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シンカータイカー   作者: よぐると
ラレラレット王国編
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第29話 審判

 絶望の中、俺は誰かに抱えられた。

 ゴツゴツした手にこの筋肉の張り、俺はムロフだとわかった。


「最近筋トレができていなかったんだから、いいだろ?隊長。」


 俺を少々手荒にサイダンへ投げた。

 それからストレッチをしながら侯爵に近づいていく。

 侯爵に攻撃を開始。

 足蹴り、フック、ストレートを混ぜながら火の中で追い回す。


 戦いが長引くと、火も次第に広がる。

 その火と騒音に駆けつけた住民や旅人が集まってきた。

 経緯を知らない人は俺達を悪者と勘違いして説得しても聞き入れてくれない。


 その批判の波に侯爵は乗った。

 被害者のように助けを乞う。


 その言葉を聞いた戦える旅人達は剣を構え、杖を取り臨戦状態間近だった。

 ムロフの連撃を阻止しようと一人の旅人が前へ出ると、それに連なって他の旅人も加勢していった。

 大勢の旅人が火を突き進み、ムロフを狙う。

 話しても無駄だと感じたゼヴァはホールンに強化をお願いし、量が増幅した融解の特性を使った。

 いつもの数倍の量の融解した液が旅人達を飲み込み、凝固で足を固めた。


 ゼヴァが抑えている間にムロフとカイを主軸に侯爵は追い込まれていた。

 しかし旅人達はそれをただただ見ているだけでは止まらない。

 魔法を使える者はまだ諦めない。

 

 混乱の中、一人の男が現れた。

 それは手術を終えたジャッジメント伯爵。

 スーぺに乗り、右手には自分の体を貫いた剣を握っていた。

 そして大きな声で大衆を鎮まり返した。


「俺の腹を見よ!」


 腹に付いた手術で施したいくつかの糸と滲んだ血を見せた。

 持っていた血のついた剣を掲げて、大衆へ既視感を覚えさせた。


 そう、今持っている剣は侯爵の物と一致するのだ。


 現場の理解ができた人々の足は解放され、侯爵へ魔法を放った。

 十人十色の魔法が飛び交い、侯爵の逃げ場がなくなるまで追い込んだ。

 そして最後に、避けるので必死だった侯爵にムロフのパンチがヒットした。

 疲れ切った侯爵は立ち上がることなく、即取り押さえられた。


「離せ!抑えるな!手を退け!

 これで終わりだと思うなよ!」


 口は動けど、体は動かない。

 

 あと少しで公爵にも王にもなれたのに・・・

 あの忌々しいジャッジメントめ、奴さえいなければこんなことになるはずではなかった。

 神へ届いた私の姿は罪であったのか。


 甲冑と黄色を主色とした王国の印のついたスカーフを着た者が縄で取り押さえた。


「少年、少女ながら良き活躍であった。

 侯爵殿は、我、シュノレレア=リスムに任せなむ。」


 私は牢獄の番人に偽装者とともに監獄へと連れて行かれた。

 その監獄はただの監獄ではない。

 どの部屋よりも厳重で抜け出すことのできない檻と警備が設置されていた。

 外からはほんの微かに地が揺れる音が伝わってくる。



「見事であった、オイカゼ旅人団。」


 ジャッジメント伯爵が栄光を称えた。

 

「これは何事であるか?」


 人を掻き分けて、ちょうど帰国したラレラ陛下が現れた。

 全てを話すと、陛下は初めは信じ難そうでも、皆の説明や証言で認めて褒めてくれた。

 それと団の結成許可書を政府に届けてくれたので、今から俺達は「正式」に旅人になった。




「今宵は祝福だー!」


 騒ぎ、煽て、喜びを感じていると、一人の鳥の魔人が近づいてきた。

 名前はキャキマー・ヴェル=コメット。

 

 その魔人は新聞の情報収集をしているようで、オイカゼ旅人団について書きたいようだ。

 写真とインタビューを少々受け、その魔人は題材が集まって嬉しそうに御礼を言い飛び去った。


 そして、陛下はお礼に俺達に食事を振る舞うといい、今夜は城の中で過ごすことが決定した。

 それから、公爵と侯爵の不在のためジャッジメント伯爵は公爵へと昇格した。



 静かで厳重で青暗い場所。

 ブルーイチは鉄格子から番人へ話した。


「私はここで生涯を終わらせるつもりはない。

 国の滅亡か私を脱獄に手を貸すか、どちらを取る?」

「侯爵殿。

 いや貴様、例え我に詫びとも悪夢から出さぬ。

 慕われた公爵殿を殺した大悪行の罰を直に受け待つといい。

 何人たりとも抜け出せぬ番人の誇りの為。」

 

 ・・・・・・ブルーイチの企み。

 予告か?そうであればわざわざ打ち明ける必要はない。

 ただの脅しであろう。

 この永久を閉ざす地獄檻の番人、シュノレレア。

 それからこの檻には特性を封印する魔法が細部までに練り込まれている。

 

 ・・・ただし、ブルーイチは権力のあった者。

 油断できぬ、陛下殿へ伝えてもらおう。


 伝言を一つ、同じように監獄の警備をしているガルディア=ゲルニカに伝え、行かせた。



 オイカゼ旅人団、陛下、女王陛下、三爵が食事をしているところで一つ、陛下だけにさりげなく伝えられた。

 伝えに来たのはブルーイチの番人の一人、ガルディアである。

 手で口を隠しながら、陛下へ囁いた。


「罪人ブルーイチが国の滅亡を示唆するような言葉を述べたので、国の警備を強化しましょうか?

 陛下に委ねます。」


 伝えられたブルーイチからの発言がもし、誠ならばかなり危険だ。

 国民を守るには監視官(ワーデン)警備員(ガード)を出動させた方がいいだろう。


監視官(ワーデン)のテンビ=クゥアンセンを主軸とし、特別警備として常の警備に加え衛国警備員、二番鐘を配置する。

 即座に実施し、怪しい者は追放か外へ促せ。

 あくまで警戒体制だ。

 そしてオイカゼ旅人団には察せられずに行え。

 せっかくの祝いを緊張で縛っては十分に祝うことがでいないだろう。」

「御意。」

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