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シンカータイカー   作者: よぐると
ブレイサー港王国編
38/45

第36話 ブレイサー港王国に到着

 極獣 コルノボーン・チェルヴォーから避けるばかりのリテルに生死の賢者が語る。


「再生系の特性を持っている者には再生能力を根本的に停止させるか、再生能力を上回る火属性の燃焼、毒による蓄積が有効です。」


 なるほど。

 火による燃焼で再生を止めることができるのか。


 リテルはブルーイチから受け取った手袋を取り出し、魔法を十分に扱えるゼヴァに渡した。

 初めは戸惑うゼヴァだったがなんとか炎を極獣の角に当てることに成功した。

 しつこく燃える炎は再生能力を止めるのに最適の解決策だった。


 もがく極獣は同じように角を落とすが、頭に燃え移った火は角と頭の再生を停止。

 再生しない角に驚いていたムロフはチャンスを握りしめ、荒ぶる極獣へ石をハイスピードで投げ、頭を撃ち抜いた。

 

「リテル、再生しないうちに取り込むんじゃ。」


 カイが「リサイクル」を求める。


 リテルはコルノボーン・チェルヴォーを取り込むと、新たに再生を手に入れた。

 超再生とは言えないものの、多少の切り傷や怪我はすぐに完治できる。


「これでここらで肉が食えるな。」


 いくつかの角を手に、宿に行った。

 おばちゃんに角を見せると目を丸くした。

 半端な旅人では討伐することが容易でない極獣の角が自分の手の上にあるのに、なぜか喜んでいる。

 一般の人では悍ましい物なのだが・・・

 どうやらコルノボーン・チェルヴォーの角は貴重な素材で、高価な治癒薬でも調合されている品物。

 回復効果が大いに期待できる。

 しかし、このおばちゃんは治癒薬を作ることができない。

 一体その角は何にするかというと、粉々にすり潰して料理に混ぜると言った。

 回復効果を得られる食べ物が完成するのだとか。 

 角を渡し、宿を出発した。

 山の山間部の細道を通り、ブレイサー港王国に近づく。


 ところが雲の様子は次第に黒く変わり、雨が降ってきた。

 リテルが近くの宿に泊まるかと提案したが、ムロフはこのまま王国に行くと言った。

 速度を上げ、あっという間に王国の門の前に来た。

 大通りの際には木造の家が並び、海が見える。

 門をくぐるとき、門番に話しかけられた。


「魔人はいるか?」


 鋭い目つきで馬車を覗き込む。

 一人一人の顔を確認すると最近の新聞を見せるように取り出した。


「新聞で聞いている。

 ただ、いいようには見られないからな。

 通れ。」


 嫌な感じのまま門を通り、ウナバラ港宿に泊まることにした。

 雨の降る、海が見える窓からカイは言った。

 

「快晴の空でこの海を見てみたかったんじゃがなー・・・。」

「この王国は景色も魅力だけど、食べ物も忘れてないか?」


 サイダンが俺達に問いかけた。


 その食べ物はつまり、「寿司」である。

 酢飯の上に刺身や海鮮物を乗せて食べる食べ物。

 宿に来る道中に寿司の店を見つけたようなので行ってみることにした。


 がしかし、食べることができる刺身は同じ物ばかりだった。

 最近では雨や風の影響で海が荒れることがかなり多く、船を出そうにも出せない状態で困っているそうだ。


 店主は申し訳なさそうに言った。


「決して魔人を差別して寿司の量を減らしているわけではないんだ。

 誤解しないでくれよ。

 それとお前らよかったな、俺の店以外だったら門前払いだったぜ?」


 店主の名はニザス=ソークリオー。


 この店主は魔人差別をしないようだが、他の店では追い出されることも多々あるそうだ。 


 カイはそこである質問をした。

 この雨はいつ止むのかと。

 店主は目を瞑り首を横に振り、知らないの一言だけ言った。


「ずっとこの調子が続けば、食糧難になってしまう。」



 

 それから数日間、宿と店を行き来する日々を送っていたある日。

 雨が降り続く中で何かしたいと思い、この王国伝統の傘帽子を被り、高いところに行くことにした。

 

 国を囲むように崖があり、山を伝って崖上に立つことができる。

 雨の中、木々の滴る音を潜り抜け、山を登り、崖へ来た。


 風が強く吹き、波がより荒々しく揺れている様子を見れた。


「当分先の空も雨雲が続いているな。」


 雨雲を見上げていると、雲々の間を一筋の生き物が通り過ぎた。

 生物としては大きく、蛇のような体をしていた。

 鳥とも考えにくい、それに一同驚く。


「な、なんだ今の?!」


 衝撃の光景に空いた口が塞がらない。

 生死の賢者には反応せず、正体は不明。


 見上げているとリテルだけに言葉が空から聞こえた。

 この場所を守れ、という内容だった。

 

 あの生き物が言っているのかはわからなかったが、なんとなく理解した。



 それから雨脚は一向に変わらず、滞在していた旅人はほとんどいなくなり、王国の人気が少なくなった。

 そんなある日、三隻の船が来航した。

 各船内には約6人ずつ乗っている船が。

 

 そしてある船員が銃口を王国の住民に向けた。

 それに気づいていない住民は射殺され、銃声が響いた。


 その頃リテル達は宿の中でのんびりしているところだった。

 銃声を聞くと、みんな頭を上げた。


「なんの音?」


 怯えるホールンは部屋の隅に移動している。

 リテルがドアを開くと、海の上に帆を掲げた三隻の船を発見した。


 その大きな音の理由を知りたい住民は海岸に近づく。

 その住民は唐突に振り返り、海岸から離れた。

 そして銃声にも負けない声で走りながら叫んだ。


「海賊だー!!」

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