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2章4『罪と罰』

宿、宿……


「ん? お兄ちゃん? どうしたの?」


やっと願が目覚めた。今は午前9時頃か……


「ああ、願目が覚めたか……。ありがとな助けてくれて……」


そう言って俺は願の頭をポンポンと撫でた。

すると、願はえへへと顔を赤くさせて照れた。


「お兄ちゃんどうしたの!? その傷!?」


「ああ、この傷か……これは俺の罪だよ。」


「罪? あ、そうだ咲ちゃんは? ここはどこ?」


重ね重ね思い出したかのようにそう言った。


「願。覚えてないか? あの時俺は魔力を暴発させて北海道と青森秋田を半分消滅させてしまった。その時斬崎さんも一緒に……。あと、ここは東京だ。」


「多分、崎ちゃんは死んでない。咲ちゃんの【武装】は、人の命さえも武装する。だから咲ちゃんは殺した人の分だけ死ねる……」


何だって!? まだ生きてるだと!? 【武装】強すぎないか? いや、違うな、斬崎さんの想像力が強いのか……


「そうか……さっきも聞かれたが、それがおれの罪。俺も斬崎さんと同じ犯罪者なんだよ。」


「そんな事ない。お兄ちゃんは、私を守ってくれた。いや? そんなこと無くないのかな? やっぱり罪を償うべきじゃないかな? 異能(・・)の暴発は良くあることらしいから罪はまあ少なくなるはずだから……」


「そうなのかな? じゃあ願元気でな。俺は今から自首してくるから……」



警察にて……


「それじゃあ、切り裂き咲との交戦中、君の【消去】の異能の暴発によって北海道、青森、秋田を半壊させてその中にいた人全てを消してしまったと……」


今俺は警視庁の取調室にて、どう見ても同い年にしか見えない男の警官に取り調べを受けています。


「はい。そうです。」


しゅんと反省の態度を見せてそう返事した。


「それで、切り裂き咲こと斬崎咲は、まだ生きているのか?」


「俺の妹の証言によると、斬崎さんの異能は、【武装】殺した人の命を含む全てをその名の通り装備する異能です。殺した人の命分死ねると言っていました。」


「なるほど……【消去】の異能ね……珍しい異能だね。調査の結果異能は何かを実現させる事の方が多い。何かを消す異能とはね……


もし、君に罪の意識があるのであれば……いや、あることはその火傷の痕のことを聞いたからわかるな。

我々、異能課に来ないか君の妹さんと共に……」


「えっ?」


俺は意外な提案をされて驚きの声を漏らしてしまう。


「君の言葉はすべて真実だった。私の異能【真実】で嘘か本当のことなのかが分かるんだ。

切り裂き咲の異能を封じれば、奴は2度と生き返れないのではないかな? とおもってな。」


「はい。構いませんが……

俺実は異能の他に特殊な能力を持っていて……」


「ほう。聞こうではないか、君の言っている事は真実のようだし」


警官の少年はそう言い前のめりになり話をしっかり聞こうとする。


「【転生】という何時何処で起こるかわからない異世界転移する能力かあるんです。

あと他に、【太陽】という昼間に全能力が高まり、夜には弱まる能力。

異世界で能力を手に入れることが出来る【適応】の能力を持っているんです。」


「ほう。つまり君は異世界に行けると、そして知らない間にそれが起こると……そうだな?」


「はい。」


「そうかそうか面白いな……ようこそ我が異能科へ、私は責任者の信実しんじつまことだ。妹さんはこちらで探して連れてきておいた。宿がないという話も知っているぞ、兄妹で自由に空家をひとつ使うといい。ここだ。」


「あ、ありがとうございます。」


俺は願と一緒に異能課に勤務することになってしまってした。まあ、それが罪に対する罰なのか……それとも……

君が殺してしまった分以上の人を救え。ということなのだろうと俺は思った。


東京警察から徒歩で十分程度歩くと俺らの住む家が見えてきた。

なかなか豪勢な作りなんじゃないか?

確か……

周りに沢山同じような家があるはずだ。それらの家は全て我々未成年の特殊部隊のためだけに国が作った家だ。まあ、そこのところわきまえて自由に使いたまえ。あと妹さんは先にそこにいる筈だよ。

……と言っていたか。

俺は俺らのマイホームになる二階建ての家の扉を開ける。


「あ。お兄ちゃんおかえり!」


「おかえりなさいパパ。」


玄関の中に入ると願とエレインが居て出迎えてくれていた。

中もなかなか……ダジャレじゃないよ?

俺らが住んでた家同等又はそれ以上の快適さを誇っていいものだった。

家の中を見回っているとピンポーンとインターホンの音が鳴る。


「やあ。巡谷兄妹。この家は気に入ってくれたかな?」


俺は玄関を開けて出迎えると、そこには信実さんが居た。


「ハイ。でもどうしてこんなに家がたくさん?」


「アハハ。それはダネ〜実はこれも異能の力。今はもう切り裂き咲に殺されていないが【複写】の異能が使える人が居たんだ。」


【複写】? 確かアレだ俺の異能をコピーして俺の異能を一時的に消去した。

あれは、物体もコピーできたのか……ああ、そうか想像力だったな


「我々異能課のメンバーは【真実】の私と君らは巡谷兄妹の他に10人ほど人が居る。


一人目は、【治癒】の治癒ちゆみえる。」


そう言って信実さんはその場を避けると後ろに10人居た。


「こんにちは〜。わたしは〜、治癒〜、診です〜。あら〜? アナタそんな傷痕を……」


そう挨拶したのは、すごく眠たそうで結構寝てないんだなとは分かるけど、クマとかそういうのは全くないおっとりとした俺と同じぐらいの歳の女の子。

【治癒】の異能の名とその言葉を察して俺は「いえ、いいです。これは俺の罪なんで」と遠慮しておいた。


「よく〜私の〜異能の〜ちからが〜分かりましたね〜。ほわぁぁぁ〜。眠いです〜宜しければ〜ベッドを〜貸して〜いただけませんか〜? 」


「ハイ。どうぞ。」


「ほわぁぁぁ〜。ありがとうございます〜。」


そう言って治癒さんは住み慣れているようにベッドに向かって行った。


「あっ、そうだ。立ち話もなんですのでどうぞお入りください。」


俺は今やっと玄関先で話していることに気がついて中に入るよう言った。


「じゃあ、遠慮して」


茶の間……最近はリビングって言うんだっけ? に集まり俺はお茶も何も無いので、錬金魔法でコップを人数分作って水を入れてだした。


「じゃあ紹介に戻ろうか……なんだこの光は?」


信実さんは俺の体が光っているのに気が付き、いや誰でも気づくか……そう驚きの声を漏らした。


「これは、お兄ちゃんの【転生】の前触れというか瞬間というか……」


「ほほう……これがその……」


俺はみんなに興味津々に見られながら地球をあとにした。

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