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4章29『3時間』

「じゃあ打ち解けたことだしもう一度自己紹介しようか」


そう祈はミティが作った2.5人前の五つ星料理人顔負けの料理の一人前を頬張りながら言った。

もう夕暮れなのでこれは夜ご飯もといディナーだ。

アミューズ、前菜オードブル、スープ、魚料理ポアソン、ソルベ、肉料理アントレ、デゼール、カフェ・ブティフールと言ったフランス料理のフルコースメニューが続々となんの順番もなく並べられていた。

これはうまいというものなんか超えて……


「お店一つ出せちゃうよ」


ついつい祈は声を漏らす。

仕方の無いものだ。祈はここまで美味しいものを食べたことがない。断言できる。

きっと貴族も王族ですらもこのような味は食べたことがないだろう。……って、今の祈は王族なんだっけ……


「あれ? そう言えばどうしてこれあったかいんだ?」


祈は少しの違和感に気がついた。

それはこの料理が暖かかったからだ、そしてこの料理を作っていた時間はなかった。

ということは、何らかの理由でこのフルコースを2.5人前作っていたということになる。


「それはですね、そろそろ――ちょうどあの時間に祈さんと小さい人が来るかなーって思ったんです」


「気の流れってやつ?」


「はい、そうです。」


どうやら何時間か前にここに来ることがわかっていたみたいだ。ならば……

俺が【転生】する時間とこの世界にカマエルが来る時間もわかるのではないか?

そう思い祈は実際に聞いてみることにした。


「じゃあ、俺が【転生】する時間とこの世界にカマエル――半機械半人の少女が来るかわかるか?」


「はい、祈さんが〝消えてしまう時間〟はちゃんと祈さん似合う時から分かっていましたよ」


「え? じゃあ次俺が【転生】する時間わかるか?」


その言葉を聞いて祈は急にバタンと立ち上がり食器がガチャんと音がする。

そして少し冷静さを欠いた祈の声が響いた。


「はい、それなら今から3時間後の21時38分43秒くらいです」


「あの……正確な数字を出しておいて『くらい』はないんじゃないんですか?」


そう言って祈は自らのスマホのアラーム機能でその正確なのか正確じゃないのかよく分からない時刻を設定した。

これで本当にこの時刻に【転生】するのかが分かる。


「じゃあ、半機械半人の少女が来る時間は?」


「今から一時間半後の20時8分32秒くらいです」


その言葉を聞いてその時刻もアラームを設定した。

カマエルはあと一時間半後に目覚めるのか……じゃあもしかしてあのネジをまくだけじゃ治らなかったのか?

そんなことを考えながら、丁寧に切り分け肉料理(アントレ)を口に運ぶ。


「じゃあその時まで部屋を片付けて待ってるか……」


「ママはどうするんですか?」


「この世界で戦うにはまずこの世界の情報が欲しい。緑の騎士ベル=シラックがどこにいるのか、とか。この世界の呪術魔法についてとか……」


「――それなら……」


その祈の言葉にミティはそう呟き少し考えてから再び声を綴った


「ベル=シラックですよね? それなら……最初に会ったあの平原から大きな城が見えていましたよね。アレが緑の騎士ベル=シラックの城です」


「――――。え?」


そのミティの言葉に祈は思わず変なところから驚きの声を漏らした。


「ですから、最初に会ったあの平原から大きな城が見えていましたよね、アレが緑の騎士ベル=シラックの城です」


「――。マジで?」


「はい、大マジです」


「マジかー」


「はい。」


「エレイン――その城――その付近も含むにいる人数を教えてくれ」


祈のそのお願いにエレインは


「はい、その城とその付近の人数ですね……」


そう答えウ〜ンと少し考えたあと再び言葉を発する


「その城とその付近にいる人数はちょうど5000人です」


「そうか、じゃあアーサ達とマースの町人で間違えないな。城にそんな人数がいるとも思えない」


「はい、確かに地上人かと思われます」


「――行くか。」


祈は再びいきなり立ち上がり食器たちがざわめく、そして祈はそのざわめきに負けることなくそう真剣な表情、トーンでそういった。


「パパ、ちょっと待って下さい。場所はわかりましたが情報収集がまだ終わっていません……というか始まってもいません」


「そう、今はこの世界について知れるだけの情報を知ることが懸命です」


「でも!? アーサはスグそこに!?」


「パパ、その気持ちもわかりますが……」


「「情報収集が先、そう言っていたのは祈さん(パパ)です(!?)」」


そう2人の怒号、まあ、片方は大きな声なだけであって抑揚も怒りも感じられなかったが。

だが……


「そうだな、呪術魔法についても全然知らないし……。ごめん冷静さを失っていた」


それはとっても心に響いた。


「はい、出来るだけ早く全ての情報を得ましょう。パパ」


「そうだな……情報こそが大事だもんな無知で挑むより相手の情報とか色々得てから挑んだ方が勝率も何もかもが上がるしな……」


「そう言えば、自己紹介しようとか祈さん言ってたけど……」


そうミティは思い出したかのように呟いた


「・・・。あ」



はいやって参りました。自己紹介ターイム!

俺達はミティが作った暖かくとっても美味しいフルコースが並んだ品のある食卓を囲みながら自己紹介をして行きます!


「みんな知ってると思うが、俺は巡谷祈。炎魔法が得意だ」


トップバッターは俺。俺はそう家事にならない程度の手のひらサイズの炎を出現させる。そう言えば俺魔法をそんなに考えなくても使えるようになったな……


「ええと、私はエレインです。パパの召喚妖精でナビゲーションと光魔法が使えます」


次は可愛い可愛い我が娘エレインそういった。

あれ? そういえば今更なんだけど、どうしてエレインって光魔法が使えるんだ?

エレインの構成魔素は俺の闇の魔素で闇の魔素では光魔法は使えないはずだ。

前、魔導書で学んだ〝魔素〟それは人のうちにある。

例えば、炎魔法が火の魔素、水魔法が水の魔素……と言ったように〝魔素〟にはそれぞれ決まった組み合わせがありそれ単体でしか使えない。それは魔力量とは関係なく、人が魔法を使うための触媒と考えるのが一番簡単だろう。

だから、人はうちに〝魔素〟がないと魔法が使えない、魔剣のように物質に〝魔素〟を含んでいる場合もあるがそれはごく稀でしかない。

それを踏まえて、再び考えよう。

エレインは闇の魔素つまり闇魔法で出来ている。これは分かるな? なぜなら俺の闇魔法で召喚したのだから。

どれだけ細かくしてもエレインは闇の魔素の塊でしかないはずなのだ。

なのにどうして、光魔法が使えるんだ? 光魔法が使えるっていうことは光の魔素を少しでも含んでいるってことだろ?

まあ、それは後でエレインに聞いてみよう。次はミティの自己紹介だしな。


「私はパラミティーズ・グランドアルケミックです。錬金術が得意な錬金術師で【舞踊錬金】が使えます」


そうミティは同じことを何度も言っていた気がしたがきっと気のせいだろう。

補足すると、この娘は掃除ができず、料理の腕前は五つ星シェフでも話にならないレベルだという事。これ重要。あと無表情、抑揚無い。恥ずかさの概念が壊れてる(多分)


「じゃあ、宜しくな!」


そう3人は強く手を握りあった。

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