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2章5『小さな進歩』

光が収まり、目を覚ますとそこはアルフヘイムだった。

今はまだ、と言うかもう朝の9時なので俺とティターニャの夫婦のダブルベッドには誰もいなかった。


「あっ、旦那様帰っておられましたか……まあ、何ですの? その痕は?」


あたりを見渡すと下着姿のティターニャが居た。誰もこの部屋にいないだなんて言ってない。

……って、下着姿!?


「おい、ティターニャ服着ろ服を!!」


俺は純粋に手で目を覆い見ないように考慮してそう言った。

服きてる時より胸が大きく見えたな着痩せするタイプ……わかりやすく言うならば隠れ巨乳だった。


「はい。いいですわよ。服着ましたわ。」


俺はゴホンと咳払いして目を開ける。

するとそこには何も着ていないティターニャが……なんてことは無く、ちゃんと黄緑のドレスを着て居た。


ティターニャは黄緑色が好きなんだな……

もっと他の色のものも着てみたらいいのにきっとキレイだ。


「へぇっ?」


ティターニャのそんな声が聞こえた。心做しか顔も赤いご様子。


「えっ? 俺声に出してた?」


「ハイ。バッチリ褒められました。でも旦那様それはできませんわ、王族の家系には決められた色が存在しますの。例えば私は黄緑色。お兄様は黒と言ったように……」


そういえば下着の色も黄緑だった気がする。髪もまあ金緑色だったしな、地毛だと思う。あれは染めて出来る色じゃない。


「へぇーっ。そんなしきたりがあるんだ。じゃあ何俺も色が決められるわけ?」


そう俺は聞くとティターニャは、首を横に降った。


「いいえ。それは違いますわ。王族の血を引く者のみ色が決められますの。要するに私と結婚した旦那様は色は決められませんが、私と旦那様の間に……できた……子供は……色が決められますの……」


へぇーっ。そうなんだ。俺とティターニャの子はね……な、な、な、何をおっしゃる何を……後半顔を赤くしてボソボソっと言ってたから聞き取りにくいなーと思ったらそれが原因か……俺今絶対顔真っ赤だ……


「それで、その痕は何ですの?」


ゴホンと咳払いをしてからティターニャは、話を元に戻した。


「これは、俺の罪なんだ、俺の元いた世界に……



……という訳でこんな火傷痕を自分への戒めとして残してるんだ。」


俺は、地球で起こったことを一部始終をまとめて簡単に説明した。


「そうでしたか……そのような痕が付いていたとしても私は旦那様に失望したり、旦那様を嫌いになったりはしませんわ。それで逃げていたのなら私から制裁を下すところでしたけど。」


そう言ってティターニャは、拳を握り、すぐそれをやめた。


「そういえば、この世界では何が出来るんだ? その羽本物なのか?」


「はい。飛べますわ。あと私達妖精は一人ひとつ以上【個性】を持っていますの。」


羽ねー。アヴァロンでは確か飛行魔法は存在しなかったな、やろうとはしたけど魔力消費がものすごい高いしやめた。……俺も羽生えるのかな?


そんなことを思っていると、俺の背中に何かが生えたような違和感が出てきた。

羽生えたんだな、流石は【適応】スゲエな。


「ではそのまま、外に来てください。」


俺は言われるがままに部屋のバルコニーから庭を目指して何とかして飛んでみた。

すると、肩甲骨のあたりに新しい筋肉が左右二つずつ足されたような感覚が分かりそれを動かそうとしてみる。

浮遊感が体全体を襲い、俺は宙に浮いた。


「おお、飛べるじゃん。」


何とかゆっくりではあるが、飛んで庭についた。


「来ましたね、旦那様。では、【個性】について説明したいと思いますわ。

個性には常時発動と恣意発動の二種類があるのですわ。

私の個性は恣意発動の【巨人】で……この通り大きくなることの出来る個性ですわ」


ティターニャはそう深く念じて家のくらいの大きさになる。

おお、大っきい……黄緑のパ……グハッ。

俺が上を見上げるとそこにはスカートの中身が……俺がそれを見るとティターニャの大きな足で蹴られた。


「見ないで下さい……いえ、見られても構わないのですが……ととと、兎に角見ないで下さい。」


は、ハイ……グハッ……

俺はその言葉を最後に気を失ってしまった。

じゃあ俺の個性はっと……


「旦那様の個性はどのようなものでしたか?」


ティターニャは小さくなり俺のスマホをのぞき込む。


「【成長】?」


アルフヘイムの欄を開くと、この世界では全員が使える【飛行】の他に【成長】という欄があった。


「ステータス全てが上昇する常時発動個性……」


俺はそこに書いてあった最初の1行を読み上げる。


「……一時間ごとに上昇量が上がる。最初は1、2時間で2、3時間で4というように、その数の二倍の数上がってゆく」


「すごく地味ですね……」


まるでティターニャはこの個性の強さがわかっていない模様。


「あれ? 二のべき知らない?」


「何ですの? それは……」


――二のべき


それは、簡単に言えば一休さんで有名な一日目は米粒を1個、二日目は米粒を2個、三日目は米粒を4個というように、増えてゆく数のこと。

二の冪は、2のn乗一日が二十四時間だから2の24乗で一日に増える量は……


16777216増える計算になる。


もしこれに【経験値増幅300】で300倍になるのであれば……


5033164800増えることになる……

何これ一見地味に見えてむっちゃチート。


「……という俺の世界にある数字遊びのようなものだよ。」


俺は、ティターニャの知力がよくわからないのでできるだけ崩して説明をした。【経験値増幅300】も含めて、


「それ、強すぎじゃないんですの?」


ティターニャはポンと手を叩きそう答える。

やっと分かってくれたか……この世界の知力水準低すぎね?


「お兄様は【魔術】属性の遠距離攻撃ができますわ。」


魔術? じゃあこの世界に魔法はないのか……

ティターニャはタイターンの娘達……巨人の娘達という意味がある、だからきっと【巨人】の個性が、

オベロン義兄さんは、魔術師のアルベリヒに由来するらしい、だから【魔術】の個性が出たんだな……


「じゃあ、ロビン伯爵は?」


「ロビン伯爵様は、【悪戯】という常時発動の個性で何かしらのハプニングを起こしてしまう。」


なるほど……やはりこれはシェイクスピアの『夏の夜の夢』が背景になっている世界だ。

ロビン、これは妖精パックの別名ロビン・グットフェロー悪戯者とされる彼の名に相応しい個性だトリックスターだし……

じゃあ俺は今回、役割が無いやつだ……まあ地球も無かったけど……

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