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第9話 魔法学校5

 学校から帰ろうとした時、ギポー達に絡まれてしまった。

 そして集団の中からウェルカが歩み寄ってきた。

 魔人と関わるなとかおまえは弱いのだから邪魔をするなとか、忠告責めされた。 人には危害を加えない感じなのか忠告だけでギポー達は夜に消えていった。


 喧嘩に発展しなくてよかったと思いつつ山に帰った。

 師匠に今日、授業で思いついた疑問を投げた。


「古生代前の賢者は世界を作った・・・?

 もし賢者が寿命で亡くなったなら、お前の特性は何だ?

 もし特性自体が世界を作ったなら、なぜ私もリテルも世界をひとつたりとも作れなかった?」


 師匠の矛盾指摘のせいで考えは整理はされたものの、俺の脳はさらに混乱してしまった。

 

 床に入る。

 夜はやけに静かなおかけで今日の疑問が頭の中をぐるぐると回っている。

 しかし、なかなか寝付けない。

 どうしてだろうか?

 不安や恐怖が迫っているわけでもないのに疑問が頭から離れなかった。

 どうしても寝れないので、外の空気を吸うため窓から森を眺めた。

 満月の夜だった。

 フクロウの鳴き声だけが聞こえる。

 

 すると、窓から見えていた森の一部が急に光った。

 二つの光の円が森を照らし、移動していく。

 蛍の群れが移動しているのかと思ったが移動する速度は蛍より速く動いている。

 その光は上から照らされているようだったので、空を見上げる。

 星の輝きを消しながら空を飛ぶ黒い何かがいた。

 大きさはそこら辺の鳥類より、一際大きかった。


 生死の賢者に生体の反応はしなかった。

 人工物な何かなのだろうか?

 この世界なら有り得なくもない。

 しかし、行動が生物みたいで人工物とは思えなかった。


 そしてその物体が満月と俺を一直線に被った。

 その姿は大きなフクロウだった。

 羽は大きく、広く、黒い。

 森を照らしていたあの光はフクロウの大きな目から出ていた。


 すると何かを見つけたのか急降下した。

 木々の間から風が吹きだし、大きな揺れが響いた。

 着地をしたかと思えば今度はくちばしに細長い何かを咥えたまま、また羽ばたき出した。

 それは巨大ミミズだった。

 フクロウはミミズを食べる習性がある。

 食生は同じなのになぜあれほど大きくなったのか。

 理由がわかった気がする。

 あれは極獣な気がする。

 ただ大きくなったフクロウではない。

 目から光を出すフクロウは滅多にいないはずだ。

 極獣への進化の過程で会得したんだろう。

 しかしなぜ生体反応がなかったのだろうか。

 生物なら反応するはずなのに。

 考えていると、考えることに集中しすぎてフクロウを見失ってしまった。


『近辺に生体反応を確認。

 極獣 鳥獣 ルナ・プリュネルカ。

 フクロウの極獣であり、目から光を放つ。

 下弦の月のような眉、遠く離れた場所も見ることができる目を持つ。

 羽毛には感知系魔法、特性を無効化する特殊な素材。

 検知は基本不可能ですが、近距離の検知では羽毛を貫通することもできます。

 また、知能が高く、狩りには道具や小細工なども仕掛けることもある。

 つまりルカ・プリュネルカはあなたの近くにいます。』


 近くにいるだと・・・? 

 視力がいいから見つかってしまったか?


 屋根から木に固い何かが当たった音が聞こえる。

 木の軋みも。

 緊張が俺の背筋をなぞる。


 ポキっという音が出たと同時に屋根を破壊した。

 瞬時に避けることができた。

 師匠もその音で起きた。


「森の賢者か・・・」


 森の賢者?

 このフクロウが賢者なのか?


 そう思っているうちにルナ・プリュネルカの目から光がでた。

 スポットライトのように。


 俺の体が浮かんだ。

 宇宙を体験したような感じだった。


『鳥獣 ルナ・プリュネルカの光を感知。

 ルナ・プリュネルカの光は対象を半重力化し、気絶度の高い強い刺激のある光線を与えます。』


 半重力中は身動きがほとんどできず、その場で回転するしかできなかった。

 早くこの光から抜け出さなければ気絶し、殺されるかもしれない。

 唯一、ルナ・プリュネルカの目を遮断できる方法があった。

 ズウェッル・クリングの舌だ。


「縛れ!

 舌絡(タングル)


 俺は左腕を舌に変え、頭もろごとぐるぐるに巻いた。

 ルナ・プリュネルカは慌ただしくもがいた。

 それと同時に光も消えたため、その隙に剣を差し込んだ。

 屋根から大きな音を出して地面に倒れた。


 生死の賢者を使用して取り込んだ。


『極獣 鳥獣 ルナ・プリュネルカを取り込みました。

 感知系魔法、特性を無効化できる翼、夜間の暗い場所でも見ることができる目を獲得。』


 夜でもはっきり見える目は世界を変えた。

 翼も自由に飛ぶことができて、魔力も消費しない。

 一気に便利になった。

 人目は気にしないといけないが・・・


 翌日、昨日は何もなかったかのように登校。

 生死の賢者を誰にも知られてはいけないからだ。

 今日の帰りは何もないといいのだがけど・・・


 教室のドアを開けた瞬間、俺の正体が透けてしまった。

 突如として顔の目の前に木の板が飛んできたからだ。

 驚いた拍子にルナ・プリュネルカの翼を出してしまった。

 

 教室が静まる。


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