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3章24『不動の少女』



□□□



その頃俺は再びなんの予兆もなく【転生】していた。

【転生】してきた場所は地球だった。

いきなり戦地にほっぽり出されたら流石に困る。突然俺が出てきて敵兵は驚き即座に攻撃してくる。が、俺はすぐさまカリバーンを出しそれを打ち払い敵兵を切り捨てる。


「キャハハっ! いいねぇ、いいねぇ。人がいっぱい死んでるよ」


そういったのは敵陣からなんの装備もなくノコノコと歩いてきた少女だった。いや、幼女だった。その可愛い容姿からは想像もつかないようなその発言。


「お兄さん誰? てか何で服だけなの? 透明人間の異能なの?」


そうその幼女は少し遠い場所からフレンドリーに話しかけてきた。


「ええと、俺は巡谷祈。君は? 迷子?」


「はあ!? 何でホートが迷子なわけ? 知らないの? 〈山〉のホート・アーマード」


え? この子が米軍の五人の中のひとり? まあ、そりゃあ異能は20歳以下にしか発症しないけど。こんな十歳ぐらいの少女がこんな地も涙もない戦地に……


「お兄さん、敵でしょ。死ねェッ!?」


そう〈山〉のホート・アーマードがその容姿からは全く想像もつかない顔をしてそう言ってきた。

そうホートが言うとホート自らの体がガ○○ムくらいの大きさの固定砲台に変化する。きっとこれが【艦隊】の異能なのだろう。他に想像つく言葉があの時出てきたことはないから、これがこんな小さな少女が【艦隊】なんてごっつい異能を体現させたんだ? あと〈山〉ってなんだ?

その20m以上はある固定砲台の肩部分から追尾ミサイルのような弾幕が無数に出て来てそれがが俺をいっせいに襲う。

それを俺はカリバーンで全てを切る。少し爆風が熱かったが元々炎の魔法大好きでいっぱい使ってたし、異能暴発の時もこれ以上の暑さを体験したことがあるから特に気にすることは無かった。少し気になったのはこの服が燃えちゃうんじゃないかって所のみ。


「あれぇ? お兄さん生きてたの? しぶといんだね、」


「しぶといのが俺のいい所だからな。」


「自分で言っちゃうのそれ。」


「あはは、そうだな。」


そう言いながら俺はホートの方に向かって走り出す。


「近ずかせない。死ね死ね死ね死ねしねェッ!」


そうホートは叫びながら次は膝の所から無数の銃弾と肩から追尾ミサイルが俺をおそう。

クソッこれは避けきれない……一旦引くしかないか?

俺はそう考えながら少し後退すると、


「お兄ちゃん、そのまま突っ切って!!」


そんな声が聞こえ、俺の少し周りに見えない壁ができたような感覚がはっきり分かった。

俺はそのままミサイルを切り銃弾を切り、風を切って走る。

次々にホートの固定砲台から出てくる兵器の数々。それを俺は切ってゆく。

よしっ! 捕まえたッ!

俺はその動かない当てやすい的を切ろうとカリバーンを振りかざす。するとガキぃーんと音がして……

なんてことは無く、逆に俺の服に穴がいていた。


「何でだっ?」


「お兄さんとお姉さん。すこし勘違いしてるよ? 防御系の異能は完全防御じゃなきて、必ず集中攻撃をすれば壊れる。お兄さん防御に頼りすぎて背中のとこだけ集中攻撃されてたの気づかなかったでしょ。」


まさか知ってた? 願の異能を。それも俺らよりもっと強異情報力を持っていたというのか? そんな馬鹿な……

そうホートは勝ち誇ったように言っていたが俺の服の損傷なんて特に痛くもない。

俺はヒョイっと立ち上がり完全に武装されてわからなかったが多分ホートは驚いていたと思う。だって俺のことを透明人間としか思ってなかったから。


「キャハハっ! お兄さん面白いね? そこ心臓がある場所だよ? なのになんでそんな平然としているの? キャハハっ、キャハハっ! 死ねっ死ねっ死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねェッ!」


そうホートは叫び至るところから弾という弾を精一杯出してくる。それはもう本体の姿が見えなくなるくらい。


「じゃあ、お兄さんの異能は何なのかな? ホート知りたいな〜。」


その叫び声と弾を俺が切っていく音と弾が発射される音それらが俺の頭の中に聞こえてくる。

クソッ、あんなに出されちゃ近ずけない。どうする、【防護】じゃ結局防ぎきれないし、やばいな。


「キャハハっ、当たらないね。増やしちゃおうか」


そうホートは叫ぶとあたりに沢山あった死体の山が一つずつ歴史の教科書とかで見るような『戦艦』に変わってゆく。

これで一つ謎が解けた気がする、なぜ固定砲台だけ(・・)で複数を意味する【艦隊】なのか。それはこういう事だ。辺りには余るほどの死体があるその死体から『戦艦』を作れるんだったらそれはもう複数を通り越すほどのものとなるからだ。

最初から飛び出してこなかったのもきっとこのためだろう。『戦艦』を作るため。

ならばそれは物凄くやばい、多分米軍の五人の中で一番強いだろう。


「キャハハっ。死ねっ死ねっ死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねェッ!」


そうホートは叫び狂う。その叫びとともにたくさんの艦隊からの弾が至るところに広がって行く。


「願。もし俺が死ぬか、【転生】した場合逃げろ。これは今の俺らが倒せる相手じゃない。」


「お兄ちゃん、なんでそんな事言うの? お兄ちゃんが死んだら私も後を追うよ?」


「それは困る。願には長生きしてもらいたい。」


「じゃあ、そんな事言わないで。二人で勝とう。」


そう俺らは何とかして勝とうと誓った









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