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第18話 魔法学校14

 レーダーが反応しない様子にテクトは焦る。


 どんなに離れていても、地下でも反応するはずなのに・・・

 

 脳をフル回転させ動くことすらせず考えた。


 そんな時に極獣が現れた。


「テクトさん!

 また数匹、極獣が来ますよ!」


 旅人の声で思考の世界から引き戻される。

 車の前方にはキリンのような極獣が歩み寄ってくる。


 リテルの生死の賢者が反応。


『極獣の生態反応。

 極獣 麒獣(きじゅう) ウヌク・ロイカー。

 黄色い皮膚に長い首、足が特徴の極獣。

 頭部にある斧状の双角部には黄緑色の電気を発生させます。』


「これはまずいんじゃないか?

 電気は歩が悪い。」


 電気はテクトロジー旅人団の弱点だ。

 電気を扱えるとはいえ、電気を防ぐことはできないからだ。


「俺の出番か?!」


 シャッツは感電して倒れるだけだから却下。

 電気を防ぐには通電性の低い属性で身を守る必要がある。


 グラフ先生から教えてもらった通電性の低い属性は、草と土。

 その属性を使える人は偶然なのかわからないが、テクトロジー旅人団の中にはいない。


 悩むテクトの様子にウヌク・ロイカーは行動を起こす。

 頭部の斧に電気を溜め、振りかぶる。


 そこで一人の男が夜の空の下を走り、その極獣の首を掴んだ。

 電気もろともせず掴んだ手は無傷。

 間一髪の攻撃を止め、極獣を力強く地面にひっくり返した。

   

 倒れた極獣の隣には同じクラスのムロフが立っていた。

 彼は魔法をろくに使えない。

 しかし鍛えられたその筋肉達は電気に勝ったのだ。


 残りの少ないウヌク・ロイカーを殴り倒し。

 その筋肉を動かして戦う姿は勇ましかった。

 

 負傷した極獣は全員、暗い森に消えていった。


 そのウェーブが最後のようでその夜に現れた極獣はいなかった。



 翌日。


 初めての極獣夜行、何もできなかったな・・・

 人の前では使えないし、強い訳でもない。

 それに比べてムロフは凄いな。

 あの歳で極獣に躊躇なくしがみついたり、戦ったり。

 魔法が使えなくとも強い。

 俺も強くなれたらなー・・・


 ムロフの戦い方に感心しながら登校していた。


 登校中、俺を待ち伏せしていたのかと思うほどばったりカイとであった。

 開口一番、レーレが拐われたということを言われた。

 ギポーが何かしたんじゃないかと思ったがそれは違った。

 昨日の夜にレーレが背の高い黒服の女に拐われたと。

 テクトにも伝えられたが発見することができなかったのだと。


 だから異様に慌てていたのか。

 確かに団をまとめる隊長にしては判断が鈍かった気がする。


「昨日、テクト隊長が死警察署に来たんじゃ。

 一応捜索するらしいんじゃが、厳しいじゃと。

 なんせ手がかりが微塵もないんじゃ。

 強いていえば拘束系の特性ぐらいじゃ。」


 カイと話ながら登校していると、盗み聞きしていたウェルカが現れた。


 ホールン=テスグンという人がギポーに支配されたということを伝えに来てくれた。

 彼の特性や性格など詳細を教えてくれた。

 話した後はすぐに姿を消したがいい情報を入手できた。


 カイと話しながら教室に入る。


 朝礼まで話しながら時間を潰す。


 いつもなら全員が揃うはずなのだが・・・

 隣の席のリオナがいない。


 そういえば彼女も捕縛系だったよな。

 まさかだよね?

 たまたま似ていただけだよな?


 その日以降、彼女は教室に現れなかった。


 レーレが消えてから時が経ち枯夏を迎えた。

 森は紅葉し、落ち葉も増えた。

 校内にも生えていたデンゲンザクラの葉は散り、ひとつない。

 肌寒い頃だった。

 

 修行場所でリテルとカイは話していた。

 

「いつまで続くんじゃろうか・・・

 レーレ、ウェルカがギポーの支配の下にいないのなら、今じゃないか?

 じゃが、新しくホールンというやつも加勢していたのか。

 話じゃったら味方を莫大に強化してくれるだとか言っていたのう。」


 先にホールンを捕獲して強化を断ち切ればなんとかいけそうか?

 せめてウェルカが何かしてくれればいいが。

 瞬間移動でギポーからの支配を逃れるだとか。


 ギポーとの戦いに向けて考える。


「お困りのようね?」


 ウェルカが瞬間移動して目の前に現れた。

 なんて都合がいいんだ。

 ウェルカにお願いを申した。


 ギポーと戦う際、ホールンとサヨムを遠くに飛ばしてくれないかということを。

 

 しかし彼女は否定した。

 それはギポーの支配の外には許可なしで出られないからだ。

 瞬間移動で外に出そうと思っても支配の壁によって塞がれるようだ。


 それからひとつ質問をした。

 今の俺達でギポーを倒せるのかということ。

 ウェルカの回答では勝率は五分五分。

 どちらともいえない、だった。


 ただ、数の多さで仕留めるなら今がチャンスということを教えてくれた。

 その言葉で行動を決めた。


 ギポーを倒す決意。

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