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G-064 御隠居と一緒 (END)


 長い冬が過ぎ去り、今年も薬草採取の季節が廻ってきた。

 今年から鑑札が銅板になって年号がそれに刻印されている。朝早く出掛けたネリーちゃん達親子の籠にしっかりとその銅板が結ばれていた。

 

 そして、今日王都に届ける薬草の馬車に乗ってレリエルが帰って行く。

 あまり教える機会が無かった気がするけど、冬の最中の緊急依頼では帝王切開で子供を取上げていた。

 ちゃんと処理できたみたいで、赤ちゃんを抱いて散歩している姿を見て安心している。

 腹の中での【サフロ】の使い方、傷の縫い方、青かびの使い方……どうにかマスターしたようだな。これで、助かる人が増えるだろう。

 そんな、治療センターの役割を神殿に併設した治療院は持つことになる。そこで更にちりょうを行える人が増えればしめたものだ。

 

 「色々とありがとうございました」

 「頑張るのよ。貴方には出来るわ!」


 そう言ってレリエルを励まして別れることになった。

 互いにエルフのようだからもう一度会う機会もあるだろう。

 だが、これでしばしの別れだ。


 「行っちまったな」

 「ええ、1年の約束だからね。でも、ちゃんと覚えたみたいよ」

 

 「あぁ、そうだな。あんな方法で赤ん坊を取上げるとは思わなかった。だけど……、なんで姫さんはレリエルにやらせたんだ?」

 「色々と事情があるの。それに、ちゃんと事前に教えたでしょう」


 「まぁ、確かにそれはそうっだったが……」


 一応ちゃんと教えたんだけどね。

 何となく、私が執刀するのを躊躇する自分に気がついた。そんなことでは重大な失敗をする可能性が高い。それで、レリエルに任せたんだがダノンは奇異に思ったようだ。

 そして、結果的には無事に終了。レリエルも自分に自信が持てたと思う。


 「で、姫さんは何時発つんだい?」

 「そうね。そろそろかしら」


 一旦、発つと決めた以上、何時までもいるのは問題だが、少し前にガリウスから『御隠居が王都に戻って来た』との知らせを受けたのだ。


 どうせなら、御隠居と同行するのもおもしろい。

 スケさん、カクさんもいるし、何となくあの漫遊記に似ているような気がする。

 実際に、失脚した町役人もいるようだしね。

 

 もしも、同じような感じなら退屈しないで済みそうだ。

 そして飽きたら、迷わずこの町に戻ってこよう。

 その時には、ロディやネリーちゃんが立派なハンターになってるに違いない。

 

 その時、ギルドの扉が開いた。

 あの時の3人だな。ようやくこの町に辿り着いたか。


 「ひさしぶりじゃ。元気でやっておるのは風の噂で聞いていた。どうじゃ、今度はワシと一緒に……」

 「喜んで、ご一緒しますわ」


 私は、そう言うと老人に頭を下げた。

               ・

               ・

               ・


             -END-

 お喋り広場で桜木さんとの話をヒントに始めた物語です。

 ちょっと変わったハンターの物語でした。

 今まで、お読み下さり、ありがとうございます。

 誤字等ご指摘いただいた箇所は、その内修正するつもりです。

 そして、沢山の感想を頂きありがとうございました。

 

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