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1章2『円卓の騎士姫』

目が覚めるとそこは静かな高原だった。

もしもここが日本や海外ならば、祈の頭でも記憶していない風景であり、まずは有名な絶景スポット出ないことはわかった。もしもそうならば、秘境の地として誇れる保との絶景さだ、青く澄んだ空、ささやかな風が揺らす草木の音。そこが異世界であるという証明にもなりそうなモンスターがウジャウジャとその絶景の空間をより立たせていた。


「マジ……かよ……本当に異世界転移しやがった。」


目を見開き受け入れ難い真実を信じたくないと頑なに真実を否定する祈。

そんな、日本の絶景よりも美しく、海外の絶景よりも広いそんな光景を見てもなお、祈はその真実を認めようとしていなかった。


「いやいや。そんなはずはないって……スマホスマホ……」


ポケットの中に入っていたスマホを手に取り現在地を検索。

だが、ピンはどこにも刺さず、ワイファイも飛んでいなく検索すらできず現在地不明と出た。


「はあ? 現在地不明? このご時世まだワイファイ飛んでねー場所があるってのか? な訳……前CMで全国どこでも飛んでるって言ってたぞ。」


絶対に信じるかと、もう先に確認していたが、もう1度あたりに見たことのある場所を探そうとすると真実を肯定せざる負えない物が目に入ってきた。


「スライムだぁ!? んなモン絶対に信じねぇ……まあ、異世界ってことにしといてやる。となるとまずは街か村かを探さなきゃな。」


そう、少し抵抗したところで、事実を見て受け入れるのがゲーム脳の賜物というところだろうか? それともライトノベルの見すぎか……

そしてあたりを見渡すと、早々遠くない位置に村があるのを見つけた。


「まあ、歩くとするか……」


道があったので、その道を通りながら、あたりを見渡す。スライムにグリフォン、一角兎も入るじゃんかモロファンタジーみたいな世界だなこりゃ。

そんなことを思いながら歩いていると、森の中に軽い防具をつけた金髪の人が血だらけで倒れていた。


「誰もいないか……しゃあねぇ。」


道が整っていない草木が咲き荒れた森の中に入り金髪の人を抱き抱えひとまず元の道に戻る。


「えーと……血を止めなきゃいけないな。」


血の出どころを探す手間ほぼなかった。なぜなら、スカートに穴が空いていてそこから今も尚血が出ているからだった。

祈は、服の裾を破き股関節ギリギリのところ待でスカートを捲りあげ……仕方ない。不可抗力だ。と心で思いつつも強く怪我の部分を縛った。

この少女が気を失っていたので、下手に動かさない方が良いなと判断した祈は、膝枕をしてあげた。

今はまず止血を……と思ってたからよく見ていなかったが、膝元までかかるであろう長い金の髪、その少しごついとも言いきれない装備からはとても想像出来ない幼い顔つきでその金色の髪によく似合う真っ白と言ってもいいほどな白磁の肌、ルビーのように赤い瞳、身長は妹より少し大きく、何より違ったのがその豊かな胸元で歳は僕と大差ないほどの15歳程度だろう。一言では表しきれないが、無理してでも表すならばとても可愛かった。


「まあ、こっちはこっちで悪くないかもしれないな……」



そんな美少女がいるならば、こんな世界でも来る意味はあったのかと少し卑屈になっていたマイナスな心を改めて少女の顔に見とれ見つめていた。

あれから二時間ほど経過しもう夕方になり液状で赤かった血も固まり黒くなっていた。


「……んん……ここは? くハッ」


「大丈夫!?」


ようやく金髪美少女が目を覚まし吐血した。正直いって多分口からは吐血しないはずなんだけど……まあいいや、気にしないでおこう。でもはっきり言って疲れた、ここを通ってく人にくすくす笑われるし……そんなことすらも忘れさしてくれるようなどこかの声優参加のようなソプラノの美しい声。金髪にと言ったらこの目の色しかないであろう赤い瞳で正直惚れかけそうだった。


「うん、大丈夫♪ 私はアーサ=グランドナイツって言うの。ギルドのアークナイトって職についてるの♪看病してくれたの? ありがとう」


「ああ、無事なら何よりだよ。俺は、巡谷祈よろしく。」


そう言って想像以上の美人さに照れながらも俺が手を差し伸べる。すると


「めぐりや? 珍しい名前だね〜♪」


と言ってその手を握ってぶんぶん降ってきた。あのー貴方様は病人ですよね……

どうやら、体の成長の割には中身が子供のままのようだ。まあそれはそれで可愛げでこの幼い無垢な容姿ともあっているから文句のつけ所はなかったのだが。


「ん? ああ……違う違う名前は祈の方。巡谷は名字。」


「えっ! そうなのどこの国出身なの?」


ナイスです。丁度結構前に会話キラーと話してたから何となくね。他意は無いよ。

興味津々なきらびやかな瞳で祈をじいっと見つめていた、ちょっと、そんなに見つめられたら困る。


「ええと……実は俺、異世界出身なんだよね……」


そう口にしてやらかしたと思った時には遅かった。俺だって一応の知識はある。異世界転生・転移系のお約束、異世界人だと教えてはイケナイを破ってしまった。

まあ、そんな異世界転移のお約束とかどうでもいいんだけれどもね、割と破っている人いるし、最強のゲーマーさん達とかエトセトラ。


「へぇ〜♪ 異世界人? 珍し〜♪ じゃあもしかして……この世界についてとか、宿がなかったりとか色々困ってる?」


異世界人って言う概念があって助かったー。マジ感謝。

そう安堵の表情を浮かべながら祈は少し遠慮しているのかを装って……


「ん。まあね……」


「じゃあさ、じゃあさ♪ 私を助けてもらったお礼に両方叶えてあげるよ♪」


「な!? 悪いよ……」


――俺は、アーサの魅力的な提案を拒否した。

何となく、日本人の血というやつだろうか、遠慮しがちなところがあるよね。


「むっ……そういうと思ったよ。じゃあ私が、この世界の情報を提供する代わりに祈君の元いた世界の話を聞かせてよ。そしてこれは私からのお願い。一緒に住んでギルドでクエストを受けよう。これで貸し借りなし。ねっねっ」


