3章16『爆撃』
「すまないな、呼び出して。」
そう言ったのは本軍に大きく構えた少年、信実真。
「いえ、結局こういう仕事が回ってくるんだろうとは思ってましたから。」
そう答えたのは渡、【転移】という異能を使う少年。
彼は全身火傷痕で覆われていて虫の息になっている蛍をおぶっていた。
「あらら〜。蛍ちゃんこんなに傷だらけで〜。」
(このまま放っておいたら死んでしまいそうですね〜。……ゴクリ。)
「まあ、私も鬼じゃありませんし〜。【治癒】〜♪」
そう思いながらも診は両手を蛍に触れて【治癒】を発動させた。
□□□
「クソッ、キリがない!!」
そう言ったのは片手に赤い刀身を持った剣を片手に炎の刀身を持った剣。それらを持った少年まあ、俺が叫んだ。
「敵多すぎやしないか? これで何人よ?」
「50人ほどじゃないかな?」
そう願いが答えたその瞬間ドゴーンと大きな爆裂音と噴煙が聞こえた。その醜悪な音と煙は一度では終わらない。2度3度……というふうにものすごい数聞こえる。
「なんだ!?」
「爆発音?」
俺らは驚きのあまりそう声を漏らす。
その方向は大体北西。いい調子で行っていたら咲の軍がいる辺りだ。
「咲か……大丈夫かな? ……いや、愚問だったな。」
俺はそう呟くがすぐさまそう言い正した。
だって、俺でさえ殺すのに物凄く時間と力をかけて1回しか殺せていない。しかもその時は、チート能力がちゃんとチート能力として使える状態にあった。
「お兄ちゃん、人の心配してないで自分の心配してよ」
「そうだな、敵がこの姿に慣れないうちに。」
そう言って俺は敵兵を一人手馴れたような手つきで切り落とす。
忘れている頃だろうから言っておくが、俺は今身体がない。服に魂が乗り移っている状態だ。
その姿に敵兵は驚き動きを鈍らせる。そのすきを狙って今は結構ハイペースで倒しているが敵兵がこの姿に慣れてしまえばどうってことない。
それに、この姿が不死身だと決まったわけでもない。少しの油断が俺の命を奪う。
□□□
「あらァ? どなたですかァ?」
そう狂ったような声で聞いたのは他でもない切り裂き咲。今は協力状態にあるが祈の永遠の敵とでも言うべき少女。
「オレカ? オレは<火>のジャック・バスター。冥土の土産に覚えておきナ」
「残念ながらァ、ワタクシはァ、死にませんよォ」
そう妖艶な笑みを浮かべて咲は言った。
「名乗らないなんてなってないんじゃネーカ?」
「そうですわねェ。ワタクシは生憎アナタに名乗る名前は持ち合わせていませんのォ」
咲は血に飢えたような漆黒の刀身を持った双剣を血を落とすように振りそう答えた。
「ソーカイ? 答えないならそれでイーサ! 死ぬのだからナ!」
「<火>ですかァ、アナタ【爆撃】ですねェ。いいですわァ、欲しいですわァ」
そう狂った剣技で少年を切り刻もうとする。
が、ジャックは【爆撃】を使い延性する。
「ハァハァッ! 爆ゼロ、爆ゼロ、爆ゼロ!」
そう叫び爆発音をあたりに散らす、それなんの力も使わずただ速さと剣で切ってゆく。
ジャックが驚いたその一瞬をついて目にも止まらない二激三激を繰り出す。
「クッ!!」
なんて言うとでも思ったか? みたいな顔をしたジャックは先の体を掴み、勝利を過信したようにニヤニヤして咲の体を爆弾に変えて咲の体が爆散した。
「ナンダ、弱いじゃネーカ。」
「ウゥ、酷いじゃないですかァ、一回死んだじゃないですかァ。」
爆散した咲の体がまるで逆再生したみたいに元に戻る。
それがまるで他人の出来事かのように何も無かったかのような顔をして、再びその妖艶な狂いにまみれた笑を浮かべる。
「ソーカイ、ソーカイ。キミが不死身の切り裂き咲かイ?」
「だったら何なんですかァ?」
「イヤ、たくさん殺せるナッテ。」
そう言ったジャックは手をグッパーさせて指をポキポキと折り、首を抑えてゴキゴキとまるでまだ本気を出していないような振る舞いをする。
「無限の狂剣ッ!!」
咲がそう叫ぶとジャックの頭上に無数の剣が並べられそれが一斉に落ちてくる。
それを見たジャックは、特に驚くこともなく頭上に手を掲げて手を握り
「ムダムダァァァァ!!!!」
そう叫び、全ての剣を自らの爆撃によって攻撃をそらす。
その爆撃によって剣が飛び散りたくさんの人に突き刺さり「グワァァァ!!」そんな悲鳴があたり一面に響き渡る。
「爆ッ爆ッ爆ッ爆ッ爆ゥッ!!!!」
そう何度も叫び何かをつかむような動作をして辺り一面が爆発し悲鳴が沢山聞こえる。が、その熱気ですら咲には届かない尋常じゃないほどの速さと剣が熱も煙も爆発さえもを切り刻む。
(近づいたらまた爆散されますわァ。でも遠距離は爆撃によって爆砕されますわァ。いかが致しましょうかァ?)
「【時間】ッ!!」
そう咲が叫ぶと時間が止まったような感覚が咲を襲う。
(相変わらずこの感覚には慣れませんわねェ。)
そんなことを思いながら咲は許容時間1分の間にヒットアンドアウェイしなければならないので急いで走りそこで時間が終わってしまい、時間が急に進む感覚に襲われる。
「ンナ!? 何故ここニ?」
そうジャックが言葉を発する前には咲は下から二つの剣を振り上げる。
それをジャックはノーモーションで爆発、防御、延性する
それに驚いた咲は攻撃途中の件を無理やり止めて後退する。
「オレがいつ動きがないと発動できないと言っタ?」
(やばいですわァ。ピンチ到来かも知れませんねェ。)
そう咲は思い冷や汗を流す。
何故ならば遠距離攻撃の威力は爆砕され無力……いや周りに被害が出る。至近距離の攻撃ならば確実に殺られる。
これはほぼ無限な命を持ってしてもいつかは殺られる。
(何か弱点を差がなくてはァ、どう致しましょうかァ)
咲はジャックの姿をじっくりと見ながら攻撃を仕掛けた。




