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第6話 魔法学校2

 次は運動テスト。

 運動能力は旅人、狩人には必須の条件。

 100m走をする。

 特性込みで測定をする。

 100m走だが・・・

 初手から8秒台を出した者がいた。

 彼女の名はレーレ=ムハンマド。

 両足にはメタリックの大量の装甲が施されている。

 青髪で短髪。

 足の装甲は作られた物だろう。

 内部エンジンがグルグルと回っている。


「ふん

 その程度か・・・」


 挑発をするようにレーレの記録を見る。

 その女はウェルカ=レンノール。

 本人が言うには特性は瞬間移動とのこと。

 本当かは疑問だが百聞は一見にしかず。

 ウェルカはスタートラインに立った。

 先生の合図と同時にゴール。

 立っていたその場には煙がたっているだけで、瞬間移動は本当だった。


「どうよ! 

 ワタシの実力を!」


 傲慢な態度にイラつくが実力は確かだ。

 

 それから順番に測定されていく。

 浮遊したり、全力で走ったりする者がいた。

 背中をトンと押された。


「ほら君の番。」


 背中を押したのはまだ名前の知らない人だった。

 仮面をかぶっていて素顔が見えない。


 俺の番が回ってきた。

 スタートラインに立つ。

 集中力を高めて、足の回転速度を上げるようにした。

 が・・・できない。

 なぜか特性が出てこない。

 いつもならすぐにできるのに・・・

 しかし、時間は待ってくれない。

 無情にもスタートの音が鳴った。

 仕方なく全力で地面を蹴り走るが、普通ぐらいのタイムになってしまった。


 どうしてだ・・・

 なんでバレットタイムが使えないんだ?

 俺はちゃんと集中ができていたはず・・・


 思考が整理されない。

 俺を最後に運動テストが終了した。


 次は特性テストだ。

 この状況は非常にピンチ。

 特性テストなのに特性が使えないとなるとどうすればいいんだ。

 俺含めみんなは次の場所に移動する。

 その間に少しだけでも復活してほしい。

 俺はそう願うしかできなかった。

 移動先は地下だった。

 

「第3テストは特性をうまく扱えているのかを見る。

 ターゲットはこいつ。

 植獣 タンズ・ロートンだ。

 ターゲットに攻撃や拘束など、自分の特性を駆使して攻撃してもらう。」


 檻の中にタンズ・ロートンが捕まっている。

 檻の床はベトベトに蜜が散らばっていた。


『極獣 植獣 タンズ・ロートンの生態反応。

 珍しき植物の極獣。

 単体では弱く、極獣の中でも弱い。

 根っこが足の代わりに発達し、歩くことを実現させた初めての顕花植物。

 大きな花を持ち、臭い蜜を放つ。

 基本的に昼に行動する。

 光合成ができる限り再生や成長する。』


 バレットタイムが使えない今はどんなに攻撃しても無駄。

 どうすればいいんだ。


 そこで先生は最悪な提案をしてきた。


「今度は逆から行ってみようか。」


 逆からということは俺が先頭である。

 俺は渋々、檻から出たタンズ・ロートンの前に立つ。


 ダメ押しで集中をしてみる。

 しかし、今度はバレットタイムが発動した。

 しっかり世界が遅く、俺は速く動けた。

 また発動しなくなる前にタンズ・ロートン目掛けて攻撃を開始。

 植物の体はしなやかで断ちにくいが自前の速さで複数、斬ることができた。

 普通の目では追いつけない速度でテスト完了。

 100m走のタイムが嘘かのように斬ってしまった。

 

 みんなの待機場所に戻る。


「次は俺の番だー!」


 ムロフ・シロクロシーが声を荒げ叫ぶ。

 自分の番になって心が昂っているのだろう。

 ムロフはさっきとは別個体のターゲットに走って突撃した。

 一発、拳をぶつける。

 しなる体が凹み、花の蜜が飛び出す。

 臭い匂いにも怯まず殴り続けた。

 いつの間にか、ターゲットはノックアウトして倒れていた。

 いい汗をかいたのかスッキリした様子で俺らの方に帰ってくる。


 だが、一つだけ俺らは思った。

 こっちにくるなー!

 

 タンズ・ロートンの蜜を被ったムロフは何にも気にしていないが、俺らは耐えられないほど臭い。

 先生もそれを察したのかムロフに体を洗ってくるように促す。

 ムロフは不思議そうにシャワー室に行った。



 そして全員のテストが終了。



 一度休憩時間になった。 

 だが、妙な雰囲気の空気が漂う。

 そこには心理的な見えない、人と人の壁があった。

 師匠の壁と似ている。

 

 その壁を作っている本人はあちら側のグループの中央にいる背丈の低い女子だった。

 どうやらあの女子の名前はギポー=トルウパ。

 運動テストも特性テストもあまり目立たなかったのに、なぜあの人に人が集まるのか。

 攻撃的な特性ではないのだろうか?


「お前にもわかるじゃろ?」


 あの死警官の帽子を被った男がひっそり言った。

 完全にはわからないがなんだかんだわかる。

 コクリと頷いた。


「そうじゃろ。

 おどれは見えていると思っていたんじゃ。

 わしの名前はカイ=デクノーアレ。

 知っていると思うがデクノーアレ死警官の息子じゃ。

 特性は完璧主義者じゃ。

 人の悪心を見ることができる。

 この壁を壊すのはわしらじゃ。

 協力をしてくれるじゃろ?」

 

 俺はこの提案に乗った。

 この壁はあってはならないと思ったからだ。


 カイの予測ではギポーが主犯だと思っている。

 なぜ「魔人」を嫌うのか、と考えている。


 俺はカイの話で魔人という言葉を初めて知った。

 というのも師匠は教えてくれなかったからだ。

 カイに魔人について聞いてみたら、唖然して口を開けたまま止まってしまった。


「魔人を知らないんか?

 マジで言ってるのか?

 魔人というのは簡潔に言えば人と他の魔族のハーフじゃ。

 最近は魔人差別が改善されているんじゃが、まだ公平性を保てていないんじゃ。

 無害の魔人にも差別が飛んでいる時はオレの胸が痛かったんじゃ。」

 

 魔人

 

 人と魔族が合わさった人間。

 例えば人の容姿に獣耳、鳥の羽、体毛などが現れる。

 魔族によって受け継がれる特徴は変わり、常人の力より一回り強い傾向がある。

 この魔人の強さの関係と人間の数の多さが原因で差別が起きている。


 ギポーも魔人差別の一人なのだろうか?

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