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3章8『谷を駆け抜ける者』


「じゃあ、結婚式の続きはまた後日。祈君が体を取り戻してからという事で!」


そう決まって、俺らは隻腕の執事、ベティさんに国王代理としてこの国の統制をしてもらうことにして黄金の聖杯を探す旅に出る事になった。


行くメンバーは俺、ダンテ、アーサ、マリン、ランス、ピアス、グィネの7人。+一応エレイン。今は多分俺の体の方について行っていると思う。


――【虚飾】のグロウ。

そいつが俺の体を奪いどこかの世界で行動している。

そいつの正体も何もかもが分かっていない。ただ真っ黒で何も見えていないからだ。それがどこの世界だったのかも。

ただあいつがこの世界達についてなにか分かっているかもしれない。そんな気がする。


「さあ、行くか。」


俺達は馬車に乗り込みその広大な城を後にした。



「そう言えばさ、ピアス」


俺は思いつきでピアスにそう声をかけた。


「なに? どうした?」


ピアス・ボレー。その書き方はきっとPierce valleyで貫く谷(・・・)まあ、名前自体に意味を持たないこの世界ではあんまり意味が無いことなのだとも思うけれどもそこはなんて言うかアーサー王伝説になぞらえた感じの名前の人が多い。なにか引っかかるものがあったんだけど今やっとそれがわかった気がする。

聖杯探索家で、貫く谷(・・・)この二つの条件と証拠じゃあっている確率の方が少ないかもしれないけれど……


「もしかしてさ、ピアスって本名じゃなかったりする?」


「……。」


俺がそう聞いた瞬間ピアスの顔が明るい無邪気な子供の顔から暗い顔をする大人の顔に変わった


「……。やだなぁ。何言ってるの? 本名だよ本名。」


「そう? なんか変なこと聞いてごめんな。」


「大丈夫。でも何で?」


「いや、何となくだよ。」


この会話で俺の考えが確信に至った気がする。

この少年は間違えなくピアス・ボレーが本名じゃない。きっと本名はアーサー王伝説で谷を駆け抜ける者(・・・・・・・・)の意味を持つPercival(パーシヴァル)に間違えない。多少なりかは違うかもしれないがきっとそうだ。

まあ、すべて間違っていてこの少年の本名はピアス・ボレーでその名前がパーシヴァルから来ているだけかもしれない。

まあ、どっちにしろこの少年ピアスは嘘をついている。長年の感とかでわかる感じの嘘ではなく素人でもわかりやすいやつ。

どうしてそんな見え透いた嘘をする必要があるんだ?

まあ、いいや。特に俺らに害を与えてるわけでもないしきっとなにかままならない事情ってもんがあるんだろう。


「そうか……。」


ピアスはそう俺の言葉に答えた……。




□□□




……え? ちょっと待て、今もしかして……。



――光の反応なし(・・・・・・)に転移した(・・・・・)



あたりを見渡すとそこにはさっきまでいた高原のそれではなく、半壊したガ〇〇ム像がある東京のお台場だった。

まるで途切れたテープに違うテープを無理やりつけて流したようなそんな感覚が俺を襲う。

一瞬で変わったその景色が瞬きすらする暇も与えず脳に直接ものすごい量の情報を入れられたかのような激痛が走る。

本当の脳は痛くないんだけどなんというかそんな感じ。


そうか、ここが最後の場所だったっけ。

確か切り裂き咲と対峙した後転移してちょっとしてから転移してきてだべって転移してか……。

長い間ここにいなかったような感覚だな。


俺はそこから人目を気にしつつも警視庁に……家に帰る。

家に帰るとそこには俺と願の巡谷という表札と共に治癒という表札と篝火という表札がかけられていた。


あのくだり本当だったのか……。

そんなことを考えながら俺はあまり乗らない足取りで玄関を開き家に入る。

その音を聞いてか、三つの足音が聞こえたと思えば願、診、蛍の3人が玄関に立ち並んで……


「……え? どうしたのその体?」


俺のこの服しかない姿を見て唖然とした……驚愕してそう尋ねた。


「ええと、新しい世界で身体とエレインをパクられた。」


俺はもう三回目のその言葉を慣れた勢いでそう言った。

それを聞いた3人はまあ、いつもの事か……。みたいな雰囲気を醸し出していた。


「早く取り返したいんだけど、あの世界に行くチャンスを待たなくちゃいけなくて……。」


俺はなにか決心するような顔で……まあ、顔はないんだけどそんな感じでそう言った。


「そうだ……この国が……いや。世界中が……危ない……ことに……。」


「え? どういう事だ?」


「それはね。アメリカが他国に戦争ふっかけたの。


異能者を使った戦争。それがこの国の近くで起こっているの。」


異能者を使った戦争だって?

それはあまりにも自意識過剰し過ぎている。

世界はこんなにも広いのに……切り裂き咲の【武装】ですらこの俺に。半ばチート能力を持って消えたのに。

この世にはその異能すらも屠るであろうその武力と科学力があるんだ。

又はそれ以上の異能が。



「クソッ、あのタユハテがそんな事を……。」


タユハテとは今のアメリカの大統領だ。

アメリカを全国のトップに押し上げた……世界から一時的に戦争(・・)を無くしたろ騎士に確実に名を残すであろう人物。


「違うよ。タユハテは今の大統領じゃない。タユハテが殺された、異能者の手によってそしてそのままそいつが政権を無理やり握った。

そしてこのザマ。確かそいつの名前はモリアティ恐怖支配による統制でそれを起こした。」


どうやら地球でも再び大変なことが起こりそうだ。











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