第43話 止まれない
ブレイサー港王国にいるオイカゼ旅人団、ホールン、サイダン、ゼヴァ、ムロフとシャッツ。
リテルとカイを探すため、ソスの船をだすところだった。
ソスはホールン達に言った。
「極獣の渦巻で海流が一時的に乱れている。
環境が変化し危険な生き物がいるかもしれないし、本来とは別の場所に流れ着いている場合さえある。
見つかる確率は低いぞ。」
どんなに確率が低かろうともホールン達は諦めない。
船を海に出し、リテルとカイを探しに行った。
その頃リテルはメサキ島から飛び立とうとしていた。
パンドラはリテルに言った。
「プロテクティバーと戦っている所を私はしっかり見ていた。
せいぜい私の半分以下の実力だったが、お前が真骨頂の力を引き出せることを期待している。」
そうしてリテルは島を飛び去った。
一面の海の上を飛びながら、パンドラが示した方向に進んだ。
時々、暗視で海の中を覗いたりして暇を潰していると、向こうから少し大きめの船が見えた。
日の光で金属部分は煌めいている。
近寄って船内を見ると、いくつか四角い箱が積み上がっていた。
どうやら貨物船のようだ。
ブレイサー港王国に行く船かと思い、乗り込んだ。
船は妙に生臭い。
船上に人がいないので船内に入った。
船内でも人に声は聞こえない。
操舵室に行けば人がいるかと思い、上へ登った。
操舵室のドアらしき前についた。
中からだけは人声が聞こえた。
錆びついているドアを開くと二匹の魔物のプロテクティバーが操船していた。
「グェグェグェ、一体どうして俺らがパヨーロ大陸にコ・・・
何者や!
もしや政府の始末班か?!」
頭頂部には一本の鋭い角がついている。
このプロテクティバーは話すことができる種か?
それともドン・ウドララーのような進化種か?
座っていた魔物二匹は飛び上がり、二股の銛を突き構えた。
「逃げるか死ぬか、どっちか決めや!」
そして数分後、二匹のプロテクティバーはお縄になった。
「今からブレイサー港王国に行くから。」とリテルが言うと、二匹は大声で叫んだ。
「ぶ、ブレイサー?!
やめろや!やめろや!!
あそこの長は強いんやけ!」
国王が強いと言うが、もうじじいぐらいの老耄じゃないのか?
そう呑気に考えていると小さな船を発見した。
目を凝らして見ると大きな筋肉が見えた。
ムロフの筋肉だった。
船を近づけ、みんなを船に乗せた。
ついにカイ以外が集結した。
そしてカイはジュガンドラ森林を抜けて、ジュガンドラ山麓に到着していた。
王国までもう少しだった。
狩りをしながら走って来たので疲労が溜まりくる今日この頃。
「ほらあと少し、あと少しなのだ。」
カイはリテル達に再会できることを考えていると、体がいくら休みたいと思っていても動く。
鼓動の高まりは走っているせいなのかわからない。
走っているうちにブレイサー港王国にくる道中に飛び出した。
数週間前に見たあの景色を走り、宿を一つ通り抜け、ブレイサー港王国の門の前に着いた。
「リテル、リテル!」
カイはリテルの名前を言いながらウナバラ港宿に駆け走り、遂に扉を開けた。
「リテ・・・」
しかし部屋には誰もいなかった。
乱雑に投げられた物達が転がっていた。
身に覚えのない服も少しある。
胸騒ぎがする・・・
部屋を飛び出し、再び走って岸辺に向かった。
走っていると声をかけられた。
「お前さん、オイカゼ旅人団の一人の奴だろ。
団長以外はすでに海から逃げて来た。
そして数時間前に団長を探しに行った。
ここで待ってい・・・」
「行かせてくれんか!
ここで引けば邂逅するしか会えんかもしれんのじゃ!」




