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2章16『王都ロンギヌス』

目を覚ますと俺は馬車に揺れていた。

まだ日はぎりぎり沈んでなく目の前には立派な壁がそびえ立っている。


「あ、おかえり祈君♪ そろそろ着くよ♪ 王都ロンギヌス♪」


そういや、王都の名前ロンギヌスだったな……王家の紋章も槍のような形だった。

壁にも同じ紋章が刻まれており、そこがロンギヌスだと改めて分かる。


「今、王都ではお祭りしているみたいですぅ〜。」


「祭り? 何の?」


「どうやらそろそろ国王がその座を降りようとしているようでぇ〜。そんな感じのお祭りです〜。」


そんな会話をしているうちに、少し遠くにあったはずの壁がもう見あげないとその全貌が見えないほどの距離にいた。

検問所でも何一つ確かめられることもなく、王家の特権だろうか、素通りする。

町並みはキャメロットと近からず遠からずでまあ同じような作り方ではあったが、人の数が違う札幌と東京ぐらい違う。例えが少し悪かったかもしれないけどそんな感じなので仕方が無い。

その理由は間違えなく今やっている祭りのお陰だろう。

俺らはまるでパーティーの見世物かのように、その真ん中を突っ切りこの王都の中央にそびえ立つアルフヘイムの城より何割か大きなその城に向かってゆく……



「それで、ソナタ等が我の娘を助けてくれたわけだな。」


俺らは今王宮の中玉座に座っている国王の前にひれ伏して、肩肘をつき座っている。

中もアルフヘイムよりも何割か豪勢で金銀パールにダイヤ、真鍮などで装飾されていてとても美しい。


「は、ハイ。そうです。」


俺はやはりアルフヘイムでは王族ということになってはいるが、こういった場所になれてはいない。俺はぎこちない返事をしてそう言った。


「お主らには欲が見当たらない。一刻の姫を助けたならもっと欲があるものだと思うが……」


「いえ、俺らは当たり前のことをしたまでですから。それよりどうしてそんな欲がないなんてわかるんですか?」


「それはだな、我が【選定】のスキルを持っているからだよ。」


「【選定】のスキルは、その名の通り選ぶスキルです。

例えば欲がわかったり、その人の手の内がわかったりするものです。」


そう、国王が自分のスキルを口にしたあと、隣にいた秘書さんらしき人がそのスキルの説明をした。


「そこで、君らには〝国王選定〟に出場する権利をやろう。おっと、男しか出場出来ないがな……」


「この国は代々国王選定という、知識や武力等等で争い残った最後の1名が次の国王になる大会を開くんです。」


国王がそう言うと秘書さんが……執事なのか? まあいいや側近さんがそう補足した。


「え、でも……。」


「ええい! なに、お礼はちゃんとする。あくまで楽しむつもりで参加してくれ。」


俺がそうためらっていると、国王がそう言ってくる。

国王が手を叩くと側近さんがハッ。と返事をして近くにおいてあった物を国王に渡す。


「これは心ばかりのお礼だ。受け取ってくれたまえ。」


そう言って国王はスイカ1玉分くらいの大きさのジャリンジャリンと音が鳴っているその袋を俺に渡す。


「この中には、王貨三百枚が入っています。どうぞ、旅の資金にお使い下さい。」


たしかこの世界の貨幣の価値は青銅貨幣→銅貨→銀貨→金貨→白金貨→王貨。という順番で王貨が一番高い。

王貨1枚で買えないものはないとされているその膨大な額は俺ら旅人が持っていていいものではないと心から思う。


「いいえ、こんなに貰えません。」


だから俺はそう言って断ることにした


「そうか、ならそれでいい。祈とやらその代わりお主には〝国王選定〟に出場してもらう。」


「へ……?」


かくして俺は〝国王選定〟に出場……言わば国王になることが出来る権利・・を得たのであった。


「凄いですえ。我儘で何考えてるか全くわからないお父様の一次審査をクリアしてしまうんですえ。」


玉座の間から俺らは出て今は廊下でダンテ姫にそう褒められているところだ。

因みにここにはマリンとダンテ姫とエレインと俺しかいない。


「一次審査って?」


「実はもう国王選定は始まってるんですえ。一次審査、内面。祈様にはそれだけの力があるという事ですえ。」


「そうですよぉ〜。国王選定二次審査以降に出られるのは数100人何ですからぁ〜。」


「そんな凄いところなのか?」


「貴族だって出れなかったりすることもあったそうですぅ〜。」


え? マジ? 俺がそんな所に出てもいいのかよ? しかも俺ほぼ圧勝してしまうと思うぞ? だって俺ギルド四天王の1人『太陽の魔剣士』なんだからな。


「でも一筋縄では行きませんえ。妾の知る限り少なくとも祈様と同等以上の力を持っている人が10人はいますえ。」


「私の弟子達も参加してるようですぅ〜。私の弟子達は私くらい強いですよぉ〜。」


これはどうやら一筋縄では行かないようだ。参加権を無理やり押し付けてきた国王の意思を裏切るわけにも行かないし、本気を出して本望ではないが国王の座を勝ち取ってやるか。負けるのはしょうに合わないし。


「ッシャー。いっちょ大暴れして国王の座を貰ってやるか。」


俺が大声でそう叫ぶとマリンは「頑張ってください〜」とダンテ姫は、何故か顔を赤くしていた。何で?

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