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1章11『魔剣の力』

俺らはやっと目的地コーンウォールの湖に付いた。そして馬を留めて森の中でオークを探すことにした。


「いないね〜♪ オーク」


そう言ってアーサは、俺の右腕に組む。いやあなたはですねその、胸が当たってます。はい。


「いないな〜、オーク」


そう言ってランスも俺の左腕に組む。……驚くほどないですね……



何でこんなことになっているのかと言うと、遡ること数分前……


「私ね〜♪ 祈君に告られたんだ〜♪ 結婚しようって」


そうアーサが物凄い脚色を入れてそうランスに自慢した。


「なぬ。祈、そうなのか。僕も強い祈は大好きだよ?」


「な、何言ってんの、ランス?」


急に言われた「大好き」の言葉に動揺を隠せない俺


「何って、そのままの意味。大好き祈。」


そう言って前から抱きしめてくるランス。


「ぬァーーーー!!」


これが、ことの始まりだった。


「辞めて、僕の祈に近寄らないでアーサ。」


「こっちこそ、人のダーリン取らないでくれる泥棒猫のランスさん?」


ランスとアーサがシッシと手を振っている。あの……私のために争わないで? ……じゃなくて俺を挟んで両端で喧嘩するの辞めてもらっていいですかね……


「いや、祈はそんな下品な胸より僕のようなスリムな胸で興奮するはず……」


あの、ランスさん? 俺をそんなロリコンか貧乳溺愛者呼ばわりしないでくれるかな?


「いや、ダーリンは、私のおおきくて柔らかーい胸が好きだよ絶対。お風呂で洗ってもらった時……あんなことに……あっ、絶対ダーリンに責任を取って私を娶ってもらわないと困るの」


あの、アーサさん? 俺別に何もしてないよ。てか女の子を胸の大きさで見たことないよ?


「いや、そんなことはない。祈は、私の旦那になる。アーサは……指を加えてあんなことやこんなことをしてるのを見てるといい、特別に許す。」


「そっくりそのまま返してあげる。ダーリンは私が好きで告白してきたの。だからダーリンは、私のダーリンなの」


「やめて、俺のために争わないで……」


そう流石に見ていられなくなってきた俺は、顔を赤くしながらそう言った。

いや好きになってくれること自体は何の問題もないんだけど……だからこそやっぱり、俺を好きになってくれた人同士で喧嘩しないでほしいな……みたいなやっぱり綺麗事すぎるかな? クゥーッ、背中がもぞもぞする。


「「(ダーリン)(祈)は、黙ってて!!」」


「あ、はいそうですか、すいませんなんか邪魔しちゃって。」


俺は二人の圧力に負けて、黙ることにした。


「じゃあ、決闘しよう。アーサの剣と僕の剣どちらが祈に相応しいか勝負。僕が負けたら諦める。勝ったら僕が祈のお嫁さんになる。」


「いいよ♪ やってやろうじゃないの」


という理由で決闘して、勝った方が俺の伴侶になると……俺の意見はなしかよ……。

やっぱり俺的には永遠の愛を誓ったアーサに勝ってほしいところだ。


「じゃあ、俺を賭けての決闘を始めます。ルールは平等化を図るため魔法の類は一切禁止。先に相手に参ったと言わせるか、戦意喪失させるかの二つが勝利条件です。心臓をつくなど、致命傷になりかねる場所への攻撃は一切禁止です。もしそれが行われた場合、敗北とします。……分かったか?」


そう俺はたずねると、両者軽く頷いた。


「それでは……開始!!」


その掛け声と同時に両者剣を抜き、颯爽と駆け距離を詰める。

元の距離は二人の間は10mほどの距離があり、場所は平原。はっきりいってどちらが勝つか全然わからない。1発の攻撃力ならアーサの方が圧倒的に上だと思うが、スピード命のランスの素早さに勝てるかどうかはイマイチ分からない。

この勝負意外と見どころだな、アーサ後からは所見だし、魔剣の強さも知りたいところだ。……あっそうだ。スマホでとっておこうか。後でお互いのダメだったとことかおさらいして欲しいし……


