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第23話 出発、爆発、危機一髪

 ラレラレット王国に近づくたびにだんだんと暖かくなってきた。

 盛冬とは思えないほどいい気温だ。

 

 ゆっくり丘を登っていると大きな湖に出会った。

 かなり透き通った水が湖に張っていて底が見えるほどだった。


 釣り人も数人いる。

 釣りスポットなのかもしれない。


 ちょうどいい、気分転換に良さそうだ。


 馬車を止め、湖まで歩いた。

 湖は木に囲まれて自然を眺めることができた。


 カイが戦いで傷ついた足を洗おうとすると、隣で釣りをしていた茶髪のお姉さんが話しかけてきた。


 どうやらここの水は純度が高くて傷口をその水で洗うと血を持っていかれるらしい。

 残念に思いながらカイは洗うのをやめた。


 するとお姉さんはあるゲームを仕掛けてきた。


「私に釣果で勝てたなら宿を貸したげる。」


 俺達はすぐにその提案に乗った。

 ルールは一時間の間に何匹魚を釣れるかだった。

 お姉さん対俺達の釣果で勝敗を決めるそうだ。


 全員に竿が配られ、合図と共に竿を投げた。

 するとすぐにお姉さんの竿には魚が食いついていた。


 なんという入れ食いだ。

 魚を釣るテクニックがあるのか?


 その後もお姉さんの竿にはたくさんの魚が入るが、俺達は0匹。


「なかなか釣れないなー。」


 サイダンがぼーっと釣りをしていると、遂に魚がかかった。

 リールを回そうとしても一切動かない。

 

 怠惰の加護を使用し、試みるが状況は変わらない。

 すると突然サイダンは湖に引き込まれてしまった。


『極獣の生態反応。

 極獣 魚獣 ガルプ・ジェルフラッシュ。

 淡水にすむクラゲの極獣です。

 本体は非力で脅威もなく、半透明で水中の中層を漂っています。

 しかし物を飲み込む性質を持ち、対処が困難な場合も想定されます。

 必要であれば脊髄や骨、神経までも生成することがあります。』


 クラゲの極獣・・・

 非力ならこんな力はないはず。

 それなら強力な物を飲み込んだのか?


 湖の中から気泡が泡立ちその中からサイダンが這い出てきた。


 咳をしながら俺達に言った。


「僕は見てしまった・・・

 黒い玉に沢山の棘が付いた生き物がいた。」


 普通のガルプ・ジェルフラッシュなら半透明なはず・・・

 やはり何か飲み込んでいるな。

 黒い玉に棘がついている海にある物・・・フグか?


「やっぱりあの餌がダメだったのかな・・・?」


 あの餌?


「隣にあったペパプリカを餌にしたんだ。

 すごく辛いから怒ったのかもしれない。」


 その極獣は怒りを露わにしたようにに、水中を爆発させた。

 怯えながら待っているとサイダンが言っていた棘の付いた黒い玉が姿を表した。


「私が毎日釣りをする湖にこんなのがいたの?!」


 お姉さんはとても動揺していた。


 湖から半球が顔をだし、水中地雷とハリセンボンを掛け合わせた見た目だ。

 直径六メートルぐらいある大きなボールだ。


『生態の更新。

 未知なる極獣の生態反応。

 極獣 魚獣 アンカー・ジェルフラッシュと命名。

 ガルプ・ジェルフラッシュと瓜二つの種類ですが姿、性質が微妙に異なっています。

 爆発に耐えるためにより湿ったゼラチンを含む皮膚を持っています。』


 未知なる極獣?

 これは気になる。

 師匠にも見せてあげたい。


「何か音がしないか、リテル?」


 俺が耳をすませば、カチンと機械が動く音がする。


 それと並行にその極獣も少し膨らんできてるような気がする・・・

 もしや爆発するのか?

 水中地雷のような姿はこれの暗示?

 俺はみんなに離れるよう指示した。


 逃げようと振り向くと同時にその極獣は爆発してしまった。

 黒煙に飲まれた俺は状況を把握できなかった。

 

 目を開けばお姉さんが魔法か特性か何かでシールドを作っていた。

 爆発に耐えたそのシールドにはヒビが入っていた。

 

 守ってくれたのか・・・?


 

 爆発したその極獣は姿を消しており、分析はできなかった。


「危なかったねー。

 危ないことに付き合ってくれたお詫びに宿貸すよ。」

「勝負はまだ・・・」

「勝負は忘れて、お詫びよ。」


 心優しきお姉さんのおかげで宿にその日は無料で泊まることができた。

 たらふく料理も食べさせてもらった。


 最高だ。

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