第45話 カイ&チの妖精
甲板ではムロフとゼヴァが必死にニグメと戦っている。
ムロフは隙を見て攻撃を与えるが、ゼヴァは逃げ回るばかりだった。
ソスは旅人でもない釣り人なので物陰に怯えて隠れているしかなかった。
「随分と俺の動きについてくるもんだ。
痩せ我慢も大概にしとけよ。」
付加魔法放出法、「空間の滴り」。
ニグメの付与系の魔法。
武器に斬撃の魔法を発現させ、刃を強調。
無属性ならではの空間系魔法を使用して、優位に戦いを進める。
そして先程までの魔法は魔法の斬撃化のみ。
この付加魔法放出法は実体化を可能にさせる。
それでもムロフは付いていく。
が、再度受け止めた際、ムロフの手が魔法に触れた瞬間、魔物がガラスのようにひび割れ、ムロフの体に傷を負わせた。
それと同時に魔法は再生し、刀の形を造り、ムロフの左腕を刺した。
「お前らにこの世界で営む場所はない。
消えてもらう。」
ニグメがムロフに刃の先を向けて構えた。
ニグメの手が動こうとした時、ピタリと止まった。
なんだ・・・?
この気配は・・・?
なぞの突風が船を襲う。
次の瞬間にはニグメの目の前に刀が飛んできた。
咄嗟にニグメは紙一重で避けた。
ニグメに刀を向けたのはカイだった。
「まだガキが舞台に立ちたいのか?」
「わしの正義が黙っとらんぞ。おどれ。」
ニグメには人とは思えない程の威圧が降り注ぎ、足がすくむ。
それもそのはず、カイの威圧ではなくチの妖精の物だった。
しかしニグメにはチの妖精は見えず、まるでカイが放っているかのように錯覚してしまった。
そして、カイとチの妖精による連携の開始。
カイの刀にチの妖精の力を注ぎ、魔法を上回る力で付加魔法放出法を破壊。
ガラス片の状態になる前に魔法を中断。
カイがニグメをチの妖精の刀で妖気の一撃を切りつけた。
ニグメは船から弾かれ、海へ落ちた。
みくびった。未来はずっと正義かよ。
リテルが死亡してから港の病院に運ばれ、リテルの病室には国王や関係者がカイ達が集まっていた。
医者はいくつもの薬草や回復薬、治癒魔法を試したが、効果は出なかった。
リテルに死が宣告された。
国王と関係者は深く頭を下げてリテルとカイ達に詫びた。
しかしいくら頭を下げてもリテルは帰ってこない。
どう言えばいいのかわからなかった。




