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1章12『鋼を切るもの』

「なんか湖のあそこ輝いてる。」


アーサが湖にある不自然な光を指してそう言った。


「ちょっと私見てくる、完全に湖の中から光が出てるし……」


そう言ってアーサは、湖に飛び込んで行った。

それに続き、俺とランスが飛び込み、全員に水中呼吸の水属性と風属性の魔法を混ぜた魔法をかける。と俺らの周りに水のベールが出てくる。そのベールこそが水中呼吸魔法だ。このベール内には空気があって呼吸や会話ができる。


「これで呼吸できる。こっちの方が便利だろ?」


「うん♪ ありがと祈君。」


「ありがと、これ魔法?」


「あれ? 言ってなかったっけ? 俺全属性持ちで【無詠唱】はその名の通り無詠唱で魔法が発動できる。そしてこの水中呼吸の魔法は、風属性のエアと水属性のバブルを【思考実現】で合成した俺しか使えない魔法。」


俺は、ランスに自分のスキル込みでできるだけ手短に説明した。


「うん。そうみたい。僕そんな魔法知らないからそうだって分かる。」


「そう。なら良かった。」


そんな会話をしてるうちにその光の正体が分かる。

なんだあれは……棒? ……いや、剣だ。それも金色の……その近くに双竜の石像もあった。


「紅白の双竜……」


そう呟いたのはアーサだった、コーンウォールに沈んでいるという伝説は聞いたことがあるが、その目で確認したことは無かったのだろう。


「何あれ? 剣……」


そう呟いたのはランス。アーサは、双竜の石像に気を取られてしまっていたのだろう。

俺はその剣をどこかで見た事があった。……あ、そうだ、その黄金の輝く剣はエクスカリバーだ……きっとそうだと俺は思った。多分きっと湖の乙女が現れるだろう


「聖剣エクスカリバーが輝いている。其方等そなたらの中に適合者がいると見た。」


ほらやっぱり。湖に乙女がいた。人間……では無いな、妖精でもないし……所々に神々しさがあるな……髪はピンクなのに


「わたくしは、聖剣エクスカリバーの守護神、ニマーヌと申します。」


エクスカリバーか……じゃあ手に入れるのはアーサか……それにしても守護神ニマーヌ。湖の乙女がもう3人も出てきてしまっている。……あ。そういえば、エレイン置いてきちゃった。というか、結構前から会話してない気がする。ちゃんと後で謝っとかないとな……


「わたくし不肖ながらエクスカリバーの件のお話をさせていただきます。

……ゴホン。このエクスカリバーは、今から八億年前、名匠タリシエン様がわたくしと共に作りました。

そして、タリシエン様は、この膨大な力を封印すべくこの湖コーンウォールにその力とともに封印されました。

その後タリシエン様は、わたくしにこうおっしゃいました。『この力を使いこなせる者がいずれ現れるだろう。さすればエクスカリバーは、光り輝く。その間この膨大な力を守れ』とおっしゃい封印に力を使い果たし、タリシエン様は15歳という短い人生を終えたのでした。」


タリシエン。たしかエクスカリバーの原型の物語を書いた作者だっけか……たしか、その名はカレトヴルッフだったか。それにしても15歳か、若かったな。


「ですが、タリシエン様は、今もここにいます。嗚呼愛しのタリシエン様に寂しい思いなどたせたくのおございます。嗚呼タリシエン様今も尚美しい。」


「ニマーヌ、ありがとう。やあ、ウチがタリシエン。君らの誰かがウチのエクスカリバーの後継者となるのか……」


そう言ったのは、ニマーヌがタリシエン様言っていた人は茶髪の美しい少女だった。え? 死んだんじゃないの?


