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2章1『花の妖精郷』

「オベロンお兄様。これは何ですの?」


「それは、あいしゃどーとかいうヤツだ。最近はそういうのが流行っているのだろうティターニャ。」


それは、ただの兄妹の他愛のない話。いや普通ではないな耳は尖っている所謂エルフ耳が、背中からは半透明の2対の羽がある。それだけではない、この2人は……


「失礼致します。オベロン・フラワフェアリ王子殿下。ティターニャ・フラワフェアリ王女殿下。ロビン・トリックスターであります。」


そう。一国の……いやこの統一された平和が続く一つの世界を纏めるであろうオベロン王子とティターニャ王女だった。


「ロビン伯爵、今日はどのようなご要件かね? まさかまた何かやらかしたのか?」


ロビン・トリックスター。その名前の通りお調子者なのだ。そのため様々な場所に行きは何かをやらかし、何処かへ行きは誰かを怒らせ、この世界ではとても有名な若い伯爵なのだ。この世界の伯爵の地位は王族の次に偉い地位なのでまあ大体の行いはゆるされてきてる。


「まあ……実はオイラ『メイヴ』を起動させてしまいまして……」


――メイヴ。それは、過去百億年前ほどの女王の名前であり、彼女が作った最大の魔法兵器の名称でもある。高度な人工? 知能を持っており、世界を壊滅……いやチリ一つ残さないほどの威力を持っている古代兵器。だが、その正体は誰も見ていない。

なぜならメイヴは、何処かへ消え去っていて今はその伝承しか残っていないのだから。


「何ィ? メイヴを起動させただと!? ロビン伯爵、滅ぼすつもりか!? この花の妖精郷アルフヘイムを……」



□□□



ええと俺はさっきまでアヴァロンで色々会話してたんだっけか?

ここは……何処だ……見たことない場所だ……もしや、新しい世界か?

あっそうだエレイン、エレイン。


「パパ。ここはどこですか?」


「わからない。検索頼めるか?」


「はい分かりました。…………此処はアルフヘイムという場所のようです。」


アルフヘイムか……妖精郷……妖精がうじゃうじゃいるのか?

そういえばさっきからなんか見られてるな……


「ソナタは誰だ!? どこから入ってきた!?」


俺は状況をゆっくり冷静に把握してゆく……

俺今2人の男の妖精に剣を向けられているんだが……


「ええと、俺に敵対する意思はない。そして俺は巡谷祈。こっちがエレイン。」


敵対する意思がないことを伝えたお陰か2人の男の妖精は剣を閉まってくれた。


「祈様ですか……好きですわ……愛してますわ……結婚いたしましょう。」


そう奥から、女の妖精ひとの声が聞こえる。なんか求婚されてるんだが……


「まさかさっきのあいしゃどーを使ったのか……それは良かった。我からも頼む我が妹ティターニャ・フラワフェアリ王女と結婚してくれ。」


「ちょっと待ってください。状況が良く掴めないのですが……」


「ああ、申し遅れた、我はオベロン・フラワフェアリ。このアルフヘイムの第一王子だ。まあ、我1人しか男兄弟は居ないのだが……

この、あいしゃどーは、惚れ薬なのだ。ただの惚れ薬ではない、見た人の素質を見抜きそれが良い人にのみベタ惚れしてしまう一級品だ。ティターニャもいい年だ。だから頼む。君はこの通り選ばれた。君にはこれを受ける義務がある。」


「ちょっと待ってください。いいんですか? どこの馬の骨ともしれない輩が妹さんと結婚しても!?」


「だから先も言ったであろう。断るのであらば不敬罪で殺処分だが……」


そう言ってオベロン王子は、腰から剣をぬこうとする。


「は、ハイッ。受けさせていただきます。」


「ならいいのだ。ティターニャをよろしく頼む。」


なんかよくわからないが、成り行きで王女様と結婚することになってしまった……



「旦那様。私はティターニャ・フラワフェアリと言いますわ。どうぞティターニャとお呼びくださいませ。」


ティターニャは、金色と黄緑色を8:2くらいの比率で混ぜたような(ここでは金緑色とでも言っておこう)の髪を黄緑色のシュシュでポニーテールにしている。

顔は幼くも大人っぽくもなくでもとても可愛い。あれだ、どちらともの魅力があるってヤツだ。胸もまあ小さくはないかと言って大きくもないが……身長はやや小さめででもまあアーサよりは大きい。胸に栄養が行ってないせいかな? まあ、少なくともめっちゃ可愛いの部位には入りそうだった。素材を生かした黄緑色の和ドレスは美しティターニャのためだけのためにあるような気品や美しさを感じる。でもやはり気になるのがエルフ耳と2対の半透明の羽だった。


