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シンカータイカー   作者: よぐると
ラレラレット王国編
32/45

第31話 ブルーイチの真実

 ホップアップ元公爵に続き、ヨサヌス子爵を失うことになってしまった。

 そしてブルーイチ元侯爵も欠けたことで現在、二爵のみ。

 大きな損失をもたらした。


「ここは我が処置しておく。

 国を守ってくれ。」


 ミンセン・ヴェル男爵から託された想いを背で受け止め、城を飛び出した。

 

 外の様子は酷かった。

 家の窓から住民は顔を出すこともなく部屋の奥で隠れていて、ぶつかる剣同士の音が響いていた。


「殺す思いでかかるぞ。

 死は誰にしも平等だ。」


 街へ駆け出した。



 

「数がここらへ集中してきている。

 ガルディア、いくらお前が不労であれど多数の攻撃を防ぐのは厳しい。

 警備員(ガード)はかなりの死者がでて、己を守ることで必死だ。

 この場に留まれば死ぬ可能性もある。」


 クゥアンセン監視官の言う通り、俺がこの量を全て狩ることはできない。

 しかし、ここを動いてしまうと監獄への道が開けてしまう。


 屋根の上から見下ろすように何人もの黒フードがガルディアを追い詰めていた。

 交互に繰り返される奇襲は、一つのミスさえ許されない。


 そんな状況で一変する。

 

 屋根にいた黒フードの一人が血飛沫を撒いて地面に落ちたのだ。

 崩れ落ち、地面へ墜落した。


「とんだ黒ずんだおどれらの正義じゃのぉ。

 おどれらには正義遂行じゃ!」


 子供とは思えない身体の身のこなしとパワー。

 黒フードも二人目が打ち取られると、その他の黒フードはのけぞった。


 あの目つき・・・デクノーアレ家の子か?!


 次々と裁きを行う。

 周辺を掃除し終わると次の場所へ走った。


「待ってよー!」


 ホールンがカイの後を追いながら共鳴し続けていた。


 一方リテルは羽で家々の間を飛び回り、縦横無尽に剣を振っていた。

 別のところにいたムロフとサイダン、ゼヴァは共に援護しながら蹴散らしていた。


 劣勢だったがをだんだんと押し返し、立場を逆転させた。

 オイカゼ旅人団の参戦により、黒フードの数は減り、劣勢になったことを知った黒フードは姿を次から次へと消した。


「ガルディア!見ろ。

 敵が引いていった・・・」

「勝利ということか?」


 すると、国中に行き渡る大きな鐘が鳴り響いた。

 これは衛国警備員に終戦を告げる鐘の音、二番鐘が鳴らす音だ。


 クゥアンセン監視官の元に汗と涙の跡が頬に残っている警備員(ガード)が帰ってきた。

 数は過半数程まで減少していて、生存確認の番号が呼ばれるたびに無音が空く。

 声を聞けぬと泣き出す警備員(ガード)も現れる。


 夜は明け方に近づいてきた。

 

 リテルは睡魔と疲れで視界がぼやけていた。

 そこにジャッジメント公爵が壁から出てくる。


「無事か?

 仲間はもう城の麓に集まっている。

 行こう。」


 城へ行くとリテル以外のみんなとミンセン・ヴェル男爵、陛下がいた。


「惨事を鎮め、国を救ってくれたことに大変感謝している。

 どうこの御恩を返せばいいのか・・・けれども何かを用意しよう。」


 陛下はこの恩を一つだけでは返せる気がせず、何個も提案してくれた。

 

 その日はもうアッカンセンに帰り、爆睡した。

 


 起きた時にはもう日が高く昇る頃だった。

 ドアの隙間から新聞が差し込まれていた。

 俺達のことについて書いてあるのかめくると、ブルーイチ侯爵の不祥事と共に同じページに書いてあった。

 新聞を書いた後に、襲撃が起きたためその報道はなかったが、嬉しさで拳を握りしめて喜んだ。

 次にめくると大きな文字で「中央フラット王国消滅」と書いてあった。

 消滅理由はあまり述べられていないようだ。

 写真には元々学校があった場所が写し出されていた。

 

