2章19『my sweet honey』
戴冠も無事終わり、昨日まで前国王が腰掛けていた玉座に腰掛けていた。
俺は派手であまり付けたくはない王冠を頭にかぶり、そこに居る隻腕の執事さんと皆で話していた。
「……という訳で、俺らは旅に出るからベティに国王代理としてこの国の統制をしてもらいたいんだけど……」
「え!? 祈様が旅に出るんですか!?」
「妾もお供しますえ」
「姫……王女様まで……」
そんな俺らの我儘を受け入れたようにベティさんは頷き、そしてワントーン落ちたような声でこう言う。
「ですが、ちゃんと式を挙げてから行ってもらいますよ。」
「ああ、それなんだけど……一緒にアーサとの式も挙げたいかな、って……」
「その話は聞いております。ハイ、準備はちゃんと出来ています。」
なんか俺知らないうちに国王になってるんだな〜と心から実感してくる。この有能な執事といい周りに沢山いるメイドさんといい。
俺がそのベティさんの言葉を聞き届けると、ランスと善マリンがベティさんに近づき何やらひそひそ話している。その内容はこそこそ話しているのでよく聞こえない。
「では、祈様。式の準備をしますので、どうぞ付いてきてください。」
俺は言われるがままにベティさんの後を着いてゆく。
連れてかれた所は何だろここは? 衣装室みたいな? まあそんなところに連れてかれ、白一色のタキシードのようなものを着せられる。
あ、今すぐやるんですか……アルフヘイムといいアヴァロンといいなんか結婚しようから結婚までの展開が早すぎる。
ダンテ姫との結婚式だけならまだわかるけど、アーサの分までも用意できるとかこの世界のそういう企業? ものすごく有能すぎる。
俺は着替え終わり玉座の間……さっきまで俺が座ってた所に戻りダンテ姫とアーサを待っていた。
すると大きなものが動くような音が聞こえる、玉座の間の俺の何十倍もある開けられないんじゃないかと疑うくらい大きな扉が開く音だ。
俺はそちらに目をやると、白い和服のダンテ姫とウエディングドレス姿のアーサがいた。
「ええっ!?」
俺が驚いたのは、アーサやダンテ姫のその姿ではない。むしろその奥にいる二人の姿だった。
「何で、ランスとマリンが?」
そう、奥にいたのはウエディングドレス姿のランスとマリン。マリンのドレスはいつものようにブカブカではなく、ちゃんと善マリンの姿にあった大きさのものだった。
「私たちのウエディングドレス姿を見て第一声がそれなの? 祈君。」
「ホント、そういうところがなってないですよ? パパ。」
俺はみんなにズタボロ言われて改めて見るとその姿に見惚れてしまった。
「ええと、みんな可愛いよ。」
俺は少し顔が暑くなっているのがわかった。
「本当にそう思っているんですかえ?」
「本当だよ。みんなすっごく可愛いよ」
「「「「ホント〜?」」」」
「あ、ああ。そうだ……何で、マリンとランスが?」
俺はみんなに追い詰められて成すすべがなくついつい話題を変えてしまう。
「それはですねぇ〜。つまりこういう事ですよぉ〜。」
そう言ってマリンは俺の頬にキスをする。
「え!? なに!? どういう事?」
俺はそのあまりの出来事に言葉をつまらせながらそう言った。
「本当に鈍い人ですねぇ〜。つまり私も祈さんの事が本当に大好きなんですよぉ〜。」
「だから、どうせならみんなで結婚してしまおうってアーサとダンテ姫が……」
「「ダメだった(でしたかぁ〜)?」」
二人の上目遣いのその声がそうシンクロした。
「い、いや。そんな事ないよ。みんなが良ければ。」
俺はその姿に断れる訳がなく、そんな将来どう捻っても尻に敷かれる未来しか見えない言葉を発してしまう。
ダメだ、何かこんなことに弱いな。
「「「「では、行きましょうか、祈(様)(君)(さん)。」」」」
「ああ。」
俺は四人の差し出す手を取り式場に向かう。
やっと俺はアーサと結婚できるんだな……記憶が戻ったらアーサはなんて言うのかな?
そう言えば、闘技場にいた宮廷魔道士のユーサさんの本名。ユーサ=グランドナイツ・ペンドラゴンだったな……。
確か三個目のやつが宮廷魔道士に与えられる称号みたいのだっけか……年頃もちゃんと合うしやっぱりアーサのお兄さんなのかな?
式で1回結婚式をやるのにかかる時間の4倍もの時間がかかる。
正直いって合計5回も結婚式をやるのは結構疲れるものだ、日本の一夫一妻制の法律がありがたくも感じる。
まあ、そんなことは今の俺は決して思っていない。やっと記憶を失ったとはいえ愛するアーサとの式が挙げられるんだ。面倒とか疲れるとか思っていたらバチが当たってしまう。
全員のその美しい姿はなかなかのものだ、この4人は結構可愛い方……と言うよりこの世界にここまで可愛い人はいないだろうと言うくらい可愛い。
そんな可愛い4人と指揮が挙げられるんだ。きっとこれからもっと辛いことがあるぞ……
そんなことを思いながら4人との式が終わったと思うと、俺は光とともにこの世界から消えていた。




