第32話 罪
ラレラレット王国に戻ったオイカゼ旅人団とブルーイチ。
陛下に退治の成功を伝えると、側近にブルーイチは手錠をかけられた。
俺は「え。」と思わず声が出てしまった。
「大丈夫さ、私の運命だ。」
そうブルーイチは言って、断頭台の階段を登っていった。
ブルーイチは罪人。
罪人は罪人。
谷の魔物を退治しても罪が消えるわけではない。
ブルーイチは陛下と約束していたのだ。
カカト谷の魔物を退治したのなら、村と王国を繋げるということを。
しかしこの約束には続きがある。
家族と会えずに死刑になることだ。
ブルーイチはそれを知っていてもカカト谷に行ったのだ。
ブルーイチは一段一段登り、台の上に立った。
多くの国民の視線がブルーイチに集まる。
首を断頭台に乗せ、一言呟いた。
「思えば、家族に尽くせるのも最後か・・・
待ってろよ。」
最後にリテルと目が合う。
その次には金属の高い音が響いた。
ブルーイチの処刑後、約束通り陛下はブルーイチの故郷と王国を繋げるため、故郷に向かった。
陛下に選ばれた魔人、カラルの背中で運ばれた。
ブルーイチの故郷はイェーローズ村という村。
川沿いで、高木のまばらな草原の中心にある。
少し冷たい風が吹く平坦な村だった。
村の村長、シュームの所へ行き、約束を話した。
カカト谷の魔物を退治したとは知らない村長。
陛下の言葉に驚いた。
「ここから貴国への道はカカト谷があることをご存知で・・・?
もしや、追い払ってくれたということか。」
陛下は頷く。
やっとこの村に転機が訪れたのだ。
この機会を逃すまいと潔く受け入れた。
会った時間はわずかな時だったが、すぐに心を開いた。
それから次にグッドラッグの家に行く。
陛下が村長にグッドラッグの家はないかと聞くとその村の人は首を傾げた。
「グッドラッグの家ですか・・・?」
少し目を見開きこう言った。
「大通りの手前の道右へ進むといい。
それと、会う際はブレアレッグといってください。」
ブレアレック?グッドラッグではないのか?
「そうですか。」
陛下は言われた方向に進むと、木製の一軒が建っていた。
その家のドアを手の甲で叩いた。
少し時間が空いた後、中から出てきたのは色白の一人の女性。
陛下はブルーイチ=グッドラッグを知っているのかと聞くと、間をあけ頷いた。
続きに例の約束を伝えると悲しむことなく、その女性が言った言葉に陛下は衝撃を受けた。
「私は一人で待っている聖女じゃないので。」
そう言ったと同時にドアの奥に肩車をしている男とその男に乗っている少女が見えた。
陛下はその一瞬で全て理解した。
人の家庭に足を入れるつもりはないが、これだけは言える。
「あなたはブルーイチの愛を裏切った。
人生と命を捧げてまでもあなたを愛していた。
怨まれても因果として受けとめることだ。」
女性は気に留めずドアを閉めた。
私の情けがこうも彼にとって最悪な結末に辿り着くとは思いもしなかった。
無礼者・・・
ああ、不憫すぎる、ブルーイチを供養してもいいだろう。
陛下はため息をつき、王国へ戻った。




