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第4話 死警官の取り締まり

 試験が終わり、下校する人が続々と現れた。

 ある程度時間が経っていたから空はオレンジ色になっている。


 体がじんじんと痛む。

 鎖で締め付けられた足首はまだ赤く痕が残っている。

  

 背後から軽快な足音が聞こえる。


「・・・ねぇ」


 振り返ると試験相手のリオナ・ヴェル=クロウがいた。

 夕日の光を受けて猫の耳が揺れる。


「足、まだ痛そうだね。」

「おかげさまでな。」

「はは、そうなんだけどね。」


 彼女は笑いながら、ポーチから治癒薬を出した。


 受け取るべきか迷ったが素直に手を伸ばした。

 瓶越しに指が触れた。

 リオナの顔が少し真顔になる。


「・・・じゃあね」

 

 同じ方向の道なのに早歩きで先に行ってしまった。

 俺も後を追うように帰った。


 街を抜けて、階段を登り、師匠の所に戻った。


 試験や今日出会った極獣について話した。


「極獣が街に出たと・・・

 それは災難だったな。

 だが、街に2体も出たとなると何か不思議だな。

 それに、その極獣はブレーク・ズ・アクトゥエルと言ったな。

 私はその極獣に一度も会ったことがない。

 もしかすると、まだこの世界には私が見たことがない極獣がいるのかもしれない。

 私に新しい極獣がいるのなら教えてくれ。」


 師匠から新しい任務をもらった。

 極獣の生態は不思議でいっぱいである。

 だから俺は旅に出たら、極獣を狩りまくることに決める。

 少しでも恩返しをしなくては。


 師匠が街の形を覚えておくといいと俺に言い、師匠と話したのち、街に出発。

 街には並ぶ暖色の家がある。

 馬を率いる商人や旅人、買い物をする親子の姿が見えた。

 俺は両親がわかれば帰っていたけど、今は全く思い出せないから探しようがない。

 というか、俺はどうして追い出されたのだろう。

 そこの記憶も一切無いので、理由がわからない。

 一度だけ会ってみたいな、と過去を思い返しながら街をぶらぶらと歩いていると、路地裏から物音が聞こえた。

 ぴっとりと体を冷たい壁に押し当て、音を聞いた。

 そこでは何やら怪しそうな話をしている。

 片目で覗くと、男のペットケースの中には世にも珍しい青色の狐がいた。


「これが例のやつだ。」

「噂通り、いいスカイブルー色だ。

 この色違いの狐、買わせてもらおう。」


 この場所は闇の取引場所だった。

 去るか、見るかの選択に迷い、俺の動かした右足が小石を蹴ってしまった。

 取引する二人の男は音に敏感だったのかすぐに気づいてしまった。


「誰だ?!

 お前、逃げるんじゃねえぞ」


 逃げるなと言われたが、そんな言葉を耳にせず走った。

 人をかき分け逃走している中、俺のすぐそこの地面に銃弾が弾かれた。

 家の屋根を見上げると、こちらに拳銃を構えた黒服を着て、黒い帽子をかぶっている男がいた。

 明らかに俺を狙っての射撃だった。

 俺は、闇の手から逃げることになってしまった。

 バレットタイムを使い、銃弾を避けるがそう上手くいかず左腕に負傷を負った。

 その銃声や騒ぎに駆けつけた者がいた。


「動くな!

 俺は、デクノーアレ死警官(しけいかん)だ!

 不法取引ギルドは俺が始末する。

 民間に手を出したその心は法律で叩き直す。

 死刑の執行じゃ!」

 

 死警官(しけいかん)


 この世の秩序を乱す者を嫌い、排除する警察官。

 闇取引をする者や銃の引き金を引く者は即座に切り落とすという死警官特有の特殊法律がある。

 犯罪者にとって一番怖い存在であり、切り落とすかはその死警官によって決まる。

 根はいいやつだが、仕事のために本性を隠していることが多い。



 狙撃してくる男の背後には顎長の長めの刀を背負っている男がいた。

 恐らくこの街の警察官だろう。

 俺は黒服と警察が睨み合っている内に家の間を使い逃げた。


「動くな。

 その引き金を引いた瞬間俺はお前を切る。

 また、お前が引き金を引かなくとも俺はお前を切る。」


 黒服の男は引き金に手を当てる。

 その一瞬の刹那の間で、死警官は(さや)から刀を取り出し腕を切った。


「大人しくしておきな。」


 犯人を捕まえるが・・・

 取引した物がない。


 あらやだ!

 あなた、護衛のスナイパーちゃんじゃない。

 私、取引する奴らを見逃しちゃったわ。

 で、でもいいわ。

 私の特性にかかれば組織の場所なんか簡単に吐かせちゃうんだから。

 

 

 この死警官の本性はオネエであった。


 

 リテルはその間に逃げていたが、死警官に風の如し追いつかれてしまう。


「その腕、貸しな。」


 間近で見ると体格は大きく、屋根の上で見た時よりも更に迫力があった。

 俺は声が出ずにいると、サッと俺の左腕を大きな手で死警官は掴み治癒薬をかける。

 俺の銃で撃たれた腕は回復した。

 俺の回復した腕を見届けた死警官は、死警官と書かれた帽子をグッと下げ背中を向けた。

 去る時は一歩一歩の歩幅が広くコツコツとレンガの地面を鳴らし、無言で街の影に消えていった。

 

 俺は死警官に助けられた。

 どうしてすぐに俺の場所に来ることができたのか?

 足音もせず急に現れたことに疑問が出てきた。


 早速、師匠に聞いた。


「リテルはまだまだ世間を知る必要があるな。

 その死警官はデクノーアレ死警官。

 本名はグルジエ=デクノーアレ。

 通常特性は、完璧正義者。

 悪として生きる者に対して強くなる。

 死警官としては相性がいい特性と言えるな。

 だが、急に死警官の話とは。

 何かやらかしたのか?」


 俺は青色の狐を取引している人達を見つけたことを説明した。

 師匠が言うにはそれは闇組織で変異種販売をする秘密結社だとか。

 あちこちに地下基地があり、地下通路を使って移動しているという浮説があるのだとか。

 そして無闇に探ろうとすれば暗殺されるなど、いいことはない。

 なので数百年以上、その秘密に踏み入る者は現れなかった、もしくは暗殺されたかだった。



 変異種(ミュータント)


 通常とは違う姿をした環境生物のことを指す。

 本来の属性が変わったり、行動が変わったりする。

 その希少性は高く、欲しがる人は数知れず。

 欲望を爆発させたのが例の秘密結社。 

 極獣とは別の扱い。



 変異異色型(カラーミュータント)


 変異種の中の色が違う環境生物のことを指す。

 基本的に色が違うだけで、通常とさほど変わらないことが多い。



 今回の狐は変異異色型(カラーミュータント)だと師匠は予想した。

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