表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シンカータイカー   作者: よぐると
ブレイサー港王国編
44/46

第42話 チの妖精

 カイは砂浜を離れ、ジュガンドラ平原の真ん中を歩いていた。

 チの妖精が導き示す後を辿っていると、夜が来てしまった。

 あたりには寝床も家もない、光すらない。

 照らしてくれるのは空の星だけ。


「ずっと歩き続けているが、おどれの腹は減らんのか?

 わしは虫が何度もなっているのじゃが・・・」

「おいらは妖精だから飯は食わないのだ。

 食べたいなら出せるが?」

「出せる・・・?」


 チの妖精は全身を震わせ、カラカラと頭の木を小刻みに鳴らした。

 カイはその様子に首を傾げて見るしかなかった。

 

 カイが口を開こうとした時、何かが草むらを倒してこちらへ来ている音がした。


 刀に手をかけて待ち構える。

 チの妖精は小さな声で「来た!」と囁いた。

 

 草むらから角の生えた鹿が出て来た。

 カイは鹿が自分に気づく前に仕留めた。


 チの妖精は親指を立てて、グッとした。

 そしてチの妖精が火を起こし、鹿を捌いて食べた。


 それから自然の中で一泊した。



 獣研にて。

 ある一本の通話が繋がった。

 それは極北部の新種のランカ種の調査の結果だった。


 その通話はディープロス(ポイント)が受け取り、発信先はディープロス(ポイント)と同じ階級のボロゾア=メタン、ボロゾア(ポイント)

 北の地で極獣や生物の研究と調査を行っている。

 そして約五ヶ月の月日を経て調査が完了した。


「ディープロス(ポイント)、新種のランカ種について研究結果報告を後に送る。

 まず口頭でいおう。

 その調査対象は、「完全な生物」ではなかった。」

「完全な生物?どういう意味だ?」

「いくつかの体の成分を調査した結果、人工改造のような箇所を複数発見した。 

 神経だけが繋がった特殊金属が体に組み込まれていた。

 これは最近出始めた改造極獣だ。」


 過去から度々発見される少数の改造極獣。

 いまだに生息地、発祥地はわからず、多くの獣研の研究者を困らせている。


「やはり改造極獣であったか。

 わしが(センター)(トップ)へ資料とともに伝えておく。」



 近年発見される改造極獣、今後オイカゼ旅人団にどう影響を与えるのか・・・

 


 一夜明け、カイとチの妖精は再び進む。

 ジュガンドラ平原からジュガンドラ森林に突入。

 ジュガンドラ森林には人の手入れは施されていなく、草を分けながら進むしかなかった。

 当然人のいない森の中で人の声をカイは聞いた。


 声を辿ると、一人の男性が不思議な物を観察していた。

 遠くから覗いていると、観察していた物が動きだした。

 

 それは極獣夜行でも見た極獣、ウヌク・ロイカーに似た生き物だった。

 単眼で、一部に銀色に輝く物が装着されている姿で、キリンではありえない足が生えていた。


 カイはあれがなんなのかチの妖精に聞くと、首を振って答えた。


 その場で見ていると、その極獣らしき生き物が動いた。

 男が木の実を取り出して、少し遠くの場所に置いた。

 餌をあげているのかとカイは思ったが、違ったようだ。


 その生き物は木の実の一点だけを見つめ静止した。


 次の瞬間、目の先から光が強く飛び出した。

 そして木の実は弾けた。

 その光景にカイは腰を抜かす。


「なんじゃ・・・何かの兵器か・・・」


 兵器と言っても否定し難い威力の光線を放つ生物。

 去る方が安全と考え、後ろに足を踏み出した時、枝を割ってしまった。


「誰かいるのか。」


 その一言に息を飲む。


「まあいい。誰がいるのか知らんが最初の獲物(データ)になってもらおう。

 Case3、木裏に攻撃命令!」


 そのCase3と呼ばれる生き物はカイの隠れている木陰を向き、先ほど同様、光線の準備をし始めた。

  Case3の目には光が集い、光線は放たれた。

 カイに容赦なく放たれた光は、危機一髪でチの妖精によって防がれた。


「生物の恩義を・・・無下にするな。」


 チの妖精の姿はみるみるうちに大きくなる。


 -天チ開闢(てんちかいびゃく)-


 紫の大きな手で男とCase3の首を掴み、握り潰した。

 男の体液が飛び散り、手の隙間から滴る。

 Case3の首が潰れたと同時に緑の光を放って動きを止めた。


 そしていつもの姿に戻るチの妖精にまた腰を抜かす。


 これが・・・妖精の力なのか・・・?


 恐怖と関心の混ざった気持ちがカイの体を震わす。

 さっきまで呑気な野郎だと思っていたが、反転した。


「おいらは動物を殺した人を恨むようなことはしない。

 ただ、おいらは動物を無慈悲兵器にすることを絶対に許さない。」


 生物の道理を重んじるチの妖精だった。

 決して訳もなく殺したのではない。


「わしに似ているな・・・」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