4章30『本掃除』
「さて、まずは片付けますか……」
そう祈はフルコースをたらふく食べ終わりお片付けモードに入っていた。
なお、今の祈は誰にも手はつけられないほどの掃除バカになっているのでご注意を
その前に、まずやることがある。食器の片付けそれが残っている。
その前に少し思ったことがあるので祈はミティに聞く
「ミティ、次の世界からつぎの世界へ行くのにどれだけの時間がある?」
「流石にそこまでの気の流れはわかりません、私がわかるのはあくまでこの世界でのことです」
「そうか、ありがとな。」
そう祈はお礼を言うと再び掃除バカに戻り目なんかも輝いていた。
「さあ、まずは食器の片付けからだな。出来るだけ次は本の片付けをするからうるかしなどはやめておきたい。」
「うるかす? 何ですかそれ?」
その祈の言葉に二人はきょとんとした声でそう聞いた、
「ああ、そうか『うるかす』って標準語じゃないんだっけ」
そう祈は頭をポリポリかいて言葉を続けた
「『うるかす』ってのは地球っていう世界の北海道とか東北って場所あたりの方言なんだよ。簡単に言うと『ふやけさせる』みたいな意味かな」
「なるほど、食器を『うるかす』と汚れが浮かび上がってくるわけですね」
「そうなんだ。でも今日は時間短縮のためうるかしません」
「え? それじゃあ汚れが浮かび上がってこないじゃないですか」
そうエレインは驚いた顔でいう。
「いや、少し違うな。まずはうるかさなくてもいい汚れの小さいものから洗ってゆすいでゆきます。そして、こう。この時この水を無駄にしないことが大切。節水にもなるし汚れの強いものは少しの時間汚れのないものを洗っている時にうるかす。時間短縮の術の一つ」
それを祈は実践してゆく。
「ミティはじゃあ、そっちの洗い終わった食器を拭いていって」
「分かった。」
そう言われミティは洗い終えた食器を拭いていく
軽快に手馴れた手つきで。
そう言えばちゃんと料理器具はもうしまってあるんだな。分かってるじゃないか。
洗い物がたまる理由の一つは使い終わった調理器具をそのままほったらかしにしておくことだ。少しの時間で終わるので、後で貯めてやる時より長い時間だと感じなくなる。
「そして気がついたかな? 少しでも洗うのを少なくするために食器はあまり重ねてないんだ。」
「ホントです。」
「これが食器洗いの極意かな?」
「まあ、私はわかっていましたが」
「そうか、流石はミティだな、その力を掃除にも生かしてもらえたら……」
「それは無理な相談。掃除なんてできない」
そんな会話をしているうちに食器洗いは終わる。
「さて、雑菌がたまるから水気をとってと……」
祈は暖かめの風魔法を少しその場で固定する。
それでここの水気は大丈夫だろう。暖か目と言っても結構暑いほうだから熱消毒的なのも兼ねて一石二鳥。
「さあ、次行くか!」
「「はい」」
そう言って祈達は主に汚くなっているミティの部屋に向かう。
ミティはなにか呪いにかかっているように部屋を汚す能力がある。それはさっきまで積み上がっていた本が……散らかる程度に……
「どうして、廊下の本まで散らかっているんだ?」
「どうしてって……扉を開けたから?」
「どうして疑問形なんですかね!?」
扉ってさっきの俺らを迎えに来た時だったらその時無音に倒れたことになるぞ!? あの高さの本の塔が倒れる大きな音しなかったし
そんなことを考えながら祈は疑問を一つ一つ解決してゆく
「さ、片付けるぞ」
その結局二日前以上の段階の汚さに戻ってしまっているその絶望的な現状を打開すべくポジティブにそういった。
床のタイルですら見えなくなっているその本の山を祈達はジャンルごとに並べてゆく
「これは、ここ。これは……ここ」
そう言いながら祈たちはジャンルごとに山を作り、めぼしい情報がありそうな者は題名をメモしてゆく。
その機械仕掛けの絡繰のような流れ作業をただ延々とやり続けてゆく。