「ああ、わたくしは一応神の一種でございます故、人ひとりに神の力を分け与えること自体は容易でございます。私の力を代償に愛しのタリシエン様を蘇らせるなら安い話です。嗚呼いつ見ても美しゅうございますタリシエン様♡ 嗚呼タリシエン様♡ タリシエン様♡ タリシエン様♡」


あ、これダメだ……目が完全にハートになってる。百合かよ、俺らいるのに目の前でイチャコライチャコラするな……なんて言うんだ……ご馳走様です。


「……ゴホン。本題に戻ります。」


やっと正気に戻ったか……ニマーヌは、ゴホンと咳払いをすると、再び話し始めた。


「エクスカリバーはそれから一向に反応を示しませんでした。まあ、私にすればタリシエン様とあんなことやこんなことを邪魔されずし放題で良かったのですが、貴方方が来た以上は守護神としての勤めをちゃんとこなさないといけません。

ええ、この刺さったエクスカリバーを抜いてもらいます。エクスカリバーに選ばれしものにしか抜けません。どうぞお試しください……」


まず俺はアーサが抜くことはわかっていても、少し甘い希望を抱いてしまう。だから、まず最初に抜いてみることにした。


「フヌーッ!……フヌーッ!」


ああ、ダメだ抜けなかった。やっぱりか……ランスも試してみるが抜けなかった。

じゃあやっぱりアーサか……

アーサが柄を握ると、アーサに反応するようにエクスカリバーが光り輝く。

スッ。と抜けた音がするとエクスカリバーは今までになり眩い光を発した。


「……抜けた……抜けた!」


「おめでとうございます。見事貴方様はエクスカリバーに選ばれました。エクスカリバーは貴方様のものです。どうぞご自由にお使い下さい。あとですね。一つ要求をしても宜しいですか?」


ニマーヌは、体をくねくねさせてゲへっゲヘヘと下品な笑いをしていたが気のせいだな……と思うことにしておいた。


「ん? 良いけど……」


「わたくし、その剣の守護神な訳ですよ〜。それでですね。タリシエン様とわたくしと一緒に貴方様の家に住まわせてくれないですかね〜?」


「じゃ僕も……」


「ん。良いよ♪ みんなウェルカムだよ♪」


こうして、俺はアーサ、ランス、ニマーヌ、タリシエンの四人の美女と共同生活をすることになってしまった……あ、エレイン入れたら5人だわ。ごめんエレイン。




「「「ごめん。エレイン」」」


俺らは、コーンウォールから上がりまずエレインに土下座をして心から謝った。


「ほんとに、何なんですか? ずっとオークを探すのなら私に……とアピールしたのに誰も見向きもしてくれないってどれだけ悲しいか分かりますか? 私を忘れてコーンウォールに入ってしまうし……上がってきたと思えばなんか美少女二人連れてるし……」


エレインは、自分の口調を忘れてしまうほど、ご立腹なご様子です。

ここは何も言わず、ただ正座でお説教をしっかり聞き入れる。なんか、ちっちゃい子のお説教って可愛いな顔真っ赤にして、プンプン。だが、その圧力は凄いようで何故かニマーヌとタリシエンまで正座になっていた。


ひとしきり、エレインが起こり終わると、エレインの後ろにここに来た目的であるオークが居た。


「「「あ、オーク」」」


そう言った瞬間に俺らは剣を取った……が、俺とランスは察して後ろに下がる。


「アーサ。エクスカリバー試してみたいだろ?」


「うん♪ ありがと祈君♪」


そう言ってアーサは、エクスカリバーを振り下ろす。

エクスカリバーの意味って「鋼を切るもの」だったか……その意に反して、エクスカリバーを振り下ろすと、オークは、真っ二つに、地面はえぐれて、アーサの周りに土の欠片が飛び散る。オークの先にあった森は半分に切れていた。ヤベェ。ヤベェ。強すぎるだろ。


「エクスカリバーは、持ち主の意に沿う剣です。本人が思うがままに、持ち主の思うままにどんなものでも切ります。その力は地味かも知れませんが、力は一級品。あと、持ち主に僅かな運を与えることができます。」


一見普通に見えるその能力。だか、その力は強大だ。アーサー王伝説ならば不死の鞘があるが、その能力はアロンダイトに取られてしまっているようだ。

黄金に輝くその剣を持つアーサの姿は、とても美しく可憐で英雄と讃えられてもいいものだった。


「「「「チート過ぎる……」」」」


アーサ、俺、ランス、エレインの4人は、声を揃えて正直にそう驚いた。









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