「テャァッ!」


最初に攻撃したのは、素早さのランスではなく、攻撃力のアーサ。

アーサの太刀筋は揺れのない左からの水平切り。


綺麗だ、あれほど綺麗な剣術は、どこでも見たことない。


だがその剣は、ランスのアロンダイトで受けられてしまう。

ガキンと金属と金属がぶつかり合い激しく火花を散らし、アーサが少し押されてよろめいてしまう。


パワーもスピードもアーサと同等以上後からってとこか……


そのすきを見逃さず、ランスは、2撃3撃と攻撃を繰り返すが、それは全てアーサの剣によって遮られる。

長々しく言っているから分からないかもしれないけど、これは30秒なんて長い時間ではなくほんの一瞬の出来事である。


「……凄い。」


思わず俺は見とれすぎてそう漏らしてしまう。

でも本当にすごかった。これで赤ランクかと思うと鳥肌が立ってしょうがない。

少しの身体強化がされている俺でさえ、目で負えないくらいの早業で正直ついていけない。

そんなことを思っていると、アーサの剣先がランスの頬をかすめた。

だが、そこから出てくるはずの血は出てこなかった。いや少し言い回ししすぎた。上手に言うと、1度は血が出たような気がした。しかし、その血が逆流するかの如く戻りその出来事さえもなかったかのように傷跡がしっかり消えていた。


「ンな馬鹿な。魔力反応は出てない……まさか、それが魔剣の力なのか?」


その出来事にハッキリ驚いた俺はそう声を漏らしてしまう。

アーサは、それすらも見えていないかのように、ランスに激しい閃撃を食らわせる。それは全て直撃し、ランスの両方の太ももと二の腕に突き刺した傷がつく。

その一瞬を利用して、アーサは、ランスを転がし跨り剣先をランスの首先に向ける。


「チェックメイト♪ ランス♪ ほら降参しなよ。」


「いや、まだ僕は積んでない。」


そういったランスのニヤッとした顔は勝利を確信したようだった。

そしてランスは、その向けられた剣先に首を刺し貫きそのまま横に引っ張る。

うわ、なんて黒いことをランスの首が半分えぐれてんじゃんか地面にもたくさんの血が……なんて、冷静にな俺もアーサも成れなかった。

だがランスは、まだ動きその不意をついて、アーサを押し倒し、アロンダイトを同じように首元に向けた。

しかもちゃんと首は傷一つなく繋がっていて、その前につけられた四つの刺傷も、その服に血痕と穴は空いているが傷はちゃんと塞がっている。

そんな馬鹿な……たしかに俺は見たランスの首半分がちぎれるその瞬間を……


「チェックメイト。アーサ楽しかった。祈をありがとう。」


「そんな、馬鹿な……バタッ」


そう言ってアーサは、倒れ込んだ。


「ランス。あれはなんだ? 魔法か? それとも……」


「多分祈が思っている通り魔剣アロンダイトの力。アクアクリスタルフェアリーは、自らの命と肉体を代償にこの剣を作った。と確かに言っているはず。」


「ああ、あれはどんな効果なんだ?」


「この魔剣アロンダイトに付いている能力は三つ。


一つは、最上級の水属性の無限に等しい魔力と能力の供給。


二つは、体の液状化。でもこれは部分的にはできないし、液状化したら服が脱げちゃうからあんまり好きじゃない。


そして三つ目、アクアクリスタルフェアリーの無限に等しい寿命を代償にした効果、どれだけ肉体が損傷しようと、アロンダイトがこの世に存在する限り僕は不老不死になる。


ちなみに言うとこの体は、アクアクリスタルフェアリーがアロンダイトを作ったその時間から僕の体の時は止まった状態。でも安心して、あんなこともこんなことも出来るし、ちゃんと子供も産めるから。この効果の恩恵は、僕にしかかからない。もし、僕が死んだとしたら、その剣も灰と化すらしい。」


チートだ、チートすぎる。肉体破損してもなお再生し生き続ける。チートじゃんか、俺よりチート能力じゃんか。なんか俺TUEEEE出来るんじゃないかとか思ってた自分が馬鹿らしく感じる。


「……でも弱点もある。


一つ目の弱点。水属性のみしか魔法が使えなくなる。


二つ目の弱点。これはさっき言ったとおり服や装備が脱げる。


三つ目の弱点。この世からアロンダイトが消えた場合この効果の恩恵を僕は得られない。とアクアクリスタルフェアリーの寿命は無限ではなく無限に等しいだけ、つまりいつかはこの効果に終わりが来る。


……これが弱点。すごそうに見えて、蓋を開けてみれば空っぽの宝箱のよう。」


空っぽ? 無限ってのは終わらない。例えば無限をNと仮定した場合。10Nと掛けてしまうのだから。例えば、0が68個続いた無量大数の5400溝(10の11乗)乗という驚くべき数字である不可説不可説転もまた無限ではないのだから。