「じゃあ、ティターニャ? 何で俺なんかを好きになったんだ?」


「それはですね。旦那様がとても勇敢でお強くて優しいお方だと何故か急に頭の中に入ってきて、この人しかいませんわ。と思ったんですの。」


そうか……そういうところで惚れられてしまったなら、その期待に乗ってあげるのが男ってもんだろうよ。アーサも願も許してくれる。……あれ? 何で願が出てきたんだ? まあいいや。


「ええと、ティターニャ俺実は異世界人なんだ。驚くかもしれないけど本当なんだ。」


「はい。分かっていますわ。旦那様を見ただけで旦那様の全ての情報が得られたような気が致しましたわ。様々な世界で女を誑かしているようですけど構いませんわ。この世界で私を愛してくれるのなら……」


どうやら、【転生】の効果も知れ渡っているらしいな説明の手間が省けて大変よろしい。


「さあ、旦那様式を挙げましょう。近いうちに1週間以内ってところ当たりでしょうか。」


え? まだアーサとも恋人ってことで終わらせてるのに一番愛しているアーサより先に違う人と結婚してもいいのか?


「ハッ。失礼致します。ティターニャ王女殿下。式の件ですが今日中には出来るそうです。」


女の人の声が扉を跨いでも大きな声で聞こえてくる。


「ご苦労さま。コールド様。……という訳で旦那様。今すぐ式を挙げましょう。さあ、行きますわよ。」


えっえっえっ? ちょっと俺の意見はなしですかそうですか。



気づいたら俺はもうタキシードを着ていた。ちょっと待て、納品も指輪も何も無いんだけどいいの?


「パパ。カッコイイです。でも最初の相手がママじゃないだなんて失態ですよパパ。」


「ああ、ごめんな。ちゃんとアーサが目覚めたらすべてご報告の上式でも挙げるか……」


「はい。そうですねパパ。」


俺らがそんな会話をしていると純白のウェディングドレスを着たティターニャが来た。


「可愛いなティターニャ。似合ってるよ」


「そんな旦那様。お恥ずかしい」


ティターニャは、顔を赤らめてそう言った。

いや、でも可愛いし……なんかダメだったか?


「では行きましょうか、旦那様。」


「でも俺指輪とかなんもないよ?」


「大丈夫です。指輪などは全てこちらでご用意させていただきました。」


そうなのか? いやダメじゃないのか? やっぱらそこはさ……ねっ?


俺はティターニャに腕を組み連れられて教会の十字架の前まで歩いてゆく。


「汝メグリヤ・イノリは、この女ティターニャ・フラワフェアリを妻とし、

良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、

病める時も健やかなる時も、

共に歩み、他の者に依らず、

死が二人を分かつまで、愛を誓い、

妻を想い、妻のみに添うことを、

神聖なる婚姻の契約のもとに、

誓いますか?」


「は、ハイッ!」


ヤベェつい緊張して噛んでしまったなんか縁起わりぃ


「汝ティターニャ・フラワフェアリは、この男メグリヤ・イノリを夫とし、

良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、

病める時も健やかなる時も、共に歩み、

他の者に依らず、死が二人を分かつまで、

愛を誓い、夫を想い、夫のみに添うことを、

神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」


「ハイッ!」


こっちはなんの緊張もなく返事をした。流石お姫様は違う。


「皆さん、お二人の上に神の祝福を願い、

結婚の絆によって結ばれた このお二人を

神が慈しみ深く守り、助けてくださるよう

祈りましょう。


宇宙万物の造り主である父よ、

あなたはご自分にかたどって人を造り、

夫婦の愛を祝福してくださいました。

今日結婚の誓いをかわした二人の上に、

満ちあふれる祝福を注いでください。

二人が愛に生き、健全な家庭を造りますように。

喜びにつけ悲しみにつけ信頼と感謝を忘れず、

あなたに支えられて仕事に励み、

困難にあっては慰めを見いだすことができますように。

また多くの友に恵まれ、結婚がもたらす

恵みによって成長し、実り豊かな生活を

送ることができますように」


それから事前に渡された指輪を交換しお互いの指にはめる。

あ〜。なんか緊張するな。でもこれがあと一回あると思うとどこか変な気持ちになります。


「それでは誓のキスを……」


神父さんがそう言うと、俺はぎこちない手つきでベールをまくりあげ、ティターニャの唇に俺の唇を合わせる。

これは意外となれてる。結構ってくらいはしてないけどまあ何回かはしてるやら。

ティターニャの唇はプニプニしていてとても良かった。ご馳走様です。


こうして俺はアルフヘイムの王女ティターニャと結婚してしまったのであった。






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