 人生で初めてマジマジと新聞を読んでいると、窓から物音がしていた。

 窓から顔を出すと、陛下がいた。

 陛下は多くの人に囲まれながら玄関前に立っていた。

 すると中に入ってきた。

 俺は察して、急いでみんなを叩き起こした。


 陛下が来ると俺が言うと、布団を蹴飛ばしみんなが飛び起きた。

 ドタバタしていると、ついにドアがコンコンと鳴った。

 陛下がドアの前に到着したのだ。


 俺がドアを開くと陛下が後ろで手を組み、立っていた。

 陛下は挨拶とお礼をしたあと、ブルーイチのところにきて欲しいといった。

 俺達は陛下と公爵、男爵と共にブルーイチのいる牢へ向かった。

 薄暗い地下道を辿っていくと牢へ着いた。


「ブルーイチ、起きろ。」


 シュノレレアがブルーイチに張り付いた声で起こした。

 世の底へ堕ちたような顔で俺達を鋭い目で見て、鉄格子を恨み籠るように握りしめた。


「お前らがいなければ私は疾に王になれていたはずだった。」

「王になってどうすもりだったんだ?

 戦争国家を作ろうとでも思ったのか?」


 陛下が問う。


「そんな野暮なことは私は望んでいない。

 私の故郷のため、いわば私の家族のため。

 私は妻と子を一人残してこの場所に長い出稼ぎにきた。

 家族や村は貧しく、進歩もない静かで見窄らしい場所だ。

 魔物の谷を挟む向こうへあるからと、どの国にも手入れされずも食糧は配られず、税も取りにも来ない。

 経済が回らず苦しみの中、この国に必死の思いで魔物の死線を潜って来た。

 だが、そこに憚る五爵の壁。

 何年もよじ登って、張り付いて、必死に登ってきた。

 そして今、私は家族の想いがこんな結末になるとは思っていなかった。

 私の希望と欲望の上を進んだ、それらが導いた先はここ(世の底)だ。

 私は王にもなれず、真っ当な父にもなることができなかった。」


 リテル達を恨む目は語るごとに、涙は溢れ己を悔やむ目に変わった。

 握りしめていた鉄格子から手がするりと離れた。


 そこで陛下は一つ意見を出す。


「ならば、その故郷をこの王国の下につかせ、食と住を届けよう。」


 その場にいた全員が陛下の方を見て目を剥く。


「ラレラ陛下殿!

 さすがに情けをかけすぎではないかと。

 数多くの警備員(ガード)殿の命、ホップアップ元公爵殿の命、ヨサヌス元子爵殿の命と己の欲望を死神の天秤にかけ、凄惨かつ散々な結果をもたらした者に!」


 シュノレレアの言葉に、そんなことはわかっているという風に陛下はコクコクと頷く。


「当然、救いを受けること、無償で与えることはできない。

 しかし人の心は変えることができる。

 今でも幸せを求めることは彼の中で混在している。

 そうだろう?」


 ブルーイチの目を見て陛下は質問した。

 陛下の質問に答えるように少し首を縦に揺らした。


「ならばこの王国から北にある魔物の谷、「カカト谷」の魔物を殲滅することだ。

 決して力試しや見直すための案ではない、王国と村を繋げるためである。」


 ブルーイチはそれを聞いて本当か?と聞き直した。

 陛下は先ほどと述べた通り言い返した。


 ただしブルーイチ一人だけでカカト谷の魔物を全て倒すのは無理難題。

 一人前の旅人を数人集わせただけでは敵わないと言われている。

 そしてブルーイチと一緒に行くのはオイカゼ旅人団だ。

 オイカゼ旅人団はブルーイチと共に戦い、もしブルーイチが騙り逃げ出した場合は確保できるようにする役割をもっている。

 

 カカト谷へ行くのは明日。

 今日は一日中、陛下がもてなしてくれた。

 昼から夜まで飯と来客用の部屋を用意してくれた。

 明日にも頼まれ事があるので、そのことにも褒美をくれるのだとか。

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