これは、ここ……これも、ここ……これは、ここ……これも、ここ……これは、ここ……これは、ここ……。
その気の遠くなる作業。途中に転がっている異物に注意しつつも本を綺麗にしつつ本の山を本の塔にしてゆく
「なんだ? これ……」
読めないミミズをたくったような文字で、書かれたほかとは違う雰囲気を醸し出した一つの本。
それに何となく違和感と可能性を感じて祈はそう思ったのだ。
「ああ、これは……〝古代アルケミスト文字〟の〝南区画読み18〟の本です。題名は確か……〝天使と悪魔〟っていう本だったと思います」
「〝古代アルケミスト文字〟? 〝南区画読み18〟? なんだそれ?」
「今は、〝現代共通文字〟で統一されていますが、昔は〝古代アルケミスト文字〟と言って同じ文字を使って入るのですが、十六ある区画、〝南区画〟の〝エリア18〟で使われていた使用者たったの100人程度のとっても希少な文字及び読み方です。」
「じゃあ方言みたいなものなのか?」
「方言がどのようなものかは知りませんが、多分そんな感じです」
らしい。はっきりいってよく分からない。
何故、十六の区画の中にエリアを作ってわざわざ読み方を変えた? アホか?
もし、十六の区画で18以上のエリア一つ一つに読み方があるのだとしたら、288通りは言語があることになるのだけど……
「それで、これはどんな内容なんだ?」
「人間の〝感情〟と〝心〟についてを〝天使〟と〝悪魔〟を元に作られた物語です。」
「それってまさか……」
――ヘブルの事じゃないか……。
この物語には興味がある。もしかすると、『異世界に行った人が書いたものかもしれない』から、もしくは……。
他にも興味のそそられる本がたくさんある。『呪術魔法の魔導書』、『連勤魔法の魔導書』、『世界史』などなど……
それをたくさん見つけメモには総勢120冊程のものが見つかった。
「ああ、そうだ、エレイン」
「はい。何ですか? パパ」
「エレインってどうして光魔法が使えるんだ?」
そのさっき気になっていた些細な疑問を聞いてみることにした。
これだけ、と言っても三人しかいないが、人がいるんだから喋らないとこの地獄的な状況を打開できないからだ。
「それはですね……パパはどうしてだと思いますか?」
「ええ? エレインは俺の闇魔法の召喚魔法で召喚した妖精だから闇の魔素だけで構成されているから、エレインは光魔法は使えないはずなんだよ……」
そう祈は持論をブツブツ呟いているとエレインは指をピシッと出しこう言った。
「まずそこから間違っています」
「――え?」
「私はパパに『召喚』されただけです」
――――。は?
「ですから、『召喚』されただけなので闇の魔素は含まれていません。」
「ん? え? だからどういう事だよ?」
「私は、もとよりこの世界と並行した『召喚獣』の世界に住んでいる妖精です」
「――――。ああ、そういうこと?」
「はい、私は一応一つの生命体なので魔素で作られる『人形魔法』と違って光魔法が使えるのです」
そういう事なのか……。
そもそもが間違っていたのか……そもそもエレインが『召喚』されたって所を見失っていたのか。
だから、個々に自分の魔素を含んでいて、契約者である俺から魔力経由されて使っているだけなのか。
「じゃあエレインは光の魔素しか含んでいないのか……」
「はい、そうです。正確には光の魔素以外にも魔法単素を保有していて、死にませんし歳もとりません。そして何より、その魔法単素でナビゲーションが使えます」
「魔法単素? 何それ」
「魔法単素というのは、『召喚獣』の神獣以上の者が持っている固有の能力を使うための魔素で、全ての魔素に共通しない物が固有の能力です。私で言うナビゲーション能力がそうです。
ちなみに人には絶対に含まれていません」
「永遠の命を持っていないからか?」
「はい、そうです。ちなみにランスさんが持っているアロンダイトには魔法単素の断片が含まれています」
「だから死なないのか……」
なんか、疑問が減った気がした。




