3章11『力と《力》』
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハァッ!! ボクがそう簡単に死ぬと思いでしたか?
……いいことを聞きました、連撃に蓄積に反射ですか。
それはボクには効きませんよ。
なんてったって、ボクの権能は操作ですからね。」
そこに居たのは、まるで何事も無かったかのような姿でそう喚いたスロウスだった。
憤怒の一撃を……最強の打撃を受けたのにも関わらずスロウスはまるでその痛みを感じていないかのような……攻撃を受けなかったかのようなほどだった。
「操作は偉大だよ、実に勤勉だァッ!
生物、無生物、物質、それ以外……全てを操れる。」
「という事は威力でさえも……」
スロウスがそう喚くように説明するとそれに補足するかのようにエレインそう言った。
そのエレインの囁きに「ご名答」とだけ答えて再びその怒り昂った……憤怒に溺れたサタンに再び攻撃を仕掛ける。
「ボクの二人目の餌食になってもらいますよォ!! 【憤怒】のサタンさん。」
そう言って、姿形はボロボロになっているサタンに宣戦布告。そして人形隊、上空には石礫が無数に構えている。
「どんなに強い力を持ってしても、力を無力化するボクの権能には無力。嗚呼、アナタ怠惰でしたね。」
「くっ……。死ぬわけにはいかねェ……。俺を封印するためにィ……!!」
そう小さい体で大きな野望をそれ以上の憤怒を乗せて叫んだ。
□□□
それと同時刻。同じくヘブルのその平原一帯で三つ正確に言えば【虚飾】対【傲慢】も含めて四つなのだが、2人は高みの見物をして戦っていない。その内の一つ、【強欲】対【嫉妬】にて……。
「ンー。ミーはレディをいたぶる趣味はないのだが……。」
そう言ったのは、自らを男のように称している、どこを見ても女性にしか見えない少女、【強欲】のマモン・グリード。
「ワタクシを甘く見ない方がいいですワ。【強欲】さん」
そう【強欲】の少女に喧嘩をふっかけたのがジメジメとした少女、【嫉妬】のレヴィアタン・エンヴィー。
「おやおや、ミーがレディに劣るとでも?」
「少なくともワタクシが負けることはありませんワ。」
「ミーの【強欲】は如何なる権能にも劣らない。そう自負していてね。」
「そうですカ……ではその権能。消させてもらいますワ」
レヴィアタンはそう言うと何かをつかむような離すような動作をする。
「今なにかしましたか?」
【強欲】の少女、マモンはそう聞いた瞬間壊れたラジオのようにこう言葉を繰り返した。
「――ああ、知りたい……。全てを知り尽くしたい。知識を、力を、全てが欲しい……。
分かりましたよ。【嫉妬】のレヴィアタン・エンヴィー。17歳、髪は濡れたようなろの縮れ毛で身長150センチ、バスト73・5、ウエスト48・7、ヒップ77・3、体重42・4kg、恋愛経験なし、男経験なし、【嫉妬】の称号がありつつも実は純情で乙女、料理ができて意外と家庭的、但しその嫉妬に濡れたような縮れ毛と目の下に出来たクマで陰気キャラだと思われていることを恐れている、権能【嫉妬】権能消去と精神汚染……
ああ、知識が満たされていく……。」
そうまるでどこかから引っ張り出してきたかのようなレヴィアタン本人ですら知らない知識ですらもを全てこの数秒の間に探り出した。
まるで、【強欲】のまま欲を満たしているように……。
「それじゃあ、ユーは尚更ミーには勝てない。
なぜなら、ミーの権能は、取得、強奪と不干渉。ミーの権能を消去することは出来ないから。」
「それならワタクシの力だけで倒すまでですワ。」
そう言ってレヴィアタンは颯爽に拳一つで殴りにかかる。
「おやおや、言ったではないか、ミーには強奪の権能があるとォッ!!」
そう言ってマモンは何かを掴むような動作をしてからレヴィアタンの殴りのスキをついてレヴィアタンに触れる。
すると、そこから少し眩い光が生じた。
「!? 何をしましたノ?」
「なあに、ただユーの力を奪っただけさ。」
「ワタクシの力ヲ? そんな……嘘?」
そう言ったレヴィアタンは再びマモンに殴りかかろうとする。
……が、レヴィアタンはその場に倒れてしまった。
「ほふは……はっへひふひははほひほへひはふひははほひゃへふひははほはひはふへ……。」
「さあ、詰みだ。ユーに抗う力は残っていない。ユーの魂を頂戴する。」
「はへはへ!!」
そう言葉のようなものを発するとレヴィアタンは何かを念じるような行動をした。
すると、マモンもその場に倒れ込んだ。
「何をした!? いや、言わずともわかる。たまにミーの情報が間違って来る場合がある。」
自分がその場に倒れ込んだのが不思議なようにマモンはそう言った。
(マモンさん、ひとつあなたの情報は間違っていますワ、ワタクシの【嫉妬】の権能は自分より優れているものを消すですワ。決して権能飲みを消す権能ではないですノ。)
「だが、この危機的状況でもミーの権能は生きている。立ち上がる力はなくとも指先くらいなら十分動かせる。」
そう言ってマモンは再び何かを掴むような動作をし、地面に触れた。
(なんですノ? 何をするつもりですノ?)
それをしたマモンはさっき自分で立ち上がる力もないと言っていたのにまるでそんなことが無かったかのようにヒョイと立ち上がった。
あたりを見渡すとそこにはさっきまで生きていたはずの枯れた草木が立ち並んでいる。
「どうしてかわからない顔だね? いいだろう、特別にユーには教えてあげるよ。今この部分……辺り一体にある力という力を全て自分の力に変換した。例えば生命力、引力、重力、磁力、エトセトラ……それらの全てをミーの力にした。」
(ただ、それも結局はあなたの力私より強い『力』は消せる。)
そう思ったレヴィアタンは早速それを実行しようとしたが駄目だった。
「今、ミーの力を消そうとしたね? ただそれは出来ない。ユーの消す力はユーより強い『力』を消すことが出来るだろう? なぜならユー以下の力の集合体を一つの力のように見せてるだけだからな。」
マモンはそう高らかに語った、あくまでもそれはレヴィアタンの力以下の力の集合体でしかないのだとか。
レヴィアタンは詰んだと自覚してしまい、その場から意識を経った。




