エピローグ「数年後のもふもふ帝国」
あれから五年。
フェンリル王国は大陸有数の強国へと成長していた。
経済、軍事、文化、すべてにおいて他国を圧倒しているが、その本質は「世界一住みやすい国」であることだ。
リアは名君として歴史に名を刻みつつあったが、相変わらず俺を溺愛している。
そして俺は……。
「パパ! 遊んで!」
「パパ! 背中に乗せて!」
俺の周りには、数匹の子狼たちがまとわりついていた。
……いや、誤解なきよう。
俺の子供ではない。
森の狼たちが俺をボスと認め、育児を押し付けてきているだけだ。
俺は立派な『神狼』として、彼らの面倒を見ている。
人間の姿になれる時間も長くなり、最近ではリアの補佐官として政務を手伝うことも増えた。
執務室で書類仕事をしていると、リアが紅茶を持って入ってくる。
「お疲れ様、フェン。今日は早いね」
「ああ、隣国の使節団との会談もスムーズに終わったからな」
人間の言葉で会話する日常。
しかし、休憩時間になれば、俺は犬の姿に戻り、リアの膝枕で昼寝をする。
この二重生活が、意外と心地いい。
窓の外には、広大な麦畑と、煙を上げる工房、そして笑い声が溢れる街並みが見える。
かつての荒野は、今や黄金郷だ。
「ねえ、フェン。次はどんなクエストが来るかしら?」
リアが俺の耳をいじりながらつぶやく。
俺は片目を開け、ウィンドウを確認した。
【クエスト発生:フェンリル王国の観光立国化計画】
【報酬:遊園地の建設キット、温泉リゾート拡張パック】
やれやれ、まだまだ忙しくなりそうだ。
だが、それも悪くない。
俺は「わふ」と答え、愛する飼い主の手を舐めた。
俺たちの物語は、いつまでも、どこまでも「わんダフル」に続いていくのだから。




