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3章23『正義』



□□□



時を同じくしてヘブルにて【憤怒】対【怠惰】、【色欲】対【暴食】、【強欲】対【嫉妬】の対戦が【怠惰】、【強欲】、【暴食】が勝ち終わろうとしていた頃。

一人の少女がそこに現れた。

その少女は橙色の髪をしてコスプレのような少し歩いただけで見えてしまいそうなほど短いミニスカで露出度の高い警察服を着ていた少女だった。その少女が周りと違ったのはそのオーラと翼だろう。ここにいる魔王の身体は蝙蝠のような翼でそこの少女は違ったそれはまるで神々しく何よりも純白なその羽毛のついた翼それが特徴的な少女がその戦場という空気も読まず軽々しくこう言った。


「【正義】のラファエル・ジャスティス参上なのですよ。はいはーい、今すぐ戦いをやめてくださいなのですよ」


「えっと……どちら様ですか?」


そうエレインは呟いた。


「だから言ったではないですか、【正義】のラファエル・ジャスティスなのですよ。強いて言うならあなた方の敵です。」


そう天使の少女は風紀を正す警察にはあるまじき姿の象徴であるかのような胸を揺らしてそう言った。その少女の胸の大きさにエレインは少し嫉妬しつつもこの少女はホンモノだと悟った。


「今すぐ戦いをやめてもらうのですよ。さもなくば……」


そうラファエルは言うとポケットが至るところにあるのにも関わらずその豊穣な胸の中からどこかの栄養ドリンクくらいの小さいびんに入った液体を見せつけた。


「あなた方ならこれが何かわかるはずなのですよ?」


「何ですかあれ?」


エレインはこっそりグロウにそう聞く。


「ん? これは生命の樹の朝露なのですよ。魔王にとって弱点とでも言うべき存在なのですよ。」


そうこっそりグロウに聞いたはずの内容をラファエルが説明した。

(魔王にとっての弱点? じゃあアレがあればパパも……)

そう思ったのが分かったのかのようにグロウはエレインにこういった。


「別にあの人の仲間をしても構いませんわ。但し、その瞬間敵とみなしますが」


「そんなことする訳ないじゃないですか。」


そうは言ってみたはいいもののエレインは物凄くラファエルの仲間になりたかった。

だが、それで本当にパパが元に戻ってくるのか、とか色々考えるとまだ少し情報が欲しかったからまだ、グロウの方につくことにしておいた。


「もう一度言うのですよ、戦いをやめてほしいのですよ」


ラファエルがそう言うと魔王はみんな戦いをやめた。


「どうして、戦いやめたんですか?」


エレインは不思議そうにそうグロウに聞いた。


「それはですわね、あの液体、水滴一滴でもかかるだけで魔王の魂飲みを蝕んでゆく、2滴で魔王を浄化するのですわ。それを魔王は好まないのですわ。」


「なぜなら、魔王は全ての魔王の魂()を取り込むことによって1人前の悪魔(ひと)になれるからでしたか?」


グロウが説明しているところをラファエルが横取りするようにそう言った。

(なるほど、1人でも浄化されれば悪魔(ひと)に慣れないからこんなに怯えているのですか。)


「ほらほら、皆さんその場から少しずつこちらに近ずいて来てほしいのですよ。」


そうラファエルが言うとここにいる魔王全員がラファエルの近くに寄ってゆく。

だがみんながみんなそう簡単にやられに行くわけがなく、この中で一番勤勉な【怠惰】の少女がその瓶を操り壊そうとする。


「あらぁ? いいんですか? 壊してしまって。ワタクシの権能は風を操ることが出来るのですよ? その気になればここにいる全員を壊した瞬間に浄化することも出来るのですよ。」


「チッ……。」


だが、そうラファエルが脅すことにより【怠惰】のスロウスはその瓶をラファエルの手元に戻した。


「今すぐここから……いや、この世界から退いてほしいのですよ。」


「嫌だ」


魔王たちの意見は変わらなかった。


「あなた方が戦ってこのようなざまなのですよ、これ以上戦ってはこの星は持たないのですよ。そこまでしてまで悪魔(ひと)になりたいと思うのですか?」


「あなたの言っている意図がわかりませんわ? あなただって天使(ひと)ではないはずですわ。」


そう反論したのはグロウだった。

(天使(ひと)ではない? じゃあ、このラファエルさんも魔王?)


「ワタクシ達熾天使(してんし)はあなた方魔王とは違うのですよ。あなた方は欲望のために人になりたいと思っているはずですが、ワタクシたちはそれを妨げるためにいるのですよ。」


「結局綺麗事を言っているだけじゃないですか」


「ワタクシには【正義】の心が強く出ているのですよ。ですからあなた方にこれ以上悪事をさせるわけにはいかないのですよ。」


そのグロウの言葉を無視しラファエルはそのまま発言を続ける。


「そんなのただの偽善ですわ。私たちはそんなこと願ってませんし頼んだ覚えもありませんわ」


「綺麗事を言っているのはそちらですよ。ワタクシはその中の人……いやあなた方の肉体の声のもと、また周りの声のもと【正義】の名の元にあなた方を浄化するのですよ」


「一見おかしいことを言っているかもしれないけれど同理にかなっています。それがあなたの正義ですか」


そうラファエルの言葉を肯定するスロウス。


「では……」


「ですが、僕はその正義は気に食わない。自分の正義を人に押し付けるなんて傲慢も甚だしい」


人にはそれぞれの正義の価値観というものがある。悪いことを悪いと言う正義。悪いことを悪いとは言わず見守っている正義。などなどたくさんの正義を人は持っているその正義を人に押し付けるのは傲慢。だとスロウスは言いたいらしい。


「そうですか、傲慢ですか……そう捉えるならそれでもいいですよ。ワタクシはワタクシの正義を往く。ただそれだけなのですよ。」


「どこまでも傲慢に行くというのか……。その傲慢気に入ったぞ。カッカッカッ、手を貸してやろう、【黒を抱き強風(オルカーン)】」


そうプライドが言うと辺りに黒い竜巻が作られ、風に体制のあるラファエルとそもそも効かないグロウ以外その強大な風により遠くへ飛ばされていく。






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