「……あ、ああ分かったよ。」


「やったね♪ さ、行こうか」


アーサは、ゆらゆらと揺れながら立ち上がろうとする。

こう元気だと忘れそうになるが、この少女、金髪に赤い瞳のアーサは足を怪我している怪我人なのだ、グラッと揺らめいた足を見て祈は肩を支えて言う。


「大丈夫か? おんぶしようか?」


「じゃあお願いしようかな?」


俺は、よっこいしょと声を出してアーサをおぶりてくてくと歩き出した。

こういう状況だと、背中に胸が当たり……とか、妙に顔が近くて顔を赤らめたりとベタな展開があると思いきや、チェストプレートで豊満な胸の感覚は味わえず、アーサはこういうのに体制があったりするのか、一切気にせずに話し始めた。


「じゃ、簡単にこの世界について話そうか。

この世界のこの星球体で出来ていて、この星の名前は『アヴァロン』。」



――アヴァロン、その言葉には聞き覚えがある。たしか……《アーサー王伝説》でアーサーがエクスカリバーを手に入れた場所。そして、アーサーの最後の場所でもある。

ならばやはり建築法や時代背景は中世ヨーロッパ当たりのものだろうと推測する。

そう言えばアーサってアーサー王に名前似てるな。



「そしてアヴァロンには、十の国がある。『グレートグラウンド』が今私たちがいる国この国には、最悪とされている『伝説の紅白の双竜』が眠っているとされている湖『コーンウォール』があるだけであとは全く水に面していない。」



――さっきからやはりアーサー王伝説のお話ばかりだ。やはりここはその物語のように進んでいるのか?



「次に、それの西に位置するのが『アクアレイク』この国は、国の領域の十分の八が大きな湖が『ミニュエ』あとは特に話すことはないから国名だけあげてくね。『フレアヴォルケーノ』『グラスフォレスト』『シャドウダークネス』『ライトブライト』『アイスマウンテン』『サンドデザート』『スピードウィンド』『サンダーチャージ』これで十かな? 他に質問は?」


えーと……直訳していくと『大きな地面』『水の湖』『めらめら燃える火山』『草の森林』『影の暗黒』『明るい光』『氷の山』『砂砂漠』『速度風』『雷充電』か……まあ深い事考えたら負けか……


挿絵(By みてみん)


「ああと、伝説の紅白の双竜についてもっと教えて欲しいかな?」


「分かった♪ 紅白の双竜は、赤い方がブリトンドラゴン、白い方がサクソンドラゴン。さっき言ったとおり『コーンウォール』に沈んでいる。何年……それも何万年に1度紅白の双竜は、目覚め世界を戦場と化した。全国の騎士で編成された討伐隊約百万に及ぶ人数をほぼ壊滅させて傷一つ付けられなかったのだという。その後世界中で暴れ周りコーンウォールで力尽き湖の奥底に石像化して沈んでいった。っていうお話。ここ何万年紅白の双竜が目覚めてないって話だからもし事実ならそろそろやばいかもね。ちなみにコーンウォールはあそこ」


アーサはここから大して距離のない大きな湖を指さした。

やっぱり見たことのない、湖だ夕焼けが反射して赤くどこよりも綺麗な湖であったのは確定だが。


「ええ? 近っ!」


「そう、もし紅白の双竜が目覚めたら一番最初に狙われるところはここキャメロットかな? って言われてる。それでも大丈夫だよ。私がいるしね」


「今さっきまで、モンスターにやられて死にそうになっていたところじゃないか」


「あはは♪ そうだったね」


そうアーサは愉快そうに笑いながら言った。

そんな話をしていると1時間弱経ちやっと村についた。中世ヨーロッパのようなレンガと木を用いた建築法の家だった。これは村なのだろうか。やはり俺の中ではこれは村だな。でも文明水準とかわからんしなー。


「ようこそ。グレートグラウンドの南端に位置する我が街キャメロットへ。」


「ここがアーサの街か……意外といい街だな」


「あっ……そうだ。ギルドによってくれる?」


そう言われて道案内をされながら俺らはギルドへ向かう

ギルドへ入るとまずアーサを言われるがままに医療室へ行き、そこに居た医務員のお姉さんが呪文を唱えた


【光よ かの者に 安らぎの癒しを】


その言葉と同時に黄色の光で書かれた魔法陣が作られアーサの傷部分が光り輝いた。


「治りましたよ。血は戻って無いのでしばらくは安静にしていてくださいね。」


「分かりました。ありがとうございました。」


そうアーサが言うとピョンと飛び降り医務室をあとにした。


「なあ、アーサ今のはなんだ?」


「あれは魔法。魔法にはいくつもの属性があって火水風地光闇のようにね。でもこれは魔法適性がないとわからない。あとは、魔法の出し方もいくつか種類があって今みたいに呪文がたと魔法陣などなどがあるよ。魔法の適性がない人はどれだけ経験値を手に入れても取得はできない。ちなみに私は魔法の適性が全くないんだけどね。」


魔法か……ちょっと気になるな……異世界系は、だいたいこんな所でチート能力を手に入れたりするんだよね……楽しみだ。

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