2章8『聖杯探索』
ん? ここは……?
俺は目を覚ますと、そこはアヴァロンのアーサの部屋だった。
「あっ。祈君帰ってきてる。話は色々聞いたよ。」
そう少し元気気味だけど言葉のはしが弱々しい記憶を失ったアーサだった。
「記憶は元には戻ってないけど、色々聞いた、私はどこの誰だったのか……」
そうか、やっぱり記憶は戻ってないのか……
「あっ。祈さんおかえりですぅ〜。」
「祈。おかえり」
「ああ、ただいま。」
俺はみんなのおかえりの声にただいまと返す。
「祈。帰ってきてそうそうなんだけど。黄金の聖杯って分かる?」
黄金の聖杯? あの神器の……
「伝承によるとその黄金の聖杯の中に入っている聖水を飲めばどんな願いも叶えられる力を手に入れることが出来るらしい。」
どんな願いも……か……そんな力を手に入れられるってのか?
「でもその聖杯。そんな昔から伝わってるんだからもう誰かが……」
「いや、そんなことは無い。見つかっていればアタシの情報網に入ってこないわけない。」
「探しましょう〜。エクスカリバーでさえ今まで見つかってなかったんですよぉ〜。」
「それもそうだな。アーサの記憶を取り戻すために。」
こうして俺らは聖杯探索をする事になった。
聖杯探索ってさあれだよね。ガラハッドやパーシヴァルのあれって確かパーシヴァルが見つけるんだよな……
じゃあパーシヴァルを見つければ良いんじゃないか?
「じゃあ、この家ともおさらばだな。 そもそもここじゃ住めるのも時間の問題だからな……」
「ここにある荷物はすべてアタシがストック出来るから……あっ、どうせなら家ごとストックしておこうか。」
これはグィネのスキル【貯蓄】の力。
制限なく自由に保存することが出来るらしい、だから前魔剣を自由に出せるらしい。
「じゃあ、その方向で……」
「このスキルはアタシが認めた人なら自由に使うことが出来る。
ここにいる。アーサ、マリン、ニマーヌ、タリシエン、エレイン、祈、ランスは、自由に家のものを引き出しできるから。」
「へぇー。便利なんだな〜。」
俺はその便利さのあまりにその声を漏らす。
「では……どこへ行きましょうか。パパ?」
そうか……行く宛がないか……
「なんかそんな感じの伝承地とかないのか?」
俺の世界でもはっきりとした場所……そもそも、見つけた人ですらバラバラなんだ、ガヴェインだったり、ガラハッドだったりパーシヴァルだったりランスロットだったりするからな……
んーん。なんか無いかな……エクスカリバーですらあんまり関係のない所だったし……キーワードみたいなのがあるはずなんだよ、きっと……
なにか、何かないか?
「……エレイン。今からいう単語の中で地名になってるものがあったら教えてくれ。
ケルト、ブリタニア、ヒルベニア、トマス・マロニー、ホーリーグレイル、アリマタヤ、ヨセフ……」
「今パパが言った中で、ケルト、ホーリーグレイル、アリマタヤの三つが地名としてあります。」
「そうか……意外とあったなそこに行こう。」
「「「「「「「オー!」」」」」」」
俺らはまずはケルトと呼ばれる樹海に行く事にした。
ケルトはグラスフォレストの南西に位置し、ここキャメロットから馬車で一週間ほどはかかる位置にある。
「この場所ともおさらばだな。」
俺はこの家にはたった数日しか……この家の中にはほんの数時間しかいなかったかなーと思うが、俺にはとても思い入れのある場所だ。
まあ、この家とともに旅をするんだけど、この場所にある家にはもう会えない。
ハーあ、楽しかったなー……この家での日常……この街での日常……
「さあ、行くか……」
俺は少し寂しそうにそう言った……
「なあ、パーシヴァルとかガラハッドとかそんな人居ないか?」
ケルトに行く途中馬車の中で俺はなんとなくそう呟いてみた。
「聞いたことないですぅ〜。国の情報網を使って調べてみるの手もありますがぁ〜。私なら容易にできますよぉ〜。」
俺の問にそう提案するマリン。マリンは一応宮廷魔導師のトップでその地位は帰属以上伯爵未満らしい、だが、その権力は王様の次に偉いと言われているらしい。
マジかよ……マリンってそんな偉い人なのかよ……
「パパ。もしかして……」
俺の問に察したかのようにそう聞いているエレイン
「ああ。そうだ。」
両方聖杯探索にアーサー王伝説で深く関わった人物。
だがその事は言ってない事なので人差し指でシィーとしておくと、エレインはコクリと頷いた。
「じゃあ、一度王都に行きましょうかぁ〜。」
「それでいいか?」
「うん。」
全員がそう答えた。みんな異論はないそうだ。
さて行きますか……王都ロンギヌスへ……