「この魔剣の力はできるだけ口外して欲しくない。わかってくれると助かる。」


「ああ、それはいいけど……」


俺は、そんな魔剣アロンダイトの説明よりもランスの後ろで泣いていたアーサのことのほうが気になってしまう。


「うう、祈君は……私のダーリンなの……私が愛して、私を愛してくれた祈君なの……それを後からノコノコときたあなたにランスに取られるなんて嫌。やだよ祈君……」


そう言ってアーサは、ランスの腰をさっきとは違いか弱い女の子のように泣いて訴えながら叩く。


「言ったはず……僕が勝ったら祈のお嫁さんになる。って……」


そうランスは、打ち消すように罪悪感よりも勝ったのを喜ぶだけかのようにそう言った。


「でも……それでもッ……」


「何を言ってるのアーサ? 僕は『僕が勝ったら祈のお嫁さんになる』としか言ってない。決して、アーサに別れて僕に譲れ。とは言ってない……」


それはきっと、あたかもそう言われていたと思ってたような顔を浮かべ、安堵の表情を浮かべた。

……ん? どういう事ですか? 俺はふたりを嫁にするって事ですか? ……あ。そういや此処は異世界だっけか、一夫多妻制も普通な世界だったのか?


「でも、この国は一夫一妻制だよ? そんなこと出来ない……」


「大丈夫。私は事実上お嫁さんのような立ち位置にいれば問題ない。あとこの国の法律にそんなこと書かれてない。あくまで周りが全員そこまでできる甲斐性が無いだけ。

どう捻っても、アーサと祈の仲は僕には断ち切れそうにないから。それでも不問ならば僕はずっと彼女でも構わない。ただ、そういう立ち位置になりたかっただけ。

あと、各国で話題になっている剣豪『円卓の騎士姫』アーサ=グランドナイツとも戦ってみたかったし、そこまでしないと本気で戦えないと思った。ごめんね。」


「……グスン。そうなの? 私は祈君のお嫁さんでいられるの?」


「ああ、そうだ。あと、流石は世界一の剣豪『円卓の騎士姫』だよ。僕は各地を回って剣豪に戦いを挑み続けた、でも僕に傷をつけてこのアロンダイトの第三の能力を見せてしまったのはアーサ。君が初めてだ。本当にアーサは、剣術8千なの? 僕は、それ以上の剣術値のヤツとも戦ったがその通りだった。僕には、倍の一万六千、いやその倍はいってると思うけど……」


はっ? アーサの剣術値一万六千? まあ、三代値にも上限があるし、その4分の1にみた人はいないってアーサが言ってたのに。三代値の剣術値筋力値魔力量が全て同じ最大値だから、一応ここに魔力量カンストしてる人がいるから頑張ればできるかもしれないけど……俺は、例外として、一般の経験値なら4分の1貯めるのに百年は軽く超える。アーサがそんなことになってるわけないし、そもそもなってたらあんな所で魔獣にやられて倒れてるわけが……


「うん♪ ゴメンね祈君♪ いつかは話そうとは思ってたんだけど、ついタイミングが……ねっ♪ そうそう、一万六千は、余裕で超えてるよ♪ そもそも剣術値をあげる理由が、カリブルヌルを操るためだったんだ、これは前に祈君にも言ったよね?」


そう聞かれ俺は首を縦に振り「ああ」と言った


「そのカリブルヌルの要求剣術値が、3万だったんだ。それを私はカリブルヌルを扱いたいためだけに、振り続けた。そしてやっと四年前要求剣術値の3万にたどり着いた。それで今の剣術値は、8万7千500。そう、誰もが、たどり着けなかった4分の1どころかそれの3倍。七万さえ超えてしまった。

……でも私は、そんなことは気にせずただただカリブルヌルを使いこなしたかったんだ。そして、他人に8千と偽っていたのは、王国の傭兵として様々なところから誘われるんじゃないか? と思ったから。まあ、そんな感じ♪」


8万7千500? なんだそれ、偽っていた8千の十倍行ってんじゃないか。あれ? でもそれに追いついているランスはどうなんだ? 相当バケモンだ。


「なあ、ランス。ランスはさ、その8万7千500っていう馬鹿みたいな数値二と同等に戦っていたよな? それはどうなんだ?」


「ああ、それは……僕の剣術値は、5万3千。それにアロンダイトの身体強化。それが原因かな?」


はぁ? こいつらバケモンじゃん。俺が言うのもなんだけどチートじゃんか。こう思うと俺の鍍金のチートが、悲しい卑怯者にすら見えてくる。別に俺こんな強くなくてよくね? あ、でもアーサは、別としてランスが俺を好きになった理由ってたしか、強いからだったよな。全然ランスの方が強いじゃない。俺なんて足元のモブに見えるよ。


「あれ? なんか湖のあそこ輝いてない?」


そうアーサは、湖にあった不自然な光を指さした。何だあれ?







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