で何処にどのくらいがわからない異世界転生が起こるんだよ。」
「じゃあ、また急に私の前から消えちゃうの?」
「ああ、出来ることならずっとアーサと一緒にいたい。ただ、そんなスキルを神様が与えたんだ、きっとなにかそういう思惑があるんだ。」
「分かった。じゃあその代わり、この世界にいる時は、何よりも私を大切にしてね。」
「ああ、もとよりそのつもりだ。」
そう言って俺は、アーサの頭を撫でてやる。
その笑顔が俺にはとても眩しくて、絶対アーサを悲しめるもんか……と俺は強く心に誓った。
俺らは、それからずっと一緒にいた、寝る時も離してくれなかった。まあ、別にいいけどさ……何もしてませんよ?
「なあ、アーサ。俺、例え2日でも俺の15年間よりも輝いていた、どれもこれも俺には見たことのない色ばかりだった。それも全部、アーサのおかげだと思ってる。きっとあの時アーサに出会ってなかったらこんなにカラフルに見えることは無かったと思う。だからありがとな」
そう俺は、ベッドに3人で横になっている時にアーサの頭を撫でてそう言った。
その言葉を最後に俺らは眠りについた。
〜朝〜
朝だ、夏の外気は少し寒い
そんな中俺は目覚めた。アーサの眠っている時の顔がとても可愛かったので、ついついスマホで撮ってしまっていた。
こいつ涎垂らして……
あれ? こいつどうしてワイシャツ1枚なの? ボタンほぼ外れてるし、短パンが見えなかったし……って絶対この状況じゃアーサに何言われるかわかったもんじゃない。
だから俺は、とにかく外れたボタンを当たらないように付けていく
「……んん……ダメだよ……そんな……んん……ぁっ」
アーサはどんな夢見てんだよ。そんなことを気にしつつもかかわらない方が吉かな……とおもって気にしないことにする。
さ、胸元のボタンが最後のボタンだ、それを止めれは、きっと矛先は俺には向かない。大丈夫だ。……ん? なんだこのボタン全然バストの尺あってないじゃないか、男物のワイシャツを無理やり来たようなかんじだな……それもあって何度か触れてしまったが、無事全てのボタンを止め終わった。良かった……
……と、思ってると
「ぁっ……んん……んん……」
アーサはそんな声を漏らし、寝返りをうった。それも俺の手を巻き込んでうつ伏せに……
ちょっ。ヤベェ。巻き込まれた。というか柔らかい……じゃなくてどうする。これじゃあすべて水の泡だ。考えろ。打開策を……
あっ、そうか……少しだけアーサを魔法で浮かせて……行ける。俺ならできる。
「はっ!」
よし出来た。完璧だ。アーサ起きてないし、でも抜けたし、万事休す。
「パパ? ママに何してたんですか?」
それは、我が愛しの娘(いや本当のじゃなくて召喚獣? 召喚妖精なんだけど)エレインの声だった。確実に……
「へっ? どこから見てた?」
俺はその不意な声の持ち主に正直にビックリし、変なギクシャクした声でそう反応してしまった。
「パパが起きる前からずっと見てました。」
全部見られてるやん。余すことなくすべて見られてるやん。恐ろし、我が娘恐ろしい。
「大丈夫です。パパは何も悪くありません。すべて不可抗力です。強いて言うなら一緒に寝ていることですね。悪かったのは……どうでしたか? ママの感触は……」
「それはもうやわらかくて……って違う違う。黙っといてね。ねっ?」
「はい。パパの命令なら仕方ありません。黙っておきます。」
良かった……まじバレたら何言われるかわからないから……
「パパ? ママ可愛いですか?」
「ああ、そりゃもうな、可愛いって形容詞じゃ足りなくくらい可愛い。」
「えへへ、私そこまで可愛いか……えへっ」
その声の持ち主は、アーサのものだった。すぐ分かった。
いやいや、なんで起きてんの? さっきまであんな熟睡して……はっ。もしかして……嵌められた?
「アーサ、おはよう。いつから起きてた?」
「エレインがダーリンのことをずっと見てる前から?」
「それすんごい前じゃん。あれか、ボタン外したのも、下脱いだのも全部自作自演か……」
「へっ? 後半初耳、私そんなことしてない……」
アーサは、自分が穿いてないのに、今気づきワイシャツの裾で恥ずかしそうに抑える。
「見た? ……いや見てもいいけど……見た?」
「いや、全然見えてないし見てないし……とにかく大丈夫。」
「そう。良かった。エレインちゃん?」
俺とアーサは、目線を一人で二パーっと微笑んでいるエレインに合わせる。
「いえ。流石にそんなこと私しませんよ。」
「じゃあなんで、アーサは下はいてないんだ?」
その後、脱衣所にまだ、アーサのパンツと短パンがありそもそも穿き忘れていたのだと知るのは、まだ少し早